歴史


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カリカリ・・・カリカリ・・・カリカリ・・・
乾いた音をたてて、木の軸が回る。
『火おこし器』の音だ。
はじめは、うまく回らなかった軸だが、軸の先を細く削ったり
軸そのものに太い木を使い
やわらかく、しなやかな蔦をつかったりと、多数の改良を重ねた結果だ。

軸は回すたびに、勢いを増し、やがて、軸の先から白い煙が上がる。
木の焦げる独特なにおいもする。
やがて、煙の隙間から、赤い光が見えるようになった。
その光にゆっくりと息を吹きかけると、光は大きくしっかりとしたものになる。
光の上に、小枝を乗せ、再び息を吹きかけると、そこには、炎が宿っていた。
ついに、彼らは、『火』を手に入れたのだ。

もし、文明の夜明けと言うのがあったとしたなら、この炎の色がその色だろう。
あらゆる獣を退け、あらゆる獣を滅ぼし、力を生み、力を育て
人類が地球上の生物の頂点である証
       『火』
このときから、彼らは、獣におびえる弱者から、あらゆる獣に恐れられる強者になったのだ。

歴史
最終更新:2005年05月14日 11:50