「市議会だより」におけるりんごっこ保育園問題(平成15~18年)

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165号(平成15〔2003〕年6月定例会)

行政報告
認可保育園問題の報道について
 去る6月17日(火)のTBSテレビ「ニュースの森」で東村山市の認可保育園問題についての報道があった。テレビのテロップでは「開園準備は万全なのに」と放映し、その背景に報道意図があるように思われた。今回の取材で、市長及び議長、数名の議員、所管が取材を受けたが、実際の放映では、多くの部分が編集の際に削除され、各発言者の真意が十分視聴者には伝わらず、公平でない予想外の報道であった。

166号(平成15〔2003〕年9月定例会)

(公明党・木村芳彦議員の代表質問)
りんごっこ保育園の問題について
 市と事業者との話し合いの内容を広く市民に公表すべきと考える。考えを伺う。
市長 設置者と今後のことを話したが進展がなく、現在、訴訟となっている。事業者との意思形成過程の情報を市民へ公表することなど、取扱いを慎重に考慮し検討したい。

169号(平成16〔2004〕年6月定例会)

りんごっこ保育園設置者の資質及び特定議員の関与に関する調査特別委員会
 6月定例議会初日に、「りんごっこ保育園設置者の資質及び特定議員の関与に関する調査特別委員会」が賛成多数で設置されました。この保育園は、昨年4月開園予定になっていましたが、諸般の事情により認可されず現在に至っています。
 特別委員会の委員は左記〔下記表〕のとおりです。
氏 名 会派
委員長 木村 芳彦
副委員長 高橋  眞
委 員 佐藤 真和
委 員 鈴木 忠文
委 員 罍 信雄
委 員 山川 昌子
委 員 木内  徹
委 員 田中 富造
委 員 黒田せつ子
希望の空 佐藤真和議員
「認可保育所」は一体だれのものか
 15年2月の厚生委員会で、恩多町に新設予定だった保育園の開設要望書に同席者として名前のあった朝木議員を、事業に関係のない人と答弁した。見解に変わりはないか。
保健福祉部長 特別公務員は本来の職務遂行に関する行為のほか、市への市民の紹介等、関連の職務を行えるものと解釈する。
 一連の騒動を教訓にガイドラインが策定された今、市と事業主が一定の結論に達した場合でも、市はガイドラインに沿って進める用意はあるのか。別枠で処理してしまうことはあるのか。
保健福祉部次長 今回を教訓としたい。認可申請は特定の保育園に限らず一般的によりよい環境をつくるため協議をしたい。

170号(平成16〔2004〕年9月定例会)

  • 第1面 → エアフォース〈りんごっこ保育園問題とは何か(第2部)第20回以下参照(第23回・第24回を除く)
所信表明を受けて各会派が代表質問(要旨)
新設保育園関連予算は審議未了
 9月定例議会は、初日の市長の所信表明を受けて、代表質問(下段に掲載)、3日間にわたる一般質問、各常任委員会の審査が行われました。閉会予定の28日に市長の申入れを受けて、会期を延長し、30日に本会議を開催しましたが、審議未了で閉会しました。

 9月30日の本会議には、新設される個人立認可保育園経費の補正予算が上程されました。上程直後に、関係する議員が除斥の対象かどうかの調査を求める動議が提案されましたが、調査は時間的に十分行えないとして、議案の審議に入りました。3党の質疑後、午後10時半に休憩に入りました。休憩中多くの会派が会期延長を求め議会運営協議会が開催されましたが、午前0時となり、残りの質疑と討論・採決を行わないまま審議未了で自然閉会となりました。

議長声明  渡部 尚
 九月定例会が自然閉会となったことに対し、市民の皆様に深くお詫び申し上げます。
 しかし、あのまま会議を続行すれば本件予算案の否決は避けられず、そうなれば都より認可を受けた保育園は開園できずに、翌朝から通園してくる子どもたちが行き場を失うなど、極めて大きな混乱に発展することは必至の情勢でした。
 議長としては、こうした市政の混乱を未然の防ぐため、やむを得ず賛否を諮らずに自然閉会を決断しました。
 自然閉会という非常手段を選択した責任は今後明らかにしたいと思いますので、市民の皆様のご理解をお願いします。

新設認可保育園(りんごっこ保育園)の予算経過
 この保育園関連予算については、15年3月議会の平成15年度一般会計予算で提案されました。しかし、保育園の質をめぐって議論が集中し、新設保育園に関する部分を減額修正し可決しました。市長からは、再度審議し直しの提案がされましたが、これも否決し、結果的に予算は減額修正された内容で決定しました。その後、東京都(認可権者)と東村山市に対し、新設予定の保育園長から提訴されましたが、裁判長からの和解勧告を受け、本年7月に、10月1日開園を前提とした合意が成立しました。これを受け、9月28日に市長から、新設保育園関連予算上程のため、会期延長の申し入れがあったものです。この問題について、議会では特別委員会を設置し、調査を継続しています。
希望の空 佐藤真和議員
「りんごっこ保育園開園に向けた合意」を自ら決断をした市長に説明を求める
 土地購入費の問題に関し、確認によると民改費は建物だけのはずであり、土地はだめである。この計画では土地の購入費用をどこから返すのか。
保健福祉部次長 土地の購入費の返済については、申請書からの読み取りでは、補助金の充当はない返済計画となっている。
 市との協議を拒否して提訴したりんごっこ事業主は、合意後に市との話し合いに応じているのか。
市長 10月以降に開園して、訴訟自体が取り下げられると認識する。しかし、よりよい保育ができるよう協議するつもりである。
編集後記
 九月定例市議会は、新設の個人立認可保育園予算審査のために、会期を延長しましたが、本文一頁等の内容により、10月1日に開園されました。
 この件は、委員会や議会での決議、予算の修正及び再議の修正議決をしてきた経過があり、永年当市が実施してきた良質な保育の提供のためにも、今後の保育の質の向上・改善を見届けるべき問題と考えています。(後略)
 M・Y

171号(平成16〔2004〕年10月臨時議会)

新設保育園予算(専決処分事項) 会派の主張(要旨)
 9月30日の臨時議会で新設保育園の予算が審議未了となり、10月1日に市長の専決処分で開園しました。10月30日の臨時議会では、専決処分の報告に対し、議員から質疑、討論がなされ、その結果、賛成少数で不承認となりました。なお、草の根市民クラブは、討論及び採決時には退場しました。
 各会派の討論は次のとおりです。
反対の討論
公明党 島田久仁議員
 多くの問題点より何点かを指摘する。
●保育の本質が議論されず、規制緩和だけが先行し、設置希望者との事前協議が公の場で審議されないままに市が支援してきた経過があること。
●昨年3月議会での2度にわたる原案否決、修正案可決の事実を重く受けとめてこなかったこと。
●視察等の申し入れに対し弁護士を通さないと返事が出せない等、設置者の資質が疑われること。
●個人の資産形成となりかねない設置者個人による個人立保育園に対する予算であること。
●開園後1カ月が経過するも、提訴の取り下げが未だ行われていないこと。
 以上により、本補正予算に対し不承認とする。
日本共産党 保延務議員
今回の保育園設置にあたっては、市が情報を全く非公開にし、また保育内容を前進させる努力をしなかったことは問題である。我が党は当初から市独自の保育ガイドラインの設置や定員の縮減、園庭の確保などを主張してきた。しかし定員の縮減や園庭の確保などについては市に積極性が見られず、実現の保障がない。
 また、今回の事態の根底には、保育園の経営を企業や個人にも認めたことや児童福祉施設の最低基準を引き下げたことなど、政府による児童福祉法の改悪がある。市は今回の事態を教訓に、公立の第九保育園を早期に建設するなど、保育水準の確保と待機児解消に責任を果たすよう求める。
民主クラブ 木内徹議員
 りんごっこ保育園に関しては、当初から情報の非開示性と設置者の保育社としての資質等が問題となってきた。
 子供の発育にとって大切な園庭がないこと、市長の「開園に向けて努力しましょう」という話の直後に訴訟を起こすなど保育者としての自覚に欠けている。和解後も開園への協議について、弁護士を通してしかできないのは極めて不自然である。
 以上のように、これまでの不可解な経過や設置者の資質や特定議員の関与の問題を考えると、専決処分といえどもチェック機関である市議会がこれを認めることは将来に禍根を残すことになる。
 よって不承認とする。
生活者ネットワーク 島崎洋子議員
 本来9月議会当初議案として提案されるべきで開園前日にその可否を審議せざるを得ない状況に対し理事者へ猛省を促す。
 昨年議会が否決した時点より定数を4名減しただけで本質的に変わっていないことが質疑で明らかになった。合意の条件である開園をしたにもかかわらず、未だ園設置者は提訴を取り下げておらず、その不誠実さは道義的に許されるものではない。
 再び同じような問題が起きることのないようガイドラインを遵守し今後の新設保育園に対応すること。また行政は実施責任者であることを自覚してりんごっこ保育園及びすべての子供たちの保育の質の確保をすることを要望して不承認とする。
希望の空 佐藤真和議員
 市長に申し上げたい。
 いろいろな立場でいろいろな意見といつもおっしゃるが、それでは世の中は何一つよくならない。この間の本来的な混乱の原因と責任は、議長ではなく市長にあることは明白である。
 根本的に何も改善される見通しはなく、未だに訴訟が取り下げられる見通しも全く立たない中で、このような説明不足、無責任な行政執行は許されない。
 以上により不承認とする。
賛成の討論
自由民主党 高橋眞議員
 多くの問題が指摘されている保育園であるが、市民が望む待機児解消を考えると、国の法的基準をクリアしていること、都の認可が下りたこと、さらに明日からの入園を待ち望んでいる子供達や、保護者の希望や夢を壊すことになる。
 これらの影響を考えれば今回の議長の決断は苦渋の選択である。しかし、その決断は市政を進める上で、議会と行政が市民のためにどうあるべきか示唆を与えるものであった。
 今後りんごっこ保育園の運営については、しっかりと指導・監督することを強く要望し承認の討論とする。
編集後記
 10月1日に開園した新設認可保育園の補正予算が、本臨時議会に専決処分事項として報告され、賛成少数で不承認となりました。各会派の真剣な質疑・討論は、深夜まで続きました。
 議論となった保育の質は、子どもの人間性・社会性の発達に強く影響し子ども自身の利益や尊厳に大きくかかわるものです。市議会では、今後もすべての保育施設に対し、次世代を育むことへの明確な理念の有無や、適正な運営が行われているのか等を見きわめ、見届けてまいります。
 K・S

172号(平成16〔2004〕年12月定例会)

 りんごっこ保育園に関し、役人の独断専行で契約が進められたという内容の記事があるが本当か。
 そういうことはない。
反対 草の根市民クラブ 矢野穂積議員
……
 次に民間との信義誠実を無視し、保育園新設計画を撤回しようとした。……また、法治主義否定に拍車をかけている行政執行は著しい。
 これら端的に象徴された本件決算認定につき、草の根市民クラブは強く反対する。
反対 希望の空 佐藤真和議員
……
 りんごっこ保育園問題は、公金を費やしながら不透明な合意をし、事態は一向に好転していない。
 市民と向き合う姿勢を根本から変えないと、選ばれる自治体になど到底なりようがないと感じ、反対の討論とする。

173号(平成17〔2005〕年3月定例会)

17年度予算可決される~りんごっこ保育園に関する附帯決議も~
……
 〔予算特別〕委員会での審査の結果は、3月25日の本会議に委員長から報告され、採決の結果、賛成多数で可決されました。
 その直後、「議案第33号・平成17年度一般会計予算に対する附帯決議」をつける動議が提出されました。動議は所定の賛成者があったため成立し、直ちに議題とされました。続いて提案説明(「附帯決議について」を参照)がされた後、賛成多数で可決されました。
附帯決議について
 平成15年6月にりんごっこ保育園設置者から「保育所設置認可拒否処分取消等請求」の裁判が提起され、昨年7月には訴訟を終了させるための合意書が取り交わされました。その後10月に開園されたにもかかわらず、「訴えの取り下げ」がされていませんでした。よって東村山市議会は、6面記載の4項目を実行するよう強く求めるというものです。
 なおこの訴えは、予算可決後の3月28日に、原告により取り下げられました。
民生費
 東京都子育て推進課の、りんごっこ保育園に対する監査結果を産経新聞が公表しているが、確認したか。
 監査の結果は載っていない。
……
 委託料で、りんごっこ保育園分は幾らか。
 保育実施委託料7,684万8,636円、時間外延長の4,416万6,000円のうち582万3,960円で、合計8,267万2,596円である。
賛成 自由民主党 清水雅美議員
……
 りんごっこ保育園は、当市と都が誠意を持って約束を履行したが訴えを取り下げていない。このことに憤慨すると同時に、今後も園の運営等を厳しく見守りたい。
……
賛成 公明党 木村芳彦議員
……
 不誠実なりんごっこ認可園の予算は修正を検討したが、市民のための予算であり、成立を遅らせることは許されない。厳しい対応をお願いし、本予算賛成の討論とする。
反対 日本共産党 田中富造議員
……
 最後に、りんごっこ保育園問題は双方が合意に達し運営委託金等も予算化されているのに、設置者が提訴を取り下げないのは極めて遺憾である。
 以上、反対の立場からの討論とする。
反対 草の根市民クラブ 朝木直子議員
……
 第3に、りんごっこ保育園関係予算支出差し止め等を求めて提起された2件の住民監査請求は、いずれも却下、棄却された。あわせて、2月9日付の産経新聞に、りんごっこ保育園に対する都の評価、すなわち国の基準を満たしており、問題がないとの見解が公表され、保育環境に問題がないことが明らかとなった。以上の理由により反対する。
反対 希望の空 佐藤真和議員
 ……りんごっこ保育園問題は、何一つ改善が進まない中で訴訟は継続、子供たちの安全は置き去りである。もう一刻の猶予も許されない。市民との共同も含め、懸命に頑張っている職員もいるのに、政策決定のプロセスが見えない。議会にも説明責任が果たされない行政運営は残念である。どんな問題も、選択肢を示しながら進めていただきたい。
……
草の根市民クラブ 矢野穂積議員
議会のあり方と市議の責任について
 監査委員は、今回の市長による専決処分の取り消しを求めた監査請求については、却下した。現在、議長を兼任している監査委員の一人はみずからの誤りを認め、悔い改めたということか。
議会事務局長 監査委員の件は答える立場にないので、答弁は差し控える。
りんごっこ保育園に関する附帯決議の要旨
――議案第33号「平成17年度東京都東村山市一般会計予算」に対する附帯決議――
1.東村山市は、高野博子氏に対して、訴訟を終了させるための合意書に基づき、速やかに訴えの取り下げを履行させること。
2.東村山市は、新年度を迎え、りんごっこ保育園に対し、都が言う新規申請ということから、東村山市私立保育所設置指導指針に基づいた園庭の確保、設備の改善など、子供が主人公の園づくりを速やかに行うよう、強く指導すること。そして、何らの改善も見られない場合は、東京都に対して認可の再考を働きかけること。その際は、次年度以降の予算も含め、市議会としても厳しい対応をせざるを得ない。
3.、東村山市は、りんごっこ保育園に対して、個人立から速やかに法人化するよう強く指導すること。
4.東村山市は、各保育園の保育内容や運営をチェックするために、第三者評価制度を創設すること。

174号(平成17〔2005〕年6月定例会)

(以下作成中)


2009年10月27日:ページ作成。
最終更新:2009年10月27日 19:16