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* 富士通の事例分析(小南)
* 富士通の事例分析(小南) *『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』(城 繁幸 著 光文社)レポート  筆者は富士通人事部出身  成果主義導入後の業績不振→株価の低迷(5万円から500円へ)、3800億の赤字(2001年度) *富士通の導入した「成果主義」 ①部門ごとの目標作成と個人へのブレイクダウン ②評価結果の賞与額および昇給額への反映 ③裁量労働制の導入 ①「目標管理制度」ひとつの事業部門の目指す目標を、従業員それぞれの果たすべき役割へ噛み砕くシステム。半期ごとの目標を期の頭で設定し、期末に評価する。評価者である上司と面談のうえで目標を設定する(部署の目標にふさわしく、一定の難易度を持たせるため。)目標が達成されたかどうかの評価(SA~C)が給与に反映   ②各期の賞与(ボーナス)はその期の目標達成度により決まる。昇給額も成果によって差がつく。社内職級(3~10まであり基本給の基準となる)の昇給にも一定の成果を挙げ続けることが必要。 ③労基法の規制緩和にともない導入。従来の基本給+残業手当という勤務時間の長短を評価する制度から、目標を達成することを評価する制度へ。成果に応じた賞与の上乗せを行うため、社員の自由度も広がり、かつ生産性も上がる。 *「成果主義」の失敗  巨額の赤字と高い離職率←すべては社員のモティベーションの低下による。 *「成果主義」失敗の原因(なぜモティベーションが下がったのか)  ・「評価委員会」の存在 従業員は半期ごとに直属の上司(課長)と面談、目標の設定→目標の評価をする。目標を上回っていればA,SAがつく。その後「評価委員会」(部長で構成、課長は含まれない)で評価が確定→相対評価(SA~Cの一定の割合)の存在、面談の結果が反映されない。  ・「目標シートに書けない仕事」の存在 技術系の開発部門などは半期前にトラブルや仕様変更の予測は困難→目標に書いていないため誰もやろうとしない→モチベーション、品質の低下  ・学歴差別の存在 管理職に昇給するための厳しい目標設定が幹部候補生(国立大学修士課程卒)育成の弊害に→評価の水増しにより学歴差別が表面化  ・裁量労働制の「節度ある運用」通達 裁量労働制には時間外手当が支給対象外となるなど、経営側に人件費削減のメリットがある→この面を悪用し、一定量の残業を半ば強要。また定時出社、退社も求める→不満の増大 *浮かび上がってきた問題点  ・人件費の増大 成果を挙げられる有能な社員は裁量労働制を選択し高い賞与を得る。一方、能力も低く評価も低いため不満分子化した社員は、通常勤務を選択し残業時間を延ばすことで残業代を得る。  ・社内における不満の増大 管理職は早くから年俸制となっていたため、似た境遇であり人件費削減に有効な裁量労働制採用者を評価の面で優遇。結果として社内で対立が生まれる。 *富士通の対応  絶対評価制の導入 これまでの相対評価に代わり絶対評価制を導入することで低評価者の不満を和らげようとした。 *「成果主義」の崩壊  ・事業部格差の発生 これまでは各事業部で一定の割合のSA、A評価者がいたが、絶対評価制の導入により売り上げの主力を担う部門に高評価者を集中させ、バランスをとるためにメンテナンスやユーザーサポートなどの部門の評価を下げる(後述の評価のインフレを避けるため)→部門ごとに格差が生まれ士気が低下する。  ・評価のインフレの発生 管理職はもともと従業員の目標内容を理解、評価する能力もなく、訓練も受けていないため、対立を避けるためにほとんどの社員(7割)がA評価に。しかし賞与の総額は一定額であるため同じ評価でも賞与が減額となる。 →有能な社員の転職を促進、また安易な目標設定でA評価を狙う社員が続出 →社内モラルの崩壊へ

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