今日読んだSF/FT/HRの感想@SF板まとめページ

ロバート・ホールドストック

最終更新:

匿名ユーザー

- view
管理者のみ編集可

アースウインド

607 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 04/05/17 00:36
ホールドストック「アースウインド」

「リードワールド」から一転して、かなりディテールを緻密に深く
突っ込んでいる。
その分深みは出ているが、筋立てがやや一本調子で、起伏に欠けるのが痛い。
テーマは「生態系の中に取り込まれてしまう種や個体」といった内容で、
後のミサゴシリーズなどにも通ずるものだが……。
そして何より、訳文が読みにくくて参った。
特に、最後の最後、肝心の真相が明らかになるいちばん肝心の場面
(「3つの渦巻き」の意味などを解き明かす部分)で、訳文が
ぐちゃぐちゃで意味不明なのが、致命傷。
「時間センター」とか「指示センター」とか、訳語も意味不明だし。
多分「中枢」って意味なんだと思うけど。
ホールドストックの文章は、他の作品の訳書や原書を見ても、
そんなに分かりにくくないはずなのだが……。
訳者の人ごめんなさい。

正直に評価して 5点が精一杯 アイデアは最高なのに、惜しい……

ミサゴの森

258 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 03/10/20 23:31
R・ホールドストック「ミサゴの森」(角川書店)

神話・伝承の原型が跳梁跋扈し、異界への門が中心に据えられた不可思議な
森を巡り、人間の想像力について語られた幻想文学。
上記のテーマを、一人の女を父・兄・主人公の3人で奪い合うというストーリーで
読ませてくれました。
たらたらと半年かけて読んだせいか、イングランドの神話・伝承の生成、歴史的背景、
作中のヒロインについての伝承、森とその植生についての話等、重層構造になっている
物語を思いっきり楽しませてもらいました。
個人的には「アースウィンド」を一部思い出したりして、懐かしくもありました。
巻末の解説を読むと続編が翻訳刊行予定になっていますが、出ていませんね。
そこで1点差っ引いて、8点というところでしょうか。

ラヴォンディス

587 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 04/05/07 00:52
ホールドストック「ラヴォンディス」

ミサゴシリーズ第2作。「ミサゴの森」で重要な脇役として登場し、
終盤で森の中に消えたハリー・キートンの妹タリスが主人公。
祖父の霊感を受け継いだタリスは、ライホープの森周辺の物語を
語り、その物語に関連する仮面や人形を作り、それを使って
向こうの世界への入り口を開く能力がある。
兄ハリーは数年前失踪したが、タリスはハリーが森のどこかで
生きていると信じている。
ある日、自作の仮面をかぶり、向こうの世界の若者を見て
好きになったタリスは、その若者を救うため、また、兄ハリーを
探すため、アザーワールドへの果てしない旅に出かける……
というのが大まかなあらすじ。
後半の展開は、予想を大きく超え、強烈の一言。
込み入ったプロットが、いちおう無理なく説明されるだけでなく、
タリスが「ラヴォンディス」に入り、ハリーと会うまでに見、
経験するヴィジョンは、目眩がするほどに凄い。
様々な解釈を可能にするラストも妄想をかき立てる。
終盤の様々なものを統合してしまう巨視的ヴィジョンが
もたらすSF的突き抜け感において、「ミサゴの森」より
数段上で、個人的にオールタイムベスト級。文句なし10点。
このシリーズ全部読みたくなってきた。
つうかホールドストックは、全部読んだ方がいいな。
めっちゃ好みやわ。
他に長編2冊、短編集1冊出てるようなので、チェックしてみよう。
本作の重要な脇役である「ウィリアムス氏」を主人公にした
話も読みてえ。

リードワールド

588 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 04/05/08 00:02
ホールドストック『リードワールド』
あー面白かった。9点。
処女長編だけあって荒削りだが、アイデアがよすぎる。
マーティンの「ライアへの讃歌」をバージョンアップしたような内容。
(しかもラストのベクトルが正反対を向いているのが面白い)
巨大な自然、進化の階梯の中の段階としての種、自然の一部としての
人類、的なテーマは、ミサゴの森なんかとも通じ、一貫している。
次の『アースウインド』もすぐ読み終わりそうだ。
面白すぎる。
記事メニュー
目安箱バナー