小説
かまいたちの夜 4
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匿名ユーザー
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フロントに着くと、女の子三人組と小林さんがなにやらもめていた。
「ちょ・・、ちょっと。落ち着いて話して下さい。一体どうされたんですか?」
「だから!今部屋に戻ったら、床にこんな・・・こんな物が!」
女の子達が震えながら、小林さんに小さな紙切れを差し出した。
気になったぼくは、横から覗き込む。小さな紙切れには、赤い字でこう書き殴ってあった。
「ちょ・・、ちょっと。落ち着いて話して下さい。一体どうされたんですか?」
「だから!今部屋に戻ったら、床にこんな・・・こんな物が!」
女の子達が震えながら、小林さんに小さな紙切れを差し出した。
気になったぼくは、横から覗き込む。小さな紙切れには、赤い字でこう書き殴ってあった。
『こんや、12じ、だれかがしぬ』
「今夜、12時、誰かが・・・死ぬ?!」
ぼくが読み上げると、みんな一様に息を呑み込んだ。
しばらくの沈黙の後、ようやく小林さんが口を開いた。
「誰かのいたずらでしょう」
「・・・悪趣味ね」
真理が眉をひそめる。
確かに、悪趣味ないたずらだ。それが本当にいたずらなんだとしたら・・・。
「でも、誰かがあたし達の部屋に入ってこれを置いて行ったんですよね?気持ち悪くてあそこじゃ眠れないわ」
そう言ったのはやせて髪の長い可奈子ちゃんだ。泣きそうに顔を歪めている。
「床に落ちていたんなら、ドアの下の隙間から差し込んだんじゃないですか?鍵はかけていらしたんでしょう?」
小林さんがそう言うと、女の子達はぽかんとした表情を浮かべた。
「そっかー、中に入らなくてもいいんだ」
どうやら、そんなことにも気付きもしなかったようだ。
「・・・でもやっぱり気持ち悪い」
メガネの亜希ちゃんだ。
「何ならお部屋を替えましょうか?幸い空き部屋もありますから」
「その部屋にもテレビ、ついてます?」
ちょっとぽっちゃりした可愛らしいショートカットの啓子ちゃんだ。
「すいません。うちは客室には基本的にテレビは置いてないんです。ふた部屋だけ置いてあるんですが、それが、今お泊りの部屋なんですよ」
と、申し訳なさそうに首を横に振る。
「もうひとつの部屋は?」
「あいにくふさがってます。ですから、テレビをご覧になるなら、今のお部屋で我慢していただくしか・・・」
「どうする?」
三人は顔を見合わせ、話し合い始めた。
「あたしやっぱり気持ち悪い」
亜希ちゃんだ。
「テレビは我慢しようか?」
可奈子ちゃんが応える。
「えー、あたし見たいテレビがあるの」
啓子ちゃんが、わがままを言い出した。
「テレビなんかいいでしょ!なにしに来てるのよあんたは。あたし達はスキーしに来たのよ、スキーに!」
可奈子ちゃんが怒り始める。
「分かってるけど・・・でも今日は見逃せないの。『ロンバケ』の最終回なんだもん」
ぼくは見たことないが、確か『ロンドンで万馬券』というギャンブルドラマだ。
しばらくもめていたが、結局、つまらないいたずらだし、部屋を替えてもあまり意味がなさそうだということで、彼女達は引き下がって部屋に戻って行った。
「でも、誰がこんないたずらするかしら。子供は泊まってないし・・・」
そう言うと真理は、いたずらっぽい目をぼくに向けた。
「もしかして、透じゃないの?」
とんでもないことを言い出す。小林さんがおどろいてぼくを見る。
「冗談じゃないよ。何でぼくがよく知りもしない彼女達にそんなこと・・・」
当たり前だが、抗議した。
「そうよね。いくら透でもこんなことしないわよね」
何かひっかかる言い方だが、まあいいとしよう。
その時、フロントの電話が鳴り始めた。
ぼくが読み上げると、みんな一様に息を呑み込んだ。
しばらくの沈黙の後、ようやく小林さんが口を開いた。
「誰かのいたずらでしょう」
「・・・悪趣味ね」
真理が眉をひそめる。
確かに、悪趣味ないたずらだ。それが本当にいたずらなんだとしたら・・・。
「でも、誰かがあたし達の部屋に入ってこれを置いて行ったんですよね?気持ち悪くてあそこじゃ眠れないわ」
そう言ったのはやせて髪の長い可奈子ちゃんだ。泣きそうに顔を歪めている。
「床に落ちていたんなら、ドアの下の隙間から差し込んだんじゃないですか?鍵はかけていらしたんでしょう?」
小林さんがそう言うと、女の子達はぽかんとした表情を浮かべた。
「そっかー、中に入らなくてもいいんだ」
どうやら、そんなことにも気付きもしなかったようだ。
「・・・でもやっぱり気持ち悪い」
メガネの亜希ちゃんだ。
「何ならお部屋を替えましょうか?幸い空き部屋もありますから」
「その部屋にもテレビ、ついてます?」
ちょっとぽっちゃりした可愛らしいショートカットの啓子ちゃんだ。
「すいません。うちは客室には基本的にテレビは置いてないんです。ふた部屋だけ置いてあるんですが、それが、今お泊りの部屋なんですよ」
と、申し訳なさそうに首を横に振る。
「もうひとつの部屋は?」
「あいにくふさがってます。ですから、テレビをご覧になるなら、今のお部屋で我慢していただくしか・・・」
「どうする?」
三人は顔を見合わせ、話し合い始めた。
「あたしやっぱり気持ち悪い」
亜希ちゃんだ。
「テレビは我慢しようか?」
可奈子ちゃんが応える。
「えー、あたし見たいテレビがあるの」
啓子ちゃんが、わがままを言い出した。
「テレビなんかいいでしょ!なにしに来てるのよあんたは。あたし達はスキーしに来たのよ、スキーに!」
可奈子ちゃんが怒り始める。
「分かってるけど・・・でも今日は見逃せないの。『ロンバケ』の最終回なんだもん」
ぼくは見たことないが、確か『ロンドンで万馬券』というギャンブルドラマだ。
しばらくもめていたが、結局、つまらないいたずらだし、部屋を替えてもあまり意味がなさそうだということで、彼女達は引き下がって部屋に戻って行った。
「でも、誰がこんないたずらするかしら。子供は泊まってないし・・・」
そう言うと真理は、いたずらっぽい目をぼくに向けた。
「もしかして、透じゃないの?」
とんでもないことを言い出す。小林さんがおどろいてぼくを見る。
「冗談じゃないよ。何でぼくがよく知りもしない彼女達にそんなこと・・・」
当たり前だが、抗議した。
「そうよね。いくら透でもこんなことしないわよね」
何かひっかかる言い方だが、まあいいとしよう。
その時、フロントの電話が鳴り始めた。