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スージー・マッキー・チャーナス

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ヴァンパイア・タペストリイ

286 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 02/08/25 14:33

スージー・マッキー・チャーナス「ヴァンパイア・タペストリイ」(原書)

文化人類学者になりすました吸血鬼の話。
精神分析に通ったり、オペラに感動したり、人間臭い吸血鬼の
突っ込んだ心理描写が面白い。登場人物も多彩でコミカル。
長編だが、各章が独立した話になっているので、
連作中編集としても楽しめる。
第3部が、ネビュラ賞をとった「ユニコーンタペストリィ」です。
集中唯一の官能路線の作品であることが、受賞の理由か?(藁
英語はそんなに難しくないはずだが、人物や心理をきっちり
書き込んでいるためか、結構時間がかかった。
是非、プロに訳してもらって日本語で読んでみたい。
創元か扶桑社で出版キボンヌします。
内容はよいし、吸血鬼物で誰でもとっつきやすいので、
結構売れると思います。

9点

Walk To The End Of The World

271 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:05/03/17 01:50:53
Suzy McKee Charnas "Walk To The End Of The World"

設定よし。人物よし。文体よし。テーマよし。エンディングよし。
悪いのはストーリーだけだ。
とにかくもったいない……。
SF史上でも最も強烈に凄いと思われる世界設定と、
深みのあるテーマを持っていながら、冗長で変化のない
のっぺりとした旅の描写がえんえんと続くのには、
本当に閉口した。
世界や人物の心理のディテール書き込みは、すばらしく
リアルなんだけど、それがストーリーのもたつき、
変化のなさを逆に助長してしまっている感がある。
まあ、女流作家らしいという感じはするが……。
最終的に、破滅後の遠未来、男性の年長者が
支配しているホールドファストという閉鎖社会の
絶望的なまでの自浄能力のなさが痛烈に批判されるんだけど、
家畜並みに油やミルクの原料にされたり食われたりしている
女性の解放の方途という最大の関心事は、次作以降に先送りで
欲求不満。
シリーズを通じての主人公と思われるアルデラという駿足の
女性も本作では傍観者の脇役どまりでした。
本作に限ればストーリーの面白さは0点に近いのだが、
設定や人物やテーマの良さと、次作以降への期待を混めて
多少甘く6点で。
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