今日読んだSF/FT/HRの感想@SF板まとめページ

古川日出男

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アラビアの夜の種族

160 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 03/09/11 21:44
古川日出男「アラビアの夜の種族」

あと一歩って感じ。ただそれはつまらないとか面白くないという意味ではなくて。
ルビを多用した色とりどりの文体とか口語体の迫力とか訳注というスタイルを効果的
に用いているとかいった表現技法に加えて日本人のあまり知らないアラビア及び
イスラムのエキゾチックな雰囲気がうまく出ている物語とか非常に面白いんだけど、
それだけにあと一歩という感じは否めない。

本当にあと一歩踏み込んでくれれば(それがどんなに大変かは知る由も無いが)
日本SFの歴史に残るほどの大傑作が生まれたのに、とか思ってしまうのは
勘違いだろうか。点数は9.5。あと一歩踏み込んでくれたら10点満点で11点が
つけられたのに。

305 名前:でへ 投稿日:2006/05/14(日) 07:29:58
アラビアの夜の種族 古川日出男 角川書房

大人向けのアラビアンナイト風の話を含んだ、
複数の物語が(時間軸の違う話も含む)、展開し、
最後に一つにまとまって、見事な大団円
となりました。堪能しました。

これ以上は、これから読む人にとって面白さが
スポイルされるでしょうから書けません。

むりやり当て字を使うところや
物語の重層性があることから
ちょっと癖のある内容だと思います。
書痴または本好きな人にオススメ 9点

ベルカ、吠えないのか?

703 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/01/12(木) 16:45:33
古川日出男「ベルカ、吠えないのか?」
人間には”老人”や"少女"といった人称代名詞しか与えられず、ただひたすらに犬の生き様が描かれる小説。
古川日出男を読むのはこれがはじめてだったけど、この人はすごいね。
ここまでひたすら犬に突き詰めて物語を描けるの人は古川日出男を除いては押井守ぐらいなもんじゃないだろうか。
まあSFじゃないかもしれんが、無理をすれば第二次世界大戦からゴルバチョフのペレストロイカまでの歴史改変SF・・・・・と読めないことも無い。
これがこのミス第七位に入ってるのは本当に謎。

8点

ロックンロール七部作

320 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/05/16(火) 19:09:01
文字通りの連作短編。七部作それぞれに地球上の大陸が割り当てられ、ロックの
ルーツに20世紀の歴史とが准えらて語られる。
 スケールの大きなマジックリアリズム風の物語の素晴らしさもさておき、グルーヴ感すら感じ
させる語り口にやられてしまった。
 ほんとにロックを聴いているみたいだ。俺は作中にも出てきた、『カリフォルニケイション』
(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)をかけながら読んでたよ。
 また、合うんだこれが。
 『アラビア~』では語り口を多層化させることで、スケールの大きな偽書を作ろうと
画策していたようだけれども、『ロックンロール~』はそのベクトルを正反対に向けてみた感じ。
 SF的には、ディッシュの『歌の翼に』をより力強くポップにしたような語り口だと思った。

 ここだけの話、ギュンター・グラスに二十世紀の歴史を一年ごとに語っていく、って長編があったけど、
正直あれよりもずっと良かった。よって、文句無しの10点。

13

115 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:05/01/20 04:47:05
古川日出男「13」角川文庫
SFに近い、ノンジャンル古川氏の小説。なんかいろいろ詰め込んであるけど、
読みどころは雑誌「ロッキング・オン」について書いてあるところ。

「基本的にメディア・シャイなCDだが、この記者と『ロッキング・オン』誌の姿勢は評価し、
気を許していた。欧米のロックジャーナリズムにはない、音楽をアート(芸能ではない、
人生を表現しうるアート)の一形態として捉えているアティチュードが気に入っていた。」(p489)

スマン、なんか爆笑してしまった。ロキノンてこんな雑誌だったっけ?
でも意外とこの一文は重要な気もする。
作者自身の芸術についての価値判断が強烈に詰め込まれている文章だから。
こんなこと言ってるから第2部がしょぼr

Gift

175 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:05/02/11 00:55:52
古川日出男「gift」

ショートショート19篇。
この人なら中篇ぐらいにはできそうなアイデアを
10ページ程度で放り出すように終わらせてしまうので
「限りある資源を大切にしろよヽ(`Д´)ノ」と思うことしきり。 ・・・ひょっとして限りないのか?
朗読してみると非常に気持ちいい。

割高なので人には勧めにくいけど、個人的には持っててうれしい1冊。
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