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エリザベス・ムーン

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くらやみの速さはどれくらい

742 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 04/09/08 05:55
Elizabeth MoonのThe Speed of the Dark。最新のネビュラ賞受賞作。

      。 。              。。
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 ゜           (ノД`)

10点

未来社会における自閉症者の姿を通じて、普通・異常とは何か、
幸福とは何か、脳の外科的治療の是非などなど様々な
哲学的・倫理的問題を問いかけてくる作品だった。
主人公の自閉症天才の異質な主観描写と客観描写のギャップが
読ませる前半、その主人公にだんだん感情移入させられて
しまう中盤、そして「治療」の後のリハビリ描写が
圧巻で、泣かせる終盤と、飽きさせない。
表面的には「アルジャーノンに花束を」と比較されそうだが、
内容はもっと思弁的で、自閉症の天才の緻密な主観描写の見事さ、
脳外科的治療の後の主観の変容の描写や倫理的問いかけなど、
むしろグレッグ・イーガンに近いと思った。
普遍性のあるテーマ、内容なので、うまく売り出せば
ベストセラーも夢じゃない。
ドラマ化して、同時にタイアップで翻訳も出せばいいのでは。

873 名前: ◆GacHaPR1Us 04/11/24 22:45:59
くらやみの速さはどれくらい
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152086033
エリザベス ムーン (著)
小尾 芙佐 (翻訳)

 「アルジャーノンに花束を」で、チャーリィの独白によって描かれる世界は
その主人公の死によって、あらゆる事象が焦点に集まり、終える。だが、
21世紀の「アルジャ~」との呼び声の高い本作品にそれと同じモノを期待してはいけないと思う。
本作品は、多数の作品内の登場人物の視点で考えることができ、さらにその結末のため
「アルジャ~」とは逆にその様々な視点は、それぞれの速さでそれぞれの方向に進んでいくことになる…。

 自分は、ドンがかわいそうに思う。
いや、彼の犯したこと彼自身が好きになれないという点では同情の余地は無いとは思うけど。
だって、彼があんな風になった主因は彼自身の所為とはいえ、彼が恩師にだけは指摘されたくなかった
ミスによることからが出発だったのでは?と思うから。
ルウが彼を非難しないのはおそらくその点だろうし、作者もそれを描きたかったのだろうし、
「時計仕掛けのオレンジ」の刑を発案したのも、そんな彼への慰めだったからかもしれない。
でも、意図には反してあれは残酷すぎる罰だけど。

と、このようにしてリンダの視点やトムの視点、ミスタ・クレンショウの視点ですら思い描けるというのは
凄いことだと思う。
だから、ほんとはこのレスは「ああ!」の一言で終わるべきだったのかもしれない。満点。

462 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/11/05(土) 23:57:31
「くらやみの速さはどれくらい」(エリザベス・ムーン)は確かにいい本だな。個人的には10点。

アルジャーノンと対立させてこの本を挙げる人もいるみたいだけど、それはどちらかを読み違えている。
それか、どちらかを「読みもせずに語っている」
エリザベス・ムーンはダニエル・キイス的主張を解釈し、わかりやすくしたという感じだろうか。
簡単に言ってしまえば、「健常者>障害者」という図式に疑問を投げかけるのが両者の主張だろう。
こう書いてしまうと非常に陳腐になってしまうけれども。

未読の方は、アルジャーノンとあわせて読んでほしいね。
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