今日読んだSF/FT/HRの感想@SF板まとめページ
リチャード・マシスン
最終更新:
匿名ユーザー
-
view
ある日どこかで
42 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 02/04/22 21:27
マシスン「ある日どこかで」
マシスン「ある日どこかで」
幻の名作という期待が高すぎたか、前半が長く感じるのと、
あと過去に行ってからのヒロインとの絡みもやや冗長で、
安易な感じがする。
ヒロインの魅力がイマイチというのは「本の雑誌」
における大森氏評に禿同(これは好みの問題だが)。
ヒロインの造型は現実のモデルがいるだけに、
これに制約された部分もあるだろう。
中高生時代に読んでいたら、恋愛ものとしても
それなりに楽しめたと思うが、30過ぎの人間の
目にはちょっと陳腐な感じがした。
もっとも、改変歴史小説として、あるいは現実と幻覚の
境界を描いた話(一種のサイコホラー?)としては、
それなりに読みごたえあり。
弟の語りの部分を、冷静に分析する兄の手記で挟むという
構成もなかなか秀逸。
残念なのは、兄の分析部分の方が面白い。
あと過去に行ってからのヒロインとの絡みもやや冗長で、
安易な感じがする。
ヒロインの魅力がイマイチというのは「本の雑誌」
における大森氏評に禿同(これは好みの問題だが)。
ヒロインの造型は現実のモデルがいるだけに、
これに制約された部分もあるだろう。
中高生時代に読んでいたら、恋愛ものとしても
それなりに楽しめたと思うが、30過ぎの人間の
目にはちょっと陳腐な感じがした。
もっとも、改変歴史小説として、あるいは現実と幻覚の
境界を描いた話(一種のサイコホラー?)としては、
それなりに読みごたえあり。
弟の語りの部分を、冷静に分析する兄の手記で挟むという
構成もなかなか秀逸。
残念なのは、兄の分析部分の方が面白い。
再読すれば印象が変わるかも知れないが、とりあえず
初回の印象は5点。
初回の印象は5点。
943 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 04/12/10 02:03:28
リチャード・マシスン『ある日どこかで』(創元文庫)
リチャード・マシスン『ある日どこかで』(創元文庫)
ガンで余命いくばくもない男が、ホテルの写真で見た昔の女優に一目ぼれ、
タイムスリップして恋に落ちるという、ロマンチックではあるがDQNな話。
(そんな奴おらんやろ)
序盤にホテルの描写がやたら続いたり
「あ…今タイムスリップしそう…しそう…駄目か、ふー」
みたいな試行錯誤(気分が当時へトリップすれば移動できるという理屈)
がえんえん書かれてたり、現代小説としてはテンポ悪いです。
首尾よく昔の時代に行けたあとも、どこの誰ともわからんはずの主人公を
女優が比較的あっさり受け入れて簡単に両思いになったりして
何だかなあと思いながら読んでました。
実は結構エンディングが切なく、読後に逆算して考えると
序盤のテンポの悪い部分もわりとしっかりはまってるんだなあという感じ。
読書中は結構イライラしてたんだけど。
タイムスリップして恋に落ちるという、ロマンチックではあるがDQNな話。
(そんな奴おらんやろ)
序盤にホテルの描写がやたら続いたり
「あ…今タイムスリップしそう…しそう…駄目か、ふー」
みたいな試行錯誤(気分が当時へトリップすれば移動できるという理屈)
がえんえん書かれてたり、現代小説としてはテンポ悪いです。
首尾よく昔の時代に行けたあとも、どこの誰ともわからんはずの主人公を
女優が比較的あっさり受け入れて簡単に両思いになったりして
何だかなあと思いながら読んでました。
実は結構エンディングが切なく、読後に逆算して考えると
序盤のテンポの悪い部分もわりとしっかりはまってるんだなあという感じ。
読書中は結構イライラしてたんだけど。
世間では人気高いようですね。
激突!
327 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 02/09/30 13:07
リチャード・マシスン『激突!』小鷹信光・訳
リチャード・マシスン『激突!』小鷹信光・訳
マシスンの短編集だが、五作のうち「激突!」「蒸発」「屠殺者の家」は
すでにそれぞれ他のアンソロジーに収録されているのを読んでいたので、
初読は「狂った部屋」と「不吉な結婚式」のみ。
一番軽い「不吉な結婚式」のほうが面白かった。
訳者による解説が、批判的な部分も含めてうなづける点が多く、充実している。
自分もどっちかというとマシスンの作品は幽霊物よりもパラノイアックなサスペンスのほうが好きだ。
すでにそれぞれ他のアンソロジーに収録されているのを読んでいたので、
初読は「狂った部屋」と「不吉な結婚式」のみ。
一番軽い「不吉な結婚式」のほうが面白かった。
訳者による解説が、批判的な部分も含めてうなづける点が多く、充実している。
自分もどっちかというとマシスンの作品は幽霊物よりもパラノイアックなサスペンスのほうが好きだ。
5点
地球最後の男
434 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/11/01(火) 13:37:32
「地球最後の男」 リチャード・マシスン
「地球最後の男」 リチャード・マシスン
藤子FのSF短編の元ネタであることと、
これを映画化した「オメガマン」がマニアの間で好評だと言うことは知っていたが、
読むのは今回が初めて。
これを映画化した「オメガマン」がマニアの間で好評だと言うことは知っていたが、
読むのは今回が初めて。
映画化で受けた原作というものは総じてつまらないものと思い、あまり期待せずに呼んだところ・・・
意外や意外。面白かった。
ストーリーは、藤子Fの漫画を読んだ人は察しがついているだろうが、
人類がなぜか次々に、かつて伝説として恐れられた吸血鬼のようになり、
人を襲い始めた世界で主人公が一人、孤独な戦いを続けるというもの。
このストーリーは今となっては陳腐なものであろうが、
当時(1954年)としてはなかなかにツイストの効いていたものであっただろう。
だが、今回読んでみて驚いたのだが、このストーリーを読者に追わせるための「展開」が見事。
まさしく事態が「二転・三転」するというに相応しい展開で全く飽きさせない。
人類がなぜか次々に、かつて伝説として恐れられた吸血鬼のようになり、
人を襲い始めた世界で主人公が一人、孤独な戦いを続けるというもの。
このストーリーは今となっては陳腐なものであろうが、
当時(1954年)としてはなかなかにツイストの効いていたものであっただろう。
だが、今回読んでみて驚いたのだが、このストーリーを読者に追わせるための「展開」が見事。
まさしく事態が「二転・三転」するというに相応しい展開で全く飽きさせない。
さらに、人類が「吸血鬼」と化した原因は実はバクテリヤによるものであるが、
このウィルスが人体にどのように作用し、その結果「吸血鬼」のようになるのか
その機序について詳しく――おそらく当時としては――書かれているのにも驚かされる。
特に驚いたのが、「何故、吸血鬼は胸に杭を打たれると灰になって死ぬのか」を説明したくだり。
このウィルスが人体にどのように作用し、その結果「吸血鬼」のようになるのか
その機序について詳しく――おそらく当時としては――書かれているのにも驚かされる。
特に驚いたのが、「何故、吸血鬼は胸に杭を打たれると灰になって死ぬのか」を説明したくだり。
「つまり、吸血バチルスは任意性の寄生菌なんだ。酸素があっても、無くても、生きていられる。
(中略)
しかし、組織の中に空気が入ると、状況は途端に違ってくる。 吸血バチルスは好気性に変わり、
組織との共生をやめて、激しい寄生性を示し、宿主の吸血鬼を食い尽くしてしまうんだ」
「じゃあ、杭は……」
「もちろん、空気を入れるだけのものさ。空気を組織の中に落とし、
傷口が体膠質で閉じられないように、開いておくわけだ。心臓は何も関係は無い」
(中略)
しかし、組織の中に空気が入ると、状況は途端に違ってくる。 吸血バチルスは好気性に変わり、
組織との共生をやめて、激しい寄生性を示し、宿主の吸血鬼を食い尽くしてしまうんだ」
「じゃあ、杭は……」
「もちろん、空気を入れるだけのものさ。空気を組織の中に落とし、
傷口が体膠質で閉じられないように、開いておくわけだ。心臓は何も関係は無い」
当時(1954年)としてはなかなかの科学考証ではなかろうか?
もしかしたら、この作品は今流行りのバイオ・ホラーの先駆けとして受け止めるほうが良いかも知れない。
現代でも及第点を与えられると思うよ。
もしかしたら、この作品は今流行りのバイオ・ホラーの先駆けとして受け止めるほうが良いかも知れない。
現代でも及第点を与えられると思うよ。
点数:8/10点