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イアン・マクドナルド

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zgok0079

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火星夜想曲

363 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 03/12/05 17:33
イアン・マクドナルド『火星夜想曲』

ジャンプ編集部にメスを入れられたかのような転調ぶり。
まあ、それはそれでいいけど、前半みたいな方が個人的には好きだ。
ラストで最初のテイストが戻ってくるので救われた感じ。8点

192 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/12/24(日) 00:34:06
イアン・マクドナルド『火星夜想曲』

一つの町を舞台にした群像劇。……正直評価しにくい作品である。
町の生い立ちから滅びるまでを描いた作品。町民はどことなくおかしな人々ばかり。
町から出てゆく人々、町に残り続ける人々、各人各様の主張を持ちつつ破局に向かって進んでゆくのだが、
正直、どの一人をとっても描写が浅すぎるのである。
極めてステレオタイプなキャラクターが集まり、葛藤せず、悩まず、淡々と自分の主義主張に従って
行動していくのみのメインストーリーは極めて味気なく、つまらなく感じた。
同様の理由により、キャラクターに対して感情移入もできなかった。

これだけだとどうしようもないシロモノであり、何で最後まで読んだんだ?という感じだが、そこはそれ。
ちゃんとこの小説にも魅力的な部分がある。
途中に挿入される、各キャラクターごとのメインの話にはあまり関連してこない小話。
これが実に不思議な魅力に溢れているのである。

火星一のスヌーカー・プレイヤーがチャンピオンを目指して戦い抜く話。
ギターで雨を呼ぶ話。
秘密の庭の探検の話。
海と陸と空のプレゼントの話。
ギャングと殺し屋の決闘、機械の神候補同士の激突……などなど。
ファンタジー風味の魅力に溢れたこれらのエピソードは非常に面白く読む事ができた。
メインストーリーから外れれば外れるほど面白かったのはご愛嬌といった所だが。

最後に。
ブラッドベリ「火星年代記」その他、火星に関するSF諸作品へのオマージュが随所に溢れていたらしい。
言われてみればその通りなのだが、個人的には全然気づかなかった。
SF読みとしてまだまだだという事か。
6点。

黎明の王、白昼の女王

590 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 04/05/08 01:11
イアン・マクドナルド『黎明の王、白昼の女王』

第1部-よくできたケルト妖精譚。古めかしい日記体や書簡体で雰囲気盛り上げ
第2部-第1部から続く因縁話。「神話線」をたどる老浮浪者コンビがイイ!!
第3部-サービスカット
第4部-さらに続くよ因縁は。内容はキルビル+ベルセルク

時代も、主人公も、文体も構成も各部ごとに違っていて、しかも
それぞれの完成度が高く綿密に練り上げられています。堪能しました。
第4部、主人公の過去とそれへの決着のつけ方がありがちといえばありがちですが、
その辺があまり気にならないほどの説得力があります。異形の者共の描写も真に
迫っています(映像化するととたんにチープになりそうですけど)。
また、第4部の文章はかなりユーモラスというか、笑えます。ファンタジーや「国家的
テーマパーク」への自己言及的テキストもあったりして、インチキ日本趣味は
確信犯ケテーイですね。中野氏の解説にもあったけれど、いわゆるファンタジー好きの
人より、SF好きの人に向いているような。

ただ、どうせ八方丸く納まるハピーエンドにするんだったら、アントロバス氏の猫たんた
ちも今までどおりあそこでぬくぬく暮らしてますよ、くらいの描写がほしかったよ、ママン、
つーことでここで1点減点してやる。

よって9点

59 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/10/31(火) 22:10:19
「白昼の王 黎明の女王」イアン・マクドナルド、ハヤカワ文庫FT

作者はファンタジーの定石に唾吐いて挑発したつもりかもしれないけど、結局新たな魅力を提示できず、
結果出来あがったのは貧弱な幻視力をオタクっぽい小ネタで埋め合わせたような、弱々しいブロックバ
スター小説でした……印象。
第三章で出てくる日本刀とケンジュツでケルトの妖精と戦う女も、書かれたのが80年代ならいざ知らず、
95年の時点ではすでに「アリガチ」で「見飽きた」設定でしかない気がする。
「図書室のドラゴン」くらい徹底的にやってくれれば良かったのに。

あと、三部構成なのに、2部と3部がほぼ同じ内容の繰り返しというか、どっちか無くても殆ど成立するの
が無駄だと思った。
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