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ロジャー・ゼラズニイ

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怒りの神

864 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/02/26(日) 18:03:33
「怒りの神」フィリップ・K・ディック&ロジャー・ゼラズニイ

それぞれに癖の強い二者の共作だが、割合としてはディック8:ゼラズニイ2くらいの印象を受ける。
SFっぽいフレームで始まって、どんどん悪夢的に逸脱していくストーリーは、
まさにディックそのもの。神学についての薀蓄やリルケなど詩の引用にゼラズニイの衒学趣味を観て取れるが、
話の進行とあまり関係ない対話にて述べられるので、実にディック的に読みづらい。
大戦争後の荒野で出会う狂った機械たちが良い味を出している。
3つだけなんでも「質問」に答え、その後相手を殺してしまう逆スフィンクスなロボットとか。
自転車を「修理」してホッピングにしちゃう自動修理工場とか。

7点

イタルバーに死す

580 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/12/16(金) 23:50:09
イタルバーに死す/ロジャー・ゼラズニィ

宇宙を相手に回して一人戦う男、とかいつものゼラズニィだが、
視点が激しく切り替わって、やや話が判り辛い。
廃墟となった地球にただ一人君臨し、慰みに核ミサイルぶっ放す主人公、とか
ビジュアル的なハッタリは最高なのだけど・・・
オチもかなり唐突。
マッドな主人公にひたすら忠実なテレパシー生物シンドにはちょっと萌え。
6点

影のジャック

267 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 02/08/15 16:16
「影のジャック」byロジャー・ゼラズニィ
近所の古本屋で偶然見つけた。これってラッキー?
この人の作品はアンバーを少し読んだだけなのだが、
主人公が微妙なワルなのが似ているような。
一人で危機を招き、一人で解決する。一人相撲っぽいような。
「<火炎剣>は傷口を消毒してくれる良心的な武器」
とか言ってる馬鹿はジャック様に百回ぐらい斬られて堆屍穴に逝ってこい!

599 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/12/23(金) 23:49:39
「影のジャック」ロジャー・ゼラズニイ
T&Tを始めとする米国TRPGで名前を聞いて以来、
(主として「盗賊」タイプの元型キャラクターとして)ずっと読みたいと思っていた一作。
期待に違わず、その全てが異彩を放ち、魅惑的な世界。
影を支配する不死の主人公に始まり、世界の〈西極〉にあって殺された〈暗黒界〉の住人がそこで復活する〈堆屍穴〉、
〈エルズの書〉にその名を記された七人の魔王(パワー)たち・・・
なかでも魔法を奉ずる〈暗黒界〉の住人の世界観が機械を中心としており、
科学技術を信じる〈陽光界〉の世界観はその逆となっている、という世界の根幹を成す設定の捻りが面白い。
そうした特異な世界観が、主人公の復讐譚と魂の葛藤というドラマと結びついて導かれる完璧なまでに美しい結末。
オールタイム・ベストにこの作品を挙げる人が多いのも納得の傑作であり、
《アンバー》シリーズ並の長編で描いてほしかった、とさえ思う。

10点。

砂のなかの扉

556 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/12/04(日) 18:07:23
砂の中の扉/ロジャー・ゼラズニィ
ゼラズニィ&黒丸尚の黄金コンビ。
「嗅げているか死を…」謎めいた言葉が眼裏を過ぎる、というカッコ良過ぎる導入で
ガッチリ心を掴まれる。
13年間大学に在籍して、叔父の遺産で遊び暮らす主人公のロクデナシっぷりも素敵。
地球存亡の危機が、あの手この手で彼を卒業させようとする大学当局との攻防が同列に語られる・・・
むしろ主人公にとっては後者の方が断然重大らしい(卒業すると遺産が貰えなくなるので)、というお気楽ぶり。
軽快なストーリーに、高所愛好症だのカンガルーに化けた宇宙人だの、星間「クラ」連鎖(宇宙人にモナリザ貸し出しました)だの、
反転装置だの、襲撃療法だの、駄法螺と紙一重なガジェットが詰め込まれた、玩具箱のような一篇。
あと、叔父さん最高。
9点

新世界アンバー

176 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 02/07/18 23:54
何周目かだけどゼラズニィ、新世界アンバーシリーズ。

厨房で初読したときには意味不明だった点も、今読み返すと意味がわかる。
不確定性原理をモチーフにした世界だったのかなぁ。
当時は単純に剣と魔法な世界のファンタジィとして読んでたけど。
そう思うとやっぱりこれはファンタジーでありSFなんだろうな。
好きと嫌いは分かれると思う、けど、ファンタジー好きに一度は読んでみてもらいたい本。

光の王

233 名前: ◆GacHAPiUUE 投稿日:2006/04/30(日) 01:21:01
光の王
海外SFノヴェルズ
ロジャー ゼラズニイ (著)
深町 真理子 (翻訳)

古本屋で装丁版を発見、すぐさまゲットする。だれが新刊なんか買ってやるもんか。

他惑星に新しい文化を切り開いた人類、彼らは現住する知的生命体や新世代、
お互いの政治的闘争の手段に”科学技術”を神の御技に昇華させていた。
永久に続くかと思われていたインド神話然とした世界をシッダルダ、仏陀、
あるいは終わらせる男、通称サムが殺していくのだった…。

死の神ヤマ、雷神アグニ、その他美の神、法の神…
西欧人としては考えられないほどの造詣と知識でもって綴られる新しい物語。
もしインドでこれが翻訳されたらどんなことになることやら。
メリケンでもちゃんと調べ、読み、考えればこれだけの知識が得られるんだな、とちょっと感動した。
実は再読だったんだけど、何度読んでもいいものはいい。

10点

ロードマークス

843 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/02/20(月) 00:53:28
「ロードマークス」ロジャー・ゼラズニイ
合法的殺人ゲーム、ティラノサウルスに跨ったサド侯爵、
異星人の残した地球破壊ロボットと、小道具だけ見ればまるでプラット「フリーゾーン大混戦」
ばりのイロモノSFだが、(ちゃんとヒットラーも登場する)さにあらず。
ベイリー「時間衝突」に匹敵するユニークな発想で編まれた時間SFの大傑作。
ラスト近く、自分で埋めた物を未来で発掘する、某「神の手」みたいなウルの考古学者との問答が、この作品の特異な時間観念を
最も良く表している。(「詐欺じゃありませんか?」「とんでもない。・・・埋めたものが発掘されるのは、ほんとに六千年あとなんだから」)
〈道〉を行く人々の活動によって絶えず変化を繰り返す、動的な歴史・・・こんな素晴らしい大舞台に
魅力溢れる多数のキャラクターを満載しながら、こんなコンパクトな一篇にまとめてしまうゼラズニイの廉潔さがむしろ憎い。
それにしても、実質的なヒロインにして、殆どの修羅場を解決する大活躍を見せるのが2冊の「本」、
というのはどういう変化球なのか。個人的には「草の葉」よりも、世話焼き女房な「悪の華」萌えでした。

10点
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