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小松左京

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zgok0079

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大阪夢の陣

852 :小松左京 大阪夢の陣 徳間文庫 1/2:2007/03/13(火) 22:40:19
昔の骨太なSFを読んでみたいと思ってたら
古本屋で、これを発見。
早速購入して読んでみた。

とりなおし(リテイク) 8点

タイムマシンで歴史の大事件を撮影するテレビクルーのお話。

ハリイ・ハリスンの「テクニカラー・タイムマシン」を思わせるが
「テクニカラー~」が「ぷらちなロンドンブーツ」だとしたら
こっちは「浅草橋ヤング洋品店」(ようするに、登場人物たちがねちっこくて
身につまされるのだ)。

猥談や浮き草稼業への矜持と愚痴、「もう勘弁して!」といいたくなるが
それと同時に「歴史と人類」、「量子論とタイムトラベル」といった
非常に思弁的なテーマが、サクッと語られるところも小松御大的である。
なんというか、無茶苦茶臨場感にあふれるタフな作品。

大阪夢の陣 10点
その続編。当たり前のことだが小松左京が続編を書いたら
それはただの続編では終わらない。
時間空間、を駆けずり回り、ついには…そこは読んでください、大満足(´∀`*)

黄色いねずみ 8点
高級住宅地に住む白人のザーマス奥様たちの間でささやかれる噂、
それは…
硬質な文体で展開される寓話、といいたいが
クライマックスで、これはやはり、人類を扱った「SF」なのだ、と思わされる怪作。
まるで東欧あたりの前衛作家が書きそうだが、最後の落ちのセリフで「小松さんだなあ」と。

寂の通路 6点
奥さんの不妊症に悩む主人公が、その原因を探ると、それは数十年前に
この社会から消えたはずの物質で…
細かく書くと落ちがばれるのでよすが(もうばれている気もするが)
小松御大のサイエンスの面は、この作品に一番濃く表れている。
と同時に夫婦間の感情など、文学的側面も非常に充実しており、やっぱり大満足(´∀`*)

知恵の木の実 8点
これは、ストーリーを語ったり、比喩を使えば、ネタがわかるというものなので
感想のみで。とにかく切ない。地球の生態系そのものを扱っているので
これも、ストレートなSF、大満足(´∀`*)

木静かならんと欲すれど 5点
小松御大らしき主人公の家族がとかいの喧騒を逃れようと田舎に引越すが…
メディア社会を扱った擬似イベント。
非常に出来はいいが、(SF的な)飛躍は少ない。
ただ題名といい、一種の私小説的側面もあるので、よくアンソロジーなどに
載っている(実は再読作品なのでした(´・ω・`)ショボーン )

最後の解説が豊田有恒氏。
「小松左京氏の魅力は、この作品に載ってる分だけではないし
よく誤解されるが小松氏には文壇ボス的な部分は一切ない!」
と大力説、結構なのだが、どうもこの本、太陽風交点事件で
SF作家達が早川から徳間への移動を終えた直後に出された本らしい。
そのため、奥付には、初出はおろか発行年さえ記されていな。

よって総合は7点、では続きは次回の講釈で<(_ _)>

神への長い道

378 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/05/24(水) 21:21:52
「神への長い道」小松左京 ハヤカワSFノヴェルズ

 表題作が強烈だった。

 人類が文明を極限まで発達させ、停滞期に入った時代に生まれた主人公が、刺激を求めていきあたりばったりな生活を送り、二度結婚して二度とも妻子を捨てたあげく、
人類の発展は頭打ちでつまらないやという身勝手な理由で世間を見捨てることを決断する、という設定にまず驚いた。
 人類がどうとかいう前に嫁さんと子供を捨てたらいかんだろ、と内心ツッコミを入れざるをえなかった。独特の人物造形だと感じた。

 物語は、とあるいきさつによりある惑星へやってきた主人公が、物語開始の時点ではセックスする気力もないほどの倦怠にとらわれている中で、その地において、人類にはまだ進歩する余地があるんだということを発見する、という展開を見せるのだが、
すっかり元気を取り戻した主人公がセックスする気満々になって実際にセックスを始める、という結末には驚愕した。
 そのあまりの神展開ぶりには失笑をこらえることができなかった。

 人類の進歩が袋小路にはいったのどうのというご大層な理屈と、主人公のバカな人生とが交錯して、たいへん珍妙な作品に仕上がっていると感じ、ある意味で感銘を受けた。
 小松先生のナチュラルなギャグセンスには脱帽した、と言う他ない。

 他の短編については、児童向けのショートショート程度の物語の枠組みに、冗長な文明批評を詰め込んだだけの小説もどきばかりだったので、あまり笑えなかった。そういう意味で残念だったこともあり1点。 

593 :名無しは無慈悲な夜の女王:2007/02/20(火) 23:32:23
神への長い道 小松左京
徳間文庫 1989年

宇宙鉱山:小ネタだけど、同じ流れでいくつも作れそうなのに・・・少しもったいないかな。
飢えた宇宙:「ドッキリをやる気か?まさか・・・」みたいに頭を抱えて読んでたけど、結局・・・うーん。
どうだろう・・・ネタとしての組み合わせは良いと思うけど、やっぱ完全にダウトだろうと思う。というか
仕掛ける側がなんでホラー仕立ての一本なんだよと。というかいきなり女にトドメをさして吹いた。
まさに外道。最後は自業自得な気がする。
宇宙に嫁ぐ:読んで、一番ホッとした。というか、全然痛くない場合もあるし、逆に閉膣になってしまって
いるのとか、それに近いのとかは、今でも婦人科あたりの取り扱いなんだけどね。
星殺し(スター・キラー):エロ(特にホモ)描写が、もうどうにもならないくらいに鬱陶しい。別の方向性に
持って行っていれば、面白い話になったと思うけど・・・。
再会:地球って、どんなに氷が溶けてしまっても、そんなに水ないっしょ。地殻がどんなに動いても、
水量自体は変化しないから・・・。
神への長い道:ネタとしては好きだが、描写が鬱陶しすぎて相容れない。残念。

(ホモはもう勘弁orz つーか小松氏、エロ描写に何かこだわりでもあるんですかね?よく知らないけど。)
5点

こちらニッポン・・・

980 :でへ:2007/03/21(水) 22:38:27
こちらニッポン・・・ 小松左京 ハルキ文庫

30年ほど前に朝日新聞で連載した話。
当時新聞で読みました。
(ちなみに読んだのは高1のころ)

少し前に、プリーストの「魔法」を読んで、
そういえば、こんな結末の話、あったよなあ、、、
で思い出したのが、この話でした。
アマゾンで在庫があったので注文し、再読

ごくわずかを残し、地球上の人間が
一夜としていなくなる。
残った少数の人間が、どうやって生きていくかを
書いた話。
社会のインフラがどうなっていくか、天変地異が
起こったときはどうなるか。などをリアルに
シミュレーションし、書いてあります。
(この程度のことは御大として当然であるが)

ただし、最後が、ここで終わっちゃうの、、っていう
感じの尻切れトンボで、初読当時には、コレは
おきて破りなんじゃないか?と思うような
終わり方でした。
(今なら許せる)

再読し、比べてみると、プリーストの話は
コレよりはるかに謎で、面白い終わり方でした。

でも、この話は終わりを除いては結構面白いので
7点

日本沈没 第二部

529 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/07/11(火) 11:32:02
小松左京+谷甲州「日本沈没 第二部」
5点
何この臆面の無いユートピア小説。
臆面してたら小松左京じゃないけど。
出る人出る人深くてスゴイ人ばかりなのが
恩田陸みたいでリアリティ無さすぎ。
対米認識はやっぱりベ平連てゅか戦中派。
支那のガッツキぶりは「パンドラ」でも悪役にされてたけど、
歴史上常に夷狄の侵入にさらされてきたので
対外恐怖意識から過剰に反応するって違うと思う。
単に自他の区別がつかないので手の届く範囲にあるのは
何でもオレの物としか認識出来ず摩擦とか気にしてないだけ。

谷甲州さんはクラークの設定で通俗小説書いたジェントリー・リー
でもなく共作名義で自分の小説書いたバクスターでもなく、
小松左京さんの運転手みたいな感じだったのね。
目的地と寄ってくとこは決まってるけど道はまかせる、みたいな。

17 名前:でへ 投稿日:2006/10/21(土) 22:09:18
日本沈没 第二部 小松左京+谷 甲州 小学館

日本沈没の続編として、うまくまとめた力作
ラスト近くになって、前作で生き別れになった
二人も再会するし、「果てしなき流れの果てに」で、
ちょっと出てきたシーンも出てくる
でも、最後は急いでまとめすぎた
感じがします。

7点

果てしなき流れの果に

310 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 02/09/08 22:24
「果しなき流れの果に」小松左京 ハルキ文庫
昭和41年に初版が刊行された。
この作品を読むのは5回目。何度読んでも読了後に不思議な気分を味わう。
現実の時の流れがもはや何の意味もなくなり、大地がぐにゃりと溶けてしまう
ような現実を認識する能力がひどく低下していしまうような感じ。
俺が生まれる前(因みに昭和44年生)に書かれたものとはとても信じられん。
日本SFにおける最高傑作のひとつと言い切ってしまって良いだろう。
未読の方はぜひ。

SF魂

699 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/07/31(月) 11:51:21
小松左京 「SF魂」
  • 点(ノンフィクションの新書だから)
本日めでたく終了した日経“私の履歴書”単行本化刊行待ってる人は
これ買っとけば待つ必要無いと思います。両者間の差異は
同一口述データを日経と新潮社の編集者が別々にテキスト化したぐらい
の程度。逆に“履歴書”を本にまとめるなら新書がキャリア中心の記述
だったんで、バイオグラフィ中心に増補(加筆?)したら良いんじゃ?

18 名前:でへ 投稿日:2006/10/21(土) 22:29:01
SF魂 小松左京 新潮新書

言うまでも無いが日本SF界の第1人者
小松左京の自叙伝
小松左京に興味のある人とか、
SFマガジン創成期から80年代くらいまでの
SFの状況が知りたい人にはオススメ

雑誌記者の時代に湯川秀樹博士に取材した
時のエピソードなど、思わず、ニヤリと
させられた。

史料的価値もあると思う 8点
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