餌について

野鳥を保護する場合、餌の確保が重要です。いつも自然にあるものを与える事が
出来れば良いのですが、なかなか難しいでしょう。
このページでは野鳥に与える事の出来る市販の餌について解説しています。
野鳥はそれぞれ食性が異なりますので、その鳥に合った餌を選ぶ必要があります。
詳しくは野鳥別資料のそれぞれの餌の部分を参照して下さい。

配合飼料

すり餌・ペレットなど加工飼料

配合飼料の原材料や栄養成分表示についての最新の情報はメーカーに直接お問い合わせ下さい。
こちらに表記してあるものは2010年1月現在のものですが、メーカーが告知なしに原材料や
成分表示を変更する事もありますのでご注意下さい。

すり餌

  • すり餌とは
    植物性飼料(大豆・米糠・麦粉・玄米等)と動物性飼料(フナ粉等)を配合した日本古来の飼料です。
    植物性飼料を「上餌(うわえ)」、動物性飼料を「下餌(したえ)」と呼び、下餌の割合が大きい餌を「強い餌」と表現します。
    与える餌の強さは鳥の本来の食性や季節によって変わります。

    野鳥の場合、一般に草食性と思われている鳥でも夏季には昆虫を食べます。
    逆に昆虫食の鳥の多くは、虫の少ない冬季は種子類を食べます。
    一般的な飼い鳥のセキセイや文鳥のように一年通して主食が定まっておらず、実際に何を食べているのか研究されつくしていません。
    すり餌はこのような複雑な食性の野鳥の栄養管理に適しています。
    お湯などで溶いてペースト状にして給餌しますので、擂り潰した小松菜、ゆで卵、栄養剤などを混ぜて与える事が出来ます。特に長期保護となる場合はすり餌を食べるようにしておくと偏食による栄養障害などを防ぐ事が出来ます。


    -すり餌の種類
    上餌10に対して下餌3の配合のものを「 3分餌
    上餌10に対して下餌5の配合のものを「 5分餌
    上餌10に対して下餌6の配合のものを「 6分餌
    上餌10に対して下餌7の配合のものを「 7分餌
    と呼びます。主に市販されているのはこの4種類です。

    この他、メジロ用に土佐餌と呼ばれる大豆と玄米を等量にした餌もあります。
    最近では小松菜粉やかぼちゃの粉末入りのものも販売されています。

    微粉末タイプ、顆粒タイプ、固形タイプがあります。
    通常練り餌として使用する場合は微粉末タイプを使用しますが、撒き餌として使用する場合は顆粒や固形状のものが便利です。

    -原材料及び主成分(参考・ハイペット社「小鳥用スリ餌 6分」)
    原材料:魚粉(ふな粉)・米糠・きな粉・米粉・大麦粉・ぶどう糖・クロレラ・ビタミン類・食用黄色4号・食用青色1号
    主成分:粗たんぱく質 26.0%以上・粗脂肪 7.5%以上・粗繊維 8.0%以下・粗灰分 10.0%以下・水分 10.0%以下
    原材料及び成分はメーカーや商品により異なります。詳しくは各メーカーのホームページや通販サイトを参照のこと

    -鳥の食性別すり餌の使用法
    昆虫など動物性たんぱく質を多く摂取する食性の鳥には6分餌や7分餌、特に昆虫食性が強く体力の弱い鳥には胴返しと呼ばれる上餌と下餌が等分のものを使用します。
    種子や果実など、植物性たんぱく質を多く摂取する鳥には3分餌や5分餌を使用します。

    しかしこれはあくまで一般的な使用法で、季節による変化や繁殖期の食性の変化なども考慮して、餌の強さを変える必要があります。
    また、副食として昆虫類や果実、野菜などとあわせて使用しなければなりません。
    詳しくは「野鳥別資料」をご覧下さい。


    -すり餌を使う上での注意点
    季節によらず、冷たい水は使用しません。
    すり餌を与える場合、水は与えないか、控えるようにします。
    腐敗しやすいので、出来れば給餌ごとに作り替えるのが望ましい。

    餌付きにくい場合は、虫や植物の種などその鳥が好むものに絡ませて与えて慣らしたり、少し糖分(砂糖や蜂蜜など)を加えても良いです。糖分は全体の5%を目安として下さい。

ペレット

  • 大型インコやオウムの餌として開発された総合配合成形飼料です。ペットショップなどで海外のメーカーのものが販売されています。
    原料はメーカーにより異なりますが、挽きコーン、大豆、大麦、小麦をメインにひまわりの種や卵黄、果実類が配合されています。ピタミン・ミネラル分も添加されています。
    従来のシード類に比べ、高たんぱく低脂質を謳っており、飼い鳥の総合食として利用されています。

    -メジロやヒヨドリなどの果実食の野鳥の場合、ローリーネクター用ペレットが使用できます。ふやかして流動食として使用します。

    -また、ミルワームの飼料としてドッグフードなどとあわせて使用できます。(乾燥しているのでカビが発生しにくい)
    無着色のものを選ぶと良いでしょう。

マイナーフード

  • 九官鳥用飼料のことです。お湯でふやかして与えます。
    雑食性の鳥(ムクドリなど)に使用できる他、ふやかしたドッグフードと混合してヒナ用の流動食として使用できます。
    動物性飼料を含んでいますので腐敗しやすいため、すり餌同様、注意が必要です。
    -代表的な商品:日本ペットフード社「Q-chan(キューチャン)」
    原材料:小麦粉・とうもろこし・脱脂大豆・肉類(チキン・ポーク)・糟糖類・乾燥野菜・植物油・ビタミン・ミネラル
    主成分:粗たんぱく質 26.0%以上・粗脂肪 4.0%以上・粗繊維 4.0%以下・粗灰分 9.0%以下・水分 10.0%以下

フォーミュラー3

  • アメリカ・ラウディブッシュ社製のヒナ用総合栄養食。インコ、オウムのヒナ鳥、及び病気鳥用。 種子食の鳥のヒナの流動食として使用できます。
    原材料:コーンスターチ、コーン粉、大豆タンパク、大豆粉、大豆油、リン酸カルシウム、メチオニン、炭酸カルシウム・他
    主成分:タンパク質 21.0%・脂肪分 7.0%・繊維質 5.5%・水分 12.0%・カルシウム 0.9%・ビタミンD3 1400 ICU/kg・ビタミンA 10.000 IU/kg

ケイティー ハンドフィーディング フォーミュラ ベービーバード

  • アメリカ・ケイティー社製のヒナ用総合栄養食。
    ヒナ鳥の消化を助ける特別な酵素の配合により、食滞や消化不良を低減します。
    脳や視覚機能、心臓の正常な成長に不可欠なオメガ3脂肪酸が配合されています。
    -ヒナ鳥への給餌方法
    フォーミュラと温水の混合比は、生後1週間は1:9-2:8、以降一人餌になるまでは3:7です。
    原材料:粉とうもろこし、コーン、挽き割り小麦胚、挽き割りオート麦、粉小麦、飼料小麦、コーンオイル、乾燥全卵、大豆蛋白質アイソレイト、乾燥ビート果肉・他
    主成分:蛋白質 22.0% ・ 脂肪 9.0% ・ 繊維  5.0% ・ 水分 10.0%
    (原材料にビタミンA、B、D3、カルシウムの表示あり)

クラウスソフトフード

  • ドイツ、クラウス社製、野鳥用エサ
    「クラウス ソフトフード フェッテ」は、アリのサナギや昆虫などを特殊な脂肪で熟成させたエサ。
    さなぎや昆虫の割合でタンパク質の割合を調整しており、鳥に合わせて与える。
    「フェッテ赤ラベル」<「フェッテ緑ラベル」<「フェッテ青ラベル」の順でタンパク質や脂肪分の割合が増える。
    「フェッテ赤ラベル」「フェッテ緑ラベル」を「Fー赤」「Fー緑」と表記される場合もある。

種子・ボレーなど

飼い鳥のインコやオウム用に販売されている種子餌も種子食・雑食の野鳥に使用できます。 成長の度合いやその鳥の食性によって使い分けて下さい。 昆虫食性の鳥(カラ類、ヒタキなど)も冬季には種子類を食べます。

小鳥の餌・皮付き餌

  • 一般に皮付きの粟、稗、キビ・カナリーシードなどが配合された飼料の事。むき餌に比べ栄養価が高い。
    「殻付き混合餌」「ミックスシード」「殻付き雑穀」など、複数の呼び方がある。
  • 種子食の鳥に使用できるが、 ヒナの間は皮をむく事が出来ないのでむき餌から始める。

小鳥の餌・むき餌

  • 皮をむいた粟、稗、キビなどの配合飼料。
  • 巣立ちサイズのヒナのひとり餌の訓練に使用できる。消化しやすい。

粟玉

  • むき粟と卵をあわせて炒ったもの。タマゴで粟がコートされている。
    -高カロリーなので育雛時に使用する。
    -トロ煮にして種子食性の鳥のヒナの流動食に使用できる。

ハトの餌

  • メーカーによって配合は異なりますが、主にトウモロコシ, 麻の実, 大麦, 小麦, マイロ, サフラワ, ボレー粉などが配合されている。
    -ヒナにはこれらを擂り潰して粉末にし、豆乳で溶いたものを流動食として与える事が出来ます。

その他の種子類

  • 麻の実やヒマワリの種、カナリーシードなどが個別に市販されています。
    これらは脂質が多いので小鳥の場合与えすぎないよう注意が必要です。
    -昆虫食の鳥の副食としても使用できます。

ボレー粉

  • 「ボレー」とは牡蠣の事です。ボレー粉は牡蠣の殻を焼いて砕いて作ります。
    ミネラル分の補給に不可欠です。スズメやホオジロの仲間、ヒワ類などに与えます。
    -市販されている洗浄ボレーを使用しても良いですが、洗浄されていないものは水洗いしてからフライパンで乾煎りし、天日干しにして使用します。
    -葉緑素入りのものも売られています。

通販サイト


生き餌(昆虫類)

昆虫食の鳥はもちろん、雑食性の鳥にも少量与えます。

  • ミルワームが代表的ですが、爬虫類の餌として様々な昆虫が販売されているので利用できます。
    缶詰のコオロギやミルワームもありますが、虫を与える場合、虫を介して鳥に栄養補給する事(ガットローディング法)が大切ですので、生きた虫をお勧めします。
    ミルワーム、デュビア、ワラジムシ、コオロギは雑食性ですので、栄養価の高い餌を与えて栄養改善してから鳥に与えます。
    ・野菜(ニンジン、かぼちゃ、小松菜、ふかしたサツマイモ等)
    ・ドッグフード
    ・無着色ペレット
    ・すり餌
    ・カルシウム剤(人間用のものでも可) これらを飼育容器に入れて食べさせてください。
  • 市販されている生き餌の昆虫類の殆どはカルシウムの含有量が少ない事が問題点です。
    爬虫類の生き餌のガットローディング用に無リンカルシウムなどが販売されています。
    参考:爬虫類ショップワイルドモンスターよりサプリメントのページ
    人間用のカルシウム剤を生き餌に与えてもリン:カルシウム比はかなり改善できます。
    また、生き餌に直接カルシウムパウダーをまぶして付着させ、鳥に与える事でカルシウムを補う方法もあります。(ダスト法)

生き餌となる昆虫の種類と特徴

ミルワーム

  • ミルワームとは チャイロコメノゴミムシダマシという穀物に付く害虫の幼虫です。生き餌として最もポピュラーです。
    昆虫食の鳥はもちろん、雑食性の鳥のヒナへの給餌にも使用できます。
    ペットショップなどでヒナ鳥への給餌用や爬虫類の餌として販売しています。大体1パックに200匹程入って200円程度です。
    成虫は黒い殻虫で、羽根はありますが飛びません。
    雑食性で乾燥した環境を好み、水に弱い虫です。 水に漬けると数秒で死にます。
    冷蔵庫に入れると冬眠状態になりますので、長期保存も可能です。

  • ミルワームを使う上での注意点
    • ミルワームは市販されている状態ではフスマ(麦の外殻)などを餌に飼育されています。このままでは栄養状態が良くありませんので、上記の方法や下記の「参考になるサイト」を参考に栄養状態を改善してから与える必要があります。

      --夏季はミルワームの成長が早く、サナギになってしまうので冷蔵庫で保存します。ただし、冬眠状態になるとあまり餌を食べませんので、ある程度餌を与えて太らせてから冷蔵庫に入れてください。(サナギを食べさせても問題有りませんが、切り分けて与えるなどした方が良いでしょう)
      冬季は成長が止まりあまり餌を食べなくなる事がありますので、注意して下さい。
    • ミルワームは脱皮を繰り返して成長します。ミルワームの皮はキチン質を多く含んでおり、あまり消化に良くありません。脱皮直後は表面の皮が薄く、白い色をしています。この白いミルワームは消化しやすいので優先的に与えて下さい。

      --栄養改善する期間が短い場合、カルシウム剤そのものを食べさせたり、ビタミン剤に漬けたりして栄養改善する事も出来ます。

      --気温・湿度の高い季節はミルワームの餌にカビやダニが付く事がありますので注意して下さい。

      参考になるサイト
      すずめSOSさんの「ミルワームの栄養改良」

ジャンボミルワーム

ツヤケシオオゴミムシダマシの幼虫。通常のミルワームより大きい。(5センチ以上)
「ロイヤルミルワーム」「ジャイアントミルワーム」などとも呼ばれる。
カルシウム含有量は通常のミルワームより多い。

ハニーワーム

蜂の巣に寄生するハチノスツヅリガの幼虫。
脂肪分を多く含むため高カロリーで嗜好性が高いので与えすぎに注意する。
換羽やその前後の体力消耗時に使用すると良い。

ブドウ虫

ブドウスカシバの幼虫。釣具店で購入できる。養殖できないため高価。
(安価なものはハニーワームです。)

コオロギ

ヨーロッパイエコオロギやフタホシコオロギが販売されている。
ワーム類よりはるかに多くカルシウム、たんぱく質を含む。
雑食性で水切れにも比較的強い。水濡れに弱い。
動きが早く跳ねるので扱いにくいが、捕食の訓練に使用すると良い。

デュビア

通称アルゼンチンフォレストローチ。動きが遅く、無臭。飛ばないので給餌しやすい。
雑食で繁殖力が強いため、大量に増やす事ができ、水切れに強いので飼育も容易。

レッドローチ

エサ用ゴキブリ。あごが弱く、成長が早いので扱いやすいそう。デュビアに比べると臭い有りらしい。

ホソワラジムシ

外骨格である背甲に炭酸カルシウムが含まれるため、カルシウム補給に役立つ。
ホソワラジムシは甲殻の堅いダンゴムシや他のワラジムシと比べ体は柔らかい。
雑食性。乾燥に弱い。

通販サイト

スフィロアクア
虫の飼育法も掲載しています。

爬虫類倶楽部

爬虫類ショップワイルドモンスター


猛禽類の餌

冷凍のマウスやウズラ,ひよこなどが販売されています。

マウス

生後間もないピンクマウス(3センチ前後)、アダルトマウス(10センチ弱)や、大型のラットなどが販売されています。

ウズラ

解体処理してあるものが販売されています。

通販サイト

猛禽プロショップ テイクオフ


野菜・果物

野菜

植物食性、種子食性、雑食の鳥には毎日欠かさず与えます。
昆虫食性の場合も擂り潰してすり餌に混ぜて与えます。

小松菜、大根葉、野草のはこべが適しています。豆苗は栽培しやすく鳥も好みます。
ほうれん草は蓚酸が含まれるため適していません。

果物

果実食の鳥には毎日与えます。雑食、種子食の鳥にも少量与えます。
リンゴ、バナナ、熟した柿、ブドウなど。


サプリメント・栄養剤

鳥にもビタミン、ミネラルなどが必要です。
食事の中で自然に採れる事が理想ですが、人間の与える餌には限界がありますので栄養障害になりやすいです。
獣医師に処方してもらうか、相談した上で飼い鳥用に販売されている栄養剤を利用して下さい。
特にヒヨドリ、ツバメはビタミン不足による障害を起こしやすい鳥ですので気をつけてください。

ネクトンシリーズ

  • ネクトン社
    獣医でも処方されている代表的なメーカー。
    総合ビタミン剤の他、換羽促進剤、カルシウム・ミネラル強化剤(くる病の予防・症状の緩和)などがあります。

小鳥の知恵シリーズ

現代製薬シリーズ

小鳥の部屋USA

PET Ag社 バードベネバック

  • CAP!オンラインショップ
    アメリカ ペットエイジ社の鳥用整腸剤。鳥の腸内から採取される7つの一般的細菌株から作られている。

ドッグフード等

昆虫食や魚食の鳥の場合、代用食として使用する場合がある。 鳥用の食品ではないので、使用には注意すること。

また、ミルワームの餌にも使用する。

犬猫用の療養食品のa/d缶や退院サポートを 肉食・魚食の鳥の 強制給餌(緊急応急処置的) に希釈して使う事がある。


#pcomment_nospam
最終更新:2015年04月01日 19:16