今日読んだSF/FT/HRの感想@SF板まとめページ

イアン・ワトスン

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エンベディング

7 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:04/12/15 06:09:12
イアン・ワトスン「エンベディング」

はぁ~、面白かった。鬼畜にぶっとんでて。
奇形の赤子の脳を食べる土人。人間の脳をサンプルによこせと
迫るキチガイエイリアン。それに応じるキチガイ人類。
低レベルの政治目的のためにエイリアンを滅ぼす鬼畜人類。
埋め込み言語刷り込み実験で発狂してキチガイ電波を飛ばす少年。
それに感染して3次元宇宙を2次元的に認識し自己の脳内に
埋め込もうとしてオーバーフローする主人公。
最後の強烈な世界認識の変貌のビジョンが圧巻。
何しろ次元を超越してるだけに、「万物理論」のラストにも勝ってる。
こんな話を平気で書く作者こそ、最もイカレた鬼畜に違いないが、
だからこそ最高。
「ヨナ・キット」の100倍ぐらい面白かった。
やっぱりスケールが桁違いに大きいからかな。

10点

183 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/08/25(木) 12:43:17
「エンベディング」

異色の言語学SFという帯にひかれて買った
でもあんまり言語学使ってないよねこれ
繰り込み言語がすげえマジやべえとかいわれても、いやそれを描けよといいたかった
どんな現実だっての
宇宙人があまり魅力的じゃないのもマイナスかな
最後、主人公がああなっても「今更それをやられても…」って感じ
まあデビュー作だからな

というわけで6点

黒き流れ

923 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/06/29(水) 02:06:11
黒き流れシリーズ(川の書・星の書・存在の書)/イアン・ワトスン

 三部構成のシリーズとしては、珍しく(?)第二部『星の書』が一番面白かった。
三つのパートそれぞれが、登場人物を除けばとても同じシリーズとは思えない
ほどの急展開を見せるのにも関わらず、それぞれがちゃんと構成されていて、
伏線が途切れることが無いのは驚き。

「月の薔薇コンテスト」「千億の人間の脳を燃やして作るレンズ」「電波で会話する植物人間」
などそのアイディア、イメージだけでもお腹一杯になる。

主人公の少女が、徹頭徹尾プラグマティックな性格で乙女チックさの欠片も無いのは、
物語としてはやや辛い(処女喪失も自慰も拷問されるのも、淡々とこなすヒロイン…)が、
そういうタフを通り越したような性格でなければ、この話の主役は務まらないようにも思える。
ドラゴンボール並に死ぬ。射殺されたり自爆したり。こんなヒロインの死に様見た事ない。

オチはやや拍子抜けな感もあるが、一気に読みきったせいか、さわやかで良い結末、とも思えた。

スロー・バード

570 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/12/09(金) 17:08:16
「スロー・バード」 イアン・ワトスン

バカだなあワトスンは。
大西洋遠泳大会が世界経済を左右する? 2080年のワールドコンってどんなの?
もし夢の中に突然CMが流れてきたら? 自分の魂を金魚鉢で飼うだって?
設定のあほらしさとしょうもない結末が読者にこう思わせる。「バカだなあ」
でも中には驚くほどの奇想と、洗練された美しい文章でつづられた作品もある。
地球を両親からプレゼントされた少女。敵を倒すために絶対零度装置を使う国。
未来から遡行してきた救世主。時速30フィートの究極ミサイル。
それらイメージは鮮烈だ。読んでいる途中で何度感嘆の息をついたことか!
このへんは翻訳者の力も大きいだろう。「頑な」の原文はどうだったのかすごく興味が沸くところだ。
また自己認識と世界変容のテーマを扱った作品が多い。
彼の長編をよんだことがある人なら、きっとニヤニヤできるだろう。好きなんだろうなあ。
でも決して、それらの作品群はとっつきにくいものではない。
それどころか、どことなく親しみやすさを感じるのだ。アイデアの単純明快さか、読み心地のいい文章か。
もしかしたら彼の書いた序文にあるのかもしれない。
いわく、「日本が私をSF作家にした」 これはファンサービスかもしれないが、ヨナ・キットやエンベディング、
黒き流れシリーズで自分が感じていたコワモテ作家のイメージを取り去ってくれた。一気に読めたしね。

9点

357 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/05/20(土) 21:17:21
イアン・ワトスン「スロー・バード」

短編集。良い意味でくっだらない馬鹿SFとシリアスなSFとのバランスが絶妙。
正直、国書から出ている「エンベディング」よりも面白いと思う。
「大西洋横断大遠泳」でヤクザ坊主もどきのスイマーに一瞬にして日本経済が崩壊されられたかと思うと、続く「超低速時間移行機」でガチガチのハードSFを見せつけられるといった按配。
とに認識の変容を扱った短編で考えこまされ、馬鹿話で笑ってと兎に角バラエティに富んでいる。
特にラスト三つ「2080年世界SF大会レポート」「ジョーンの世界」「スロー・バード」はどれも素晴らしい。


      • こんなに褒めておいて言うのもなんだけど、これを読むまではイアン・マクドナルドとイアン・バンクスとイアン・ワトスンの区別がいまいちついていませんでした。ごめんなさい。
8点

デクストロ2接触

236 :名無しは無慈悲な夜の女王 :2005/09/12(月) 02:26:44
デクストロⅡ接触/イアン・バンクス&マイクル・ビショップ

日本人女性(京女!)というエイリアンが、
機械とも生物ともつかない異星のエイリアンとコンタクトする話。
ロラン・バルトっぽい日本描写にはやや違和感ありだが、
あるいは外からみれば、こういうものか、という真実性もある。
ホラーっぽい語りや探検隊内の人間関係は割りとどうでもいいが、
異星種族カイバーの生態はイアン・バンクスらしい奇想で
そら恐ろしくも面白い。

ヨナ・キット

366 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 03/12/07 01:52
イアン・ワトスン「ヨナ・キット」

訳が読みにくい。ただでさえ内容が読みにくいのに・・・
デフォルメされた日本人像は楽しめたが、肝心の内容がよく分からず。
クジラに人の意識転写するわ、わけわからん宇宙論唱えるやつはいるわ。
一つ一つのアイデアは凄いんだが、結び付け方が強引すぎるし。
何か最後にクジラが集団自殺してるし。強烈にわけわからん。
もう1回読もうと思うけど、あの訳文は読む気しないな
まあ気が向いたら。
誰かもっとうまい人訳して

とりあえず正直に6点

Miracle Visitors

513 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/04/22(金) 04:06:23
Ian Watson "Miracle Visitors"

ユングの空飛ぶ円盤に関する学説をベースに、様々な要素を
ぶち込んで展開される、アクロバティックでスケールの大きな宇宙生成論。
ワトスン版「幼年期の終り」?
いつもどおり、ストーリーはアイデアの入れ物に過ぎないといえるが、
初期作に見られるような唐突なプロットの運びも、尻きれとんぼな
エンディングもなく、中だるみもなくエンディングもうまく決っていて、
物語としてもよくできている。
前半で進行するいくつかのサブストーリーやアイデアが
次第に結合して一つにまとまっていくといういつもの構成だが、
中盤、終盤に何段階かの大きな「認識の変革」が用意されているので、
たるみがなく飽きさせない。
月に飛んでいく自動車、時空・因果律を超越して
主人公が見る強烈なビジョン、そして、この男が最後に行く
「人類が認識できない場所にある街」。
どれも最高。
今まで読んだワトスンの中では最高作。
10点
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