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雪 05/02/28

  静寂を切り裂くのは不意なる突風で、凍える躯を押さえ込みつつ拡げた足に力を入れ、細く息を吸うことで多少なりとも寒さを和らげるつもりだ。

  しかしそれらの方法が通用するのは雪が降っていない場合に限られる。雪が降る為には気温の低下が求められるのだが、その寒さに開襟シャツで対抗しようとすれば極度の困難が待機している。

  耐え難く雨が降っているならば仕方なく傘を用いることになるが、雪の場合は傘を用いるかどうかの判断に迷う。元々雪など数年に一度の割合でしか見たことのない人間に雪への正しい対処を求めることは間違っている。

  雪か積もっていれば傘が必要で積もっていなければ傘は無視という態度を一応貫いてはみても、服には雪が積もるのだ。例え傘を持っていても意味の不明な強風で雪が真横に飛ぶ中を傘など差していられないと慰めてはみても、傘を持たずに右半身だけ真っ白になっている己の姿を発見した時には何かが間違っていると確信しながらも解決方法を考え付かない。

  髪に積もった雪はやがて消えるが、正確には消えるのではなくて溶けるのである。すなわち水となって右半分の髪だけしっぽり濡れて乾いたままの左側がまるで寝癖にしか見えず悲しくなる。

 
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LAST UPDATED 2024-04-28 08:43:55 (Sun)
 
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