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Exakta VX1000 迷

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aus DRESDENで誕生したIhagee社の左翼かぶれ一眼レフExakta VX1000への思慕




ヘビー級の羞恥


Exakta VX1000は本体+ファインダのみで約700gちょっと。これにレンズを着けると1kg前後になる。したがって、そうそう気軽に持ち歩けないのだが、撮るのが楽しくてついつい鞄に放り込んで連れ出してしまう。ところが、サイズも大きいものだから、もう鞄はぱんぱんに変形し、何とも無様な格好になる。むき出しで首から提げる勇気は、いつになったら出るのだろうか。多分、ずっと、無理な気がする。そんな意気地なしだから、ようやく持ちだしても、今度はそれを取り出してレリーズする勇気が、これまた出ない。まわりを見回して、人が見ていないことを確認したら、俯いて(ファインダを覗いているんだけど、叱られているみたいだよね、これじゃ)、バサッ!。その大きな音(そう、レリーズ音もヘビー級なのだよ)に気が動転して、あわてて鞄に仕舞い込む……。情けない。

しかもこの頃は天候に恵まれず、結局鞄に入れっぱなしで戻ることも多くなった。がんばれ、自分。てか。

ところで最近知ったのだが、Exaktaは日本ではエキザクタと読むのが一般的だそうだ。エクサクタかと思っていた。

  • 2006年5月14日

専用レンズの痛快


カメラで大事なのはレンズである。そうカメラの本に書いてあった。で、Exakta VX1000のレンズは、と見ると一つはCarl Zeiss Jana Pancolar 2/5.0(カールツァイスイエナ パンコラ F2‐50mm)、もう一本はSteinheill Munchen Auto‐D‐Quinaron 2.8/35(シュタンハイルDオートクヴィナロン/キナロン F2.8‐35mm)とある。

Carl Zeiss Janaは独逸の光学機器メーカZeiss Ikonの流れを汲む旧東独の名門レンズ、Steinheillは世界最古の光学メーカだと誰かさんのサイトに書いてあった。てことは、もしかするとこれはものすごい性能のレンズ? と興奮してもち歩いてみたのだが……、まだ扱い慣れていないからか、驚きはなかった。また、どちらもフレアが出まくり。やはり古いレンズだから仕方ないのだろう。だから晴天時のフードは必須。

でもこれが、いざヘルメットを被って出撃という感じで、やっぱりExakta VX1000ってどこか軍装っぽくなってしまうんだよね。臆病者のぼくには似つかわしくないというか。しかもこのフード、角形で目立つし。古いカメラにご大層な装備って、これ、まさにぼくが苦手な“銀塩ブラ提げ親父”の格好じゃん、トホ。
肝心の写りのほうは、てえと(親父になってる)、こんな感じ。

コントラストと解像力はやや浅めだけど、全体的に柔らかで、質感がよく再現されていると思う。古いカメラを使うのも、こんな感じの写りが好きだからだ。コントラストや解像力の高さを求めるなら、現代のカメラがダントツ優れているのは間違いないものね。
使用頻度が高いのは小振りなCarl Zeiss Jana Pancolar 2/5.0のほう。このレンズは自動絞り方式で、さらに、絞り値に連動して被写界深度を示す爪が動くという優れもの。

ウエストレベルファインダを使っているとピント合わせが面倒なこともあって、つい目測ですませてしまうことが多々ある。そんな時に、この爪(指針)がものすごく重宝する。
それと、これはExaktaシリーズに共通していることなのだが、レンズにレリーズ付いているのである。

正確にはカメラ本体のレリーズを押すためのレバーなのだが、これを押す(弾くという感じだけど)、自動絞りが働いて設定値まで羽根が絞り込まれる仕組みなのだ。ファインダの明度もそれに伴って低下していく。
ちなみに、本体のレリーズには安全レバーが付いていて、何かの拍子にレンズ側のレリーズが押されても大丈夫な設計になっている。

実際にはレリーズは結構重く、そう簡単に機能しない。逆に、安全レバー掛けておくと、いざレリーズという時に外し忘れてアレッ? てなことになりがち(体験者^^;)
Exakta VX1000はそのほかにも仕掛けがいっぱいで、それが楽しくもあり、嬉しくもあり、迷惑でもありで、日がな一日、碌な写真を撮らないまま過ぎていくのである。

  • 2006年4月21日

ウエストレベルファインダの愉快


大人になってカメラをもつことができたら、上から覗き込むやつがいい、と思っていた。たぶん、昔の映画か何かで見て、その影響。でも、大人になって知ったのは、そんなカメラなんてとっくの昔から売っていないということだった。古いカメラを売っている店ならあるにはあるが、それは二眼レフといって、特殊なフィルムが必要らしい。それだけなら貯金をして買うこともできたが、フィルムも現像代も高いと聞いてやめた。
第一、そういうカメラは写真のことがわかってるいっぱしの人間が使うものみたいだ。ぼくが首からRolleiflex(Ricohflexでもいいんだけど)なんぞぶら下げて歩いていた日にゃ、絶対人に後ろ指をさされるに決まってるわな、「阿Qめっ!」って。阿Qとは、自惚れと思い込みの強い愚者のことだ。
それでもやっぱり上から覗き込んで写真を撮りたいという気持ちは断ち難く、中判じゃなくて35mm版でそんなカメラはないものだろうか、それも首から提げていても目立たないような現代風の、と思い続けてきた。
願えばかなう、大事なことは信じること、これは成功者がよく口にする、ぼくの大嫌いな言葉なんだけど、あったよ、そんなカメラが。
aus DRESDEN Ihagee社製kine Exakta(キネ エクサクタ/エキザクタ)の末裔、1967年生まれのExakta VX1000。

これは、サウスポー用カメラと誤解されたExaktaシリーズの中ではもっとも使いやすく、したがって退屈になったと言われているみたい。見た目も同様。「甲冑」と称されるExaktaはVarex IIaまで、IIb以降は第二次世界大戦当時の独逸軍将校の制服という風情で、高貴さよりも近寄りがたさで敬遠されそう。
先代が築いた栄光に縋るでもなく、時代に阿るでもなく、杖をつき曲がった背骨を精一杯伸ばしてどうにか立っている老兵(ただし実戦経験なし)・・・、これがぼくのExakta VX1000に対する印象だ。
レリーズ、巻き上げレバーこそ左翼にあるものの、クイックリターンミラー、クランク式巻き戻しレバーの採用など当時、数歩先を進んでいたヤーパンのカメラを見習って、小市民に愛されようとしたのが却って徒に。でも、こっそりフィルムカッターを隠しもっているあたりは血筋なんだろうね。
で、その矍鑠たる(とても40年前のものとは思えない、ソ連邦占領下とはいえ流石Made in Germany)Exakta VX1000に載ったウエストレベルファインダ。こついがとても楽しい。'66年製のVer.6。

細長いボタンを押すと天窓が開く。中を覗き込むと映る左右逆さまの世界。

フレームを確認してルーペを起こし、右手でヘリコイドを回して焦点を定めたらそっとルーペを寝かせ、再度フレームを確認する。左指でゆっくりレリーズを押し込むと、それに連れて画面の明度が低下する。バサッ。音を立ててレリーズを弾くと、画面に閃光が走る。実際にはミラーが跳ね返るだけなのだが、その瞬間明度が増すので閃光が走ったような気がするのだ。天窓を畳み、世界を仕舞い込む。
一眼レフといえばこれまでOLYMPUS PEN FTを使いつづけてきた。理由はファインダが縦長であること。視野も心も狭いぼくには、縦半分見えていれば十分だった。

ところが、ウエストレベルファインダを戴いたExakta VX1000は、その構造上どうしても横型中心になる。ファインダの中に映る、これまでよりも2倍も広くなった世界を、ぼくはちょっともて余しているところだ。

  • 2006年4月16日
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