今日読んだSF/FT/HRの感想@SF板まとめページ

レーモン・ルーセル

最終更新:

匿名ユーザー

- view
管理者のみ編集可

ロクス・ソルス

572 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/12/10(土) 17:13:42
「ロクス・ソルス」 レーモン・ルーセル

文学畑の人には「SFか?」って怒られるかも知れんが。
「カラクリへの愛好」という生理、(あるいは病理)にSFを感じた。
純粋にマッドサイエンティストものとして読むことも出来るが。
ストーリー性は皆無の、SF版千夜一夜というか、 飛浩隆『グラン・ヴァカンス』や小栗虫太郎を想起させる挿話の集合。
人間の歯で描いたモザイク画、水槽の中に半ば生きるダントンの脳髄や、
死体の脳に蘇生剤を打ち込んで、その人生で最も印象的だった場面を再演させる、など不気味な場面が多いのも印象的。
挿話の中にも、息子の婚約者を死姦する男、悪漢に踏み殺された娘の「声」を再現しようとする狂人発明家
など、なにか作品を通底する冷たく暗い情念を感じてしまう。
悪趣味というよりは、人間の肉体すらもカラクリの一部と化してしまう冷徹な眼差し・・・かもしれない。

10点
記事メニュー
目安箱バナー