請求の原因
第1 当事者
原告らはいずれも現職の東村山市議会議員である。
被告○○は請願人として、被告薄井及び被告佐藤は請願紹介議員として、2007(平成19)年8月21日付で「矢野穂積・朝木直子両市議に対する辞職勧告を求める請願」(以下「本件請願」という)に署名、捺印し、これを東村山市議会議長に提出した。
被告薄井は、インターネット上に「好きになろうよ!東村山(
http://usuimasayoshi.blog98.fc2.com/)」と題するブログを、また被告佐藤は、インターネット上に「なんとかしようよ!東村山(
http://satomasataka.blog110.fc2.com/」と題するブログを、各々開設している。
第2 不法行為
1 本件請願による名誉毀損
(1)本件請願の提出
被告○○及び被告薄井、被告佐藤は、2007(平成19)年8月21日付け本件請願を東村山市議会議長に提出した。なお、東村山市議会議長に対する請願は紹介議員の署名捺印がなければ提出できない。
(2)本件請願における名誉毀損
そして、被告○○及び被告薄井、同佐藤は、本件請願の「請願の趣旨」として「東村山市議である矢野穂積・朝木直子両名は、みずから運営する『東村山市民新聞』ウェブサイトにおいて、一般市民への脅迫的・名誉毀損的発言、並びに、誹謗中傷を繰り返し、市政に関する開かれた議論を妨げている。両名が公人たる市議として適格性を欠いていることはもはや明らかであり、東村山市議会が、両名に対して自発的辞職を求める勧告決議を行うよう、請願する」と記載し、客観的真実に反するにもかかわらず、本件請願を読む東村山市内外の多数の者に対して、あたかも原告両名が一般市民に対して「脅迫」、「名誉毀損」を繰り返している人物であるかのように印象づけ、また何の根拠もなく原告両名が公人たる市議としての適格性を欠いているかのような印象づけた。
(3)本件請願の公表
被告○○及び被告薄井、同佐藤は、前項の通り原告らの名誉を毀損する記述を為した上、被告薄井は同人が開設したインターネットのブログ(「好きになろうよ東村山」)上に同年8月25日付で
「12件の請願の中で、すでに内容がネット上で公開されているモノがある。一番最後の『矢野穂積・朝木直子両市議に対する辞職勧告を求める請願』だ。以下のサイトで紹介されているので、興味のある方は見てください。
★『おはら汁』
★『職業差別を許しません!』
★『俺@26歳のオワタ\(^o^)/blog』
(
http://usuimasayoshi.blog98.fc2.com/blog-entry-109.html)」
と本件請願を掲載しているのが、前記3つのインターネットのブログである事実を明記したが、右記載事実は本件請願の全文は市議会議長に提出した被告○○及び被告薄井、同佐藤以外に知ることはできないから、当然に同人らが前記3つのインターネットのブログ開設者に伝えたものである。
その結果、その実質において、本件請願を市議会議長に提出した被告○○及び被告薄井、同佐藤らが、前記3つのインターネットのブログ開設者に本件誓願の全文を伝えてこれを公表することとなったのであって、しかも、被告薄井はこれら3つのインターネットのブログにリンクを貼って全国の一般読者が誰でもただちにアクセスし本件請願を閲覧することができるようにしたのであって、これにより東村山市内外多数の者が本件請願を知るところとなった。
また、被告○○及び被告薄井、同佐藤は本件請願を同年8月21日に東村山市議会議長に提出したが、その後、同年8月28日には全文が印刷されて同士議会議員全員及び東村山市の課長以上の職員全員に配布され、東村山市役所職員多数の知るところとなった。
(4)原告らの社会的評価の低下等
前項(3)記載のとおり、被告○○及び被告薄井、同佐藤が本件請願を市議会議長に提出の上、公表したことによって、客観的真実に反するにもかかわらず、あたかも原告両名が一般市民に対して「脅迫」、「名誉毀損」を繰り返している悪質な人物であるかのように印象づけ、また何の根拠もなく原告両名が公人たる市議としての適格性を欠いているかのように印象づけ、本件請願を読む東村山市内外の多数のものに印象づけ、原告両名の社会的評価を著しく低下させ、原告両名は重大な精神的苦痛を受けている。
2 被告らの責任
被告らは、その後も本件請願を取り下げることをしないばかりか、前記3つのブログ上には現在も本件請願全文が掲載、公表されていて、原告両名に対する名誉毀損行為は現在に至っても放置されており、原告両名は著しくその社会的評価を継続して低下させられている。
しかも、被告らによる名誉権侵害が極めて悪質であるのは、本件請願には「きつい言葉による批判や不適切・不穏当な表現がネット上で散見されるのは確かであるが、公人である以上、基本的にかかる批判は甘受すべき立場にある。」(本件請願3枚目6行以下)などと記述し、インターネット上では、当該言論が実在の特定者になされた場合であっても、公職者に対してなされる場合には、「不適切・不穏当」な言論すなわち名誉権侵害をしても許されるかのような独自の主張を強調し、自ら為した名誉既存行為を根拠なく正当化するという態度に表現されている。
従って、被告らは本件請願が原告らの名誉権を侵害することにつきこれを知りまたは知らないで本件請願を提出し、公表し原告らの名誉権を侵害したのであるから、右不法行為につき、民法第709条及び同第719条に基づき、損害賠償の責任を負担するとともに、原告らは現在に至っても依然としてその社会的評価が著しく低下させられ重大な精神的苦痛を受け続けているので、損害賠償の責任に加え、責任の負担として、請求の趣旨第2項記載の本件「請願の趣旨」の削除、撤回が必要である。
また、被告らは、本件請願を取下げるなどすることによって謝罪の意思を示すどころか、却ってその名誉権侵害が許されるかのような独自の主張を公表しているのであって、極めて悪質であり、単に金銭賠償等のみによる責任の負担は不十分であって、請求の趣旨第3項記載の謝罪広告の掲載が必要である。
第3 損害及びその評価
1 原告らの損害
原告両名は、前項までに記載したとおり、本件請願による被告らの悪質な不法行為により、その社会的評価が著しく低下させられ、現在に至ってもなお重大な精神的苦痛を受け続けている。
2 損害の評価
前項記載の原告両名得の精神的苦痛を慰謝しつつ、被告の悪質な不法行為およびその強い違法性は、以下のとおり法的に評価される。
(1)被告らの悪質な不法行為により原告両名が被った損害及び慰謝料は、各々金250万円をくだらない。
(2)被告らの本件請願の「請願の趣旨」の提出、公表により、現在に至っても依然としてその社会的評価が著しく低下させられ、重大な精神的苦痛を受け続けているのであって、本件「請願の趣旨」の削除、撤回が必要である。
(3)被告らはその名誉毀損行為についてむしろ正当化していてその不法行為は極めて悪質であって、原告両名が被った名誉権侵害を救済し失われた評価を回復する処分としては、民法第723条適用により別紙記載の「謝罪広告」をなさしめることが必要である。
第4 結語
よって、原告らは、被告らに対し、民法第709条及び719条に基づき請求の趣旨第1項記載の損害賠償および民法第723条に基づき趣旨第3項記載の謝罪広告の掲載を求め、本件提起するものである、
※薄井政美開設ブログ(「好きになろうよ東村山」)及び佐藤真和開設ブログ(「なんとかしようよ!東村山2」)に、2007(平成19)年8月25日から本件請願(「請願の趣旨」)が請求の趣旨第2項記載の通り、削除、撤回されるまでの日数相当期間に掲載すること。
※掲載条件 「謝罪広告」の4文字は20ポイント、その他は12ポイントにより、上記ホームページのトップ頁に、1ページの4分の1のスペースで掲載すること。