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第一章 運命の足音 3

    

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                 第一章 運命の足音 3

  その気配は徐々にふくれあがっていた。
  ブルがルを出る直前から、何者かに見られているという感覚がリンには敏感に感じられた。最初は、さっきの騎士たちに追ってきていると思った。だがブルガルを出て、周囲を森に囲まれた人気のない小道にさしかかった時、背後に感じられた気配が明確に殺気に変わったのだ。
  腰に下げた剣の柄に手をかけつつ、リンは振り返った。
  すると見るからにならず者と思われる風体の男が、自分に向かって走ってくるのが見える。身の危険を感じ、リンは逃げようとしたが、すぐに思いとどまった。あんなならずものが、自分に何の用があるのか、それがすごく気になったのだ。
 (相手は一人・・・・・・。いざとなったらどうとでもなるわ)
  油断無く身構えながら、リンはならず者を待ち構える。一方ならず者は、リンが逃げようとしないのを見るや、走るのをやめ、手にした斧をちらつかせて近づいてきた。
  この上なく悪人相の上に、下卑た笑みを浮かばせながら。
 「ぐへっ、ぐへへへ。カワイイ嬢ちゃん。あんたリンディスってんだろう?」
 「!!・・・・・・何者!?」
  出し抜けに自分の本名を言われ、リンは驚愕した。部族の者も呼ばない、使っていたのは両親だけ・・・・・・。その本名を眼前のならず者は知っていたのだ。
  リンの問いかけを無視し、ならず者は鈍色をした斧をちらつかせた。
 「・・・・・・もったいねー。まったくもったいねーが・・・・・・、これも金のためだ。消えてもらうぜっ!!出て来い、野郎ども!!」
  その声に呼応し、三人のならず者がリンの背後に現れた。
  リンが後ろから追いかけて来た一人に気を取られているうちに、残りの三人が森の間を抜け回りこんでいたのだ。
 「!これだけの人数、私一人だけでは・・・・・・」
  相手は合計四人。昨日の山賊のちょうど倍の人数だ。
  山賊二人相手にてこずった自分では手に余る。リンはそう思い、目の前の敵に気をとられ周囲の警戒を怠った自分の軽率さを悔やんだ。
 「・・・・・・でも、やるしかない!!」
  悔やんだところで状況が好転するわけではない。覚悟を決めて剣を抜き放ったその時、聞き覚えのある声がその場に響いた。
 「あーーーーっ!やっと見つけた!!」
 「!」
 「!?」
  リンとならず者たちが同時に声のする方へ顔を向けると、そこには先ほど出会った二人の騎士が、馬に乗って駆けてくる姿があった。
 「はぁ・・・はぁ・・・、お、追いついた・・・・・・。」
  リンたちの前で馬を急停止させると、セインは手に持った槍で山賊どもを指し、
 「こら!そこのヤツら!!この方に、何の用だっ!女性相手にこの人数は卑怯だぞ!!」
 「あなたたち、さっきの!」
 「お話は後で。・・・・・・この者たちは、どうやらあなたに危害を加えるつもりらしい。だったら我らがお相手しよう。」
  そう言いながら、ケントが剣を抜くと、セインもまた槍を構えた。
 「あ、下がっててください。パパッと片付けますから」
  緊迫した状況だというのに、セインは軽い口調でリンにそう促す。
 「いやよ!私が受けた戦いだわ。勝手な事をしないで」
 「えーっ・・・・・・、そんな事を言われても困るんですけど」
 「・・・・・・わかりました。あなたが指示を出して下さい。私はリキアの騎士ケント、連れの男はセイン。我らはあなたの指示に従った戦い方をします。それで構いませんか?」
  自分たちはリンの指示に従う。そうする事で、ケントはこの戦いをリンの意思による戦いだと言ったのだ。
  その気遣いはリンにとってありがたかった。何しろ四対一の不利な状況である。正直なところ助太刀は大歓迎だ。
 「・・・・・・いいわ。指揮は私がとる!行くわよ!!」