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チャイナ・ミエヴィル

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匿名ユーザー

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ラット・キング

930 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2005/07/02(土) 00:48:14
「ラット・キング」チャイナ・ミエヴィル(角川ブックプラス)

表紙若干キモイが、面白いよこれ。
ロンドンのホ-ムレス的世界に君臨するラットキングが強烈すぎ。
ゴミを喰い、屋根を跳び、下水道に精通するラットキング。
主人公はラットキングの甥というところから話が始まるが、
ひょろい笛吹き男とか鳥の王とか地下宮殿とか色々出てきて半分アメコミだなこりゃ。
主人公が成長していくにつれ、ラットキングがどんどんダメオヤジ化していくのが笑えた。

アイディア自体は高野文緒「ムジカマキーナ」と同じだが、
より童話的説得力に満ちていて楽しい。
ドラムンベースという当時の流行を中心に据えてしまったことで
ある種の寒さを出してしまうという失敗はあったが、まあ気にしない。
ブリテンの作家がロンドンを舞台にして初めて書ける、
ドライブ感にあふれた良質エンターテインメントだと思った。
8点

この作品にはロンドン本来の魅力を感じる。
アメリカ人作家がロンドンを描くと、
どうしてもヴィクトリアン/ジョージアンな女王陛下の霧の都になってしまう。
(チバシティと同じことが起きる)
それはそれで好きだけど、ロンドンはそれだけじゃないだろう、という。
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