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第一章 運命の足音 1

    
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                 第一章 運命の足音 1

  「傷薬の予備も買ったし、干し肉やホロート(乾燥チーズ)も準備ok。買い逃がしはないわね」
  リンは買い揃えた品々をチェックすると、それらを鞄にひとまとめにしてたすきがけに担いだ。
  ここはサカの交易都市・ブルガル。
  サカに住む者だけではなく、隣国のベルンやリキア、イリアからも交易のために商人が訪れる、サカ地方最大の街だ。行き交う人々も多く、簡単な露店が数多く立ち並び豊富な品物が店先に並んでいた。リンはここで長旅に必要な携帯食料や医薬品類等を買うためにやって来ていた。
  山賊を倒した翌日、うち立てた誓いを実行すべくリンは行動を開始した。
  「父や母の仇を討つ!そのためにもっと強くなる!」
  昨日の一件で一人での修行に限界を感じたリンは、エレブ大陸全土を旅しながらの武者修行を決意したのである。
  リンが住んでいたロルカ族の集落は半年前、もっとも凶悪で残忍と名高いタルビル山賊団に襲われ、その時リンの両親は命を落とした。女子供にも容赦せず、邪魔をする者は皆殺しにし根こそぎ奪い去る。人ではない、獣の集団が去った後に残されたのは悲しみと憎悪だった。
  リンの父が族長だったが、その族長亡き後、わずかに残された人々は散り散りに去っていった。通常、族長が死んだ場合、その子供が新しい族長となるのだが、女の、しかもまだ十五歳になったばかりの少女に付き従おうと思う者はいなかった。
  こうしてロルカ族は滅んだ。一人取り残されたリンが復習を誓うのは当然の成り行きと言えた。父や母、数多くの部族の民を死にいたらしめた山賊団を、
  「決して許さない!」
  と思い極め、リンは一人、滅んだ集落に住み剣の修行を続けた。そして昨日、無人の住処とはつゆ知らずやってきた山賊と戦い、どうにか勝ったものの、己の未熟さを痛感した。
  もっと実践を積み強くならなければ仇を取るどころか返り討ちにあってしまう。そう感じ、大陸中を回って武者修行をすることに決めたのだ。
  「旅の準備はこれで良いわね。それじゃぁ出発と言いたい所だけど、まず何処へ向かおうかしら・・・・・・」
  歩きながら、リンは思考を張り巡らせた。
  リンは生まれてこの方、サカから出たことは一度もなかった。両親や部族のみんなからは他の国々の話を聞いた事はあるが詳しくは覚えていない。よく覚えている事と言えば、サカ地方の北に位置するイリアについてだ。
  イリアはいくつかの城を拠点とする騎士団の連合国家である。
  エレブ大陸北方の山岳地帯に位置し、厳しい寒さと農作に不向きな土地ばかりである事から、彼等は傭兵として他国に雇われる事で生計を立てている。イリアの傭兵は精強をもって知られ、それと同時に雇った主を絶対に裏切らないことでも有名だった。