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バーナード・ウルフ

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匿名ユーザー

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Limbo

630 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/05/13(金) 04:02:29
Bernard Wolfe "Limbo"
人間の攻撃性を抑えるため手足を切断することが
一般化した社会……というネタだけ取ると「んなアホな」
という感じだが、フロイトだのウィーナーだの
ウェーバーだのトーマス・マンだのドストエフスキーだの
ベネディクトだのといった、膨大な参考文献をもとに
積み上げる、ハッタリ十分な衒学的議論の中で読むと、
この極端化がかえって黒い笑いとグロテスクさを
もたらしていて、もの凄い迫力がある。
手足を自分で切断し、プロペラをつけて飛んだり、
原子力で動く強力な義肢をつけたりして、オリンピックで
競い合う人間たちの描写だけでも、強烈なインパクト。
ストーリーも謎めいていて、アクション満載で、
飽きさせない。とにかく、凄い本でした。
「人間が本質的に持つマゾヒズム」
「攻撃性と擬似的攻撃性」といったアイデアが
本書の最終的テーマと結びついているようだが
これはReik、Berglerといった人の学説を
下敷きにしているようだ。少し興味を持ったので読んでみたい。
10点
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