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セルゲイ・ルキヤネンコ

最終更新:

zgok0079

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ナイト・ウォッチ

481 名前:名無しは無慈悲な夜の女王[] 投稿日:2007/07/12(木) 03:24:17
というわけでポッター棚から第二弾

「ナイト・ウォッチ」セルゲイ・ルキヤネンコ

主人公は「闇の監視人」という団体に所属しているわけですが、なにしろ
本屋で置いてある場所が場所なのでホグワーツみたいなもんかと思えば、
ロシアのホグワーツはやたらとエグかった。帯にはバトルファンタジー
なんてありますがこれ、はっきり言ってスパイ小説です。超能力スパイ小説。
光の監視人と闇の監視人の二つの組織が対立しているのですが、冷戦時代の
米ソと置き換えても何の問題もありません。やってることもモロにスパイ小説。
それもイアン・フレミングみたいなヒーロー者じゃなくて、ジョン・ル・カレ
みたく冷酷非情なネタをばんばん使う。というか味方の親分がひどい。
平気で味方を陥れる。敵の親玉の方がよほど人間味あるように描かれてる。
基本的に背景はどんより曇り空。こういうのが好きな人にはばっちりです。
本書は二つの中篇と一つの短編から成ってます。映画化もされてますが
それは第一話だけの映画なので欲求不満がたまるばかりでしょう。
なにせ第一話のクライマックスではモスクワ壊滅の危機が迫っているというのに、
それをどうやって解決するかと言うと「女の子との会話を成立させること」。
んでもってビルの一室で主人公の超能力エージェントがヒロインと
とりとめもない会話を続けます。遠隔包囲している味方からひそかに応援されます。
「頑張って!今の言葉で呪いの渦が小さくなったわ!」なんて。
傍から見るとかなりシュールな光景ですが、それを筆力でかなりカバーしてます。
なかなかのもんです。

8点

なんとか二冊目も出たようですが、これが売れてくれたらロシアのSF賞を
取りまくった同作者の「重力戦艦チェザレビッチ」も翻訳されないかなあ。
なんでもロマノフ朝が続く歴史改変SFかつ火星が舞台だそうで。

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