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ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

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zgok0079

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愛はさだめ、さだめは死

54 名前: でへ 02/04/30 23:33
ティプトリーは、「愛はさだめ、さだめは死」も良いよ。

異星生物の、人知を越えた、目くるめく愛の世界(生殖活動) (藁

てなかんじで、初めて読んだときには、ブッ飛んだ
9点

818 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/06/14(火) 22:13:43
ティプトリー 「愛はさだめ、さだめは死」

凄ぇ!!!まさに饗宴だ!SFの饗宴・・・
「たったひとつの・・・」(4点)が駄作だったので放置していたオレのバカ!
ってゆーか「たったひとつの・・・」を代表作とか言ってる評論家は今すぐ死ね!
正に夢のような傑作だ!読んでない奴は今すぐ買って読め!
1000点

老いたる霊長類の星への賛歌

146 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 03/09/06 08:43
ティプトリー「老いたる霊長類の星への賛歌」10点

重厚で陰鬱で難しくて面白い。超こってり。
躁と鬱の振幅の大きさがティプトリー作品の一つの魅力だが
本短編集は振り子が鬱の方に振れたものとしてはまぎれもない
最高作揃い。
特に「一瞬のいのちの味わい」と「ヒューストン、ヒューストン、
聞こえるか?」が、やはり迫力において双璧。
「煙は永遠にたちのぼって」「すべてのひと再び生まるるを待つ」
などの技巧的な作品も決まっている。
そしてティプトリーの精神的自伝とも読める「ネズミに残酷な
ことのできない心理学者」、冷酷と感傷の激しい相克という
ティプトリー作品のルーツが分かり、非常に興味深い。

もう最高。

輝くもの天より堕ち

648 名前:名無しは無慈悲な夜の女王[] 投稿日:2007/08/15(水) 22:33:59
『輝くもの天より堕ち』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

面白くないわけでは無いけど、個々のネタの突き詰め方がティプトリーとしてはぬるい感じで、
「このアイディアで短編書いて欲しかった」ってのが先に来る。
長編としての構成的に仕方がないんだけど(これを無視するとイーガン長編みたいに収拾不可能になる)。
内容的には、「老い」がある意味中心命題だと思う。
それを描くには設定的に無理がある気もするけど、読んでる間はそれを感じさせない筆力は流石の一言。
テーマを意識した上で再読すればまた違った読みが見えるかもしれない。

蛇足ながら、個人的にゴーレム100を読んだばかりだったので浅倉御大の控えめなあとがきが好印象だった。

7点

故郷から10000光年

240 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 03/10/04 10:39
ティプトリー「故郷から10000光年」6点

初期作品のせいか、粗削リなのが多かった。
躁と鬱でいえば、躁のティプトリーが味わえるが、
何かいまいち乗れなかった。
好みの問題だろうが、もっと後の暗くてハードで長い
やつの方が好き。
ただし、「苦痛志向」はよかった。わかりやすいし。

所有せざる人々

352 名前:名無しは無慈悲な夜の女王[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 04:39:20
アーシュラ・K・ルグィン『所有せざる人々』(ハヤカワ文庫)

ルグィンの集大成であり、最高傑作だと思う。
ルグィンは、二つの相反する要素に一線を引いて
両側から境界に肉薄し、線引きの意味を逆説的に問う、ということをする。
資本主義社会と原始共産主義社会の星、どっちもだめぽと感じながら
主人公は自分の帰るべきところを見出していく。
ルグィンの文章には独特の質量があるらしく
読みにくいわけではないのに、何かみしっと詰まっている。
(まあ訳文なんだけど)
読んでて疲れるのだが、読む価値はあった。

特にラストの美しさは感涙もの。
SF史上でも一、二を争うものではないかと。
10点

すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた

861 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 04/11/21 08:57:21
ティプトリー「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」
あっさりとして一見、奇麗にまとまった小品集だが、
ユカタン半島のマヤ族の文化や自然に対する愛着と、
それを侵そうとする米国文明への自然の復讐といった感じの
構図は辛辣でティプトリーらしいかも。
舞台は地球上だが、異質なものへの愛着という視点に
宇宙ものSFとも通ずるものがある気もする。
ただ、あっさり過ぎてやや物足りないのも確か。
7点

889 名前: ◆GacHaPR1Us [] 投稿日:2005/06/21(火) 23:49:53
すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた ハヤカワ文庫 FT
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア (著), 浅倉 久志 (翻訳)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150203733

幻想小説。
キンタナ・ローはこないだ日本がボロクソにされたメキヒコの東海岸の一部。
思うんだが、白人ほど「グリンゴン」などと揶揄されるに相応しい人種も無いと思う。
敵よりも味方を憎み、常に力で制圧し、都市を作っては汚し、その無限の欲求を有限の物質で
かなえんと欲する、まさしく「グリンゴン」だ。

まあそれはともかく、書かれた時代はちょうどティプトリー女史が女性作家であることを
カミングアウトした時期のもの。詳細なディティールと綿密なプロット、奇想天外のアイディア、
そして、端々に現れては消える魅力的なキャラクター。ティプトリー節全開なので、
彼女の作品が好きな人は超お勧め。10点

たったひとつの冴えたやりかた

104 名前:   03/07/24 15:59
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた」早川文庫
久しぶりに再読。
とってもきらきらとしている表題作。
老ティプトリーが若さとバイタリティにあふれていた
自分の少女時代を懐かしく振り返りながら、
それを少女の冒険によせて描く。
主人公のコーティーの決断・行動の節々にティプトリー自身を感じ、
この人はこんなふうにして生きてきたんだなぁとしみじみと思った。
だが少女の冒険の物語の最後を悲しい別れのシーンとして描いたことに見られるように
ぎりぎりの状況で下してきた自分自身の決断=生き方を
誇りながらも、それが同時に多くの別れと悲しみをもたらすものである
ことを理解しているあたりは大きくなったコーティー=ティプトリーの目を感じる。

Meet me at Infinity

566 名前:名無しは無慈悲な夜の女王[sage] 投稿日:2008/06/25(水) 00:02:34
ティプトリー "Meet me at Infinity"(未訳): 単行本未収録作品+エッセイ集
小説はほとんど断片的なスケッチだが、読み応えのあるのは下記二つ

Color of Neanderthal's Eye 5点: エースのダブルで出た中篇
海が広がる惑星でのんびり休暇を取っていた男が、現地の水棲人型生物と恋に落ちる
しかしこの生物種は、生存競争に敗れて絶滅しようとしていた...
相手が双性生物かどうかさえ分からない状況での恋愛はなかなか面白いのだが
ティプトリーにしては甘ったるく単調。他の作家の作品ならもうちょっと好評価するが

Trey of Heart 8点: アンソロジー「女性作家によるエロティカ」の没原稿
他生物の体に脳を移植することが可能になっている未来
男性地球人の体を手に入れたばかりの異星人二人に、
ネイティブ地球人のお姉さんが優しく教えてあげる話
途中までは普通にえっちっちなのだが、最後に奇想が炸裂
読後感も妙にさわやかで、未訳ティプトリー短篇では最高の出来かと思う
とはいえ官能小説なので、浅倉お爺ちゃんに訳させるのは酷かなあ

エッセイはティプトリー好きなら楽しく読めると思う
でもまあファンアイテムだわな。総合4点
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