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*一般的考察近未来の例 X社の成果主義賃金制度 X社では数期連続の大幅赤字と過去の不正行為・不祥事が明るみに出たことから、会社建て直しのため経営陣を刷新し、新社長を迎え社内大改革を行った。その改革の一つが次である。 ① 職務等級制度の導入 ② 目標管理の導入 ③ 絶対評価 職務等級制度は1960年代後半以降、アメリカで導入され、瞬く間に全米の企業へと普及した給与管理の手法である。仕事先にありきで、そこに人をあてはめると言う考え方を基本とする。 まず職務記述書によって、それぞれのポジションの職務の内容が明確かつ普遍的に定義される。誰がそのポジションに就こうと、その人は職務記述書に書かれたとおりの職務を遂行することを求められる。 それぞれの職務について、経営に対する貢献度、仕事の難易度、必要な専門知識の量、仕事の複雑さ、部下の数など、属人的要素のファクター(6~8項目)を設定し、職務記述書に書かれている内容をもとに、それぞれのファクターごとにポイントで評価する。そして、そのポイントを組み合わせた合計ポイントを出し(職務評価)、その大きさに応じて職務等級の格付けを行い、給与の額を決定する。これが職務等級制度の仕組みである。一言で言うと、人の能力でなく仕事の大きさを社内で比較し、現実の人員構成ではなく、あるべき組織図で給与を管理しようとする方法である。 X社では、職務記述書を作成するため、各職種の各ポストごとに相当数の分析を行い、その職務分析をもとに8つのファクターで職務評価を行い、等級付けをすることにした。 次に目標管理とは、職務記述書で各自の職務内容が定義されているなかで、個人ごとにその年に何を重点的に行うかという具体的な目標を測定可能な形で設定し、その達成度を評価するというものである。 X社では、「目標は自由に作ってもいいが、目標設定で割を食う人が出ないように。」と公平性、納得性にこだわった。例えば、同じリーダーでも、ある指標を入れた人と入れない人では不公平になるからと、リーダーについては、これとこれに関する業績指標を必ず盛り込むようにと本社で決めてしまった。つまり目標管理について人間の裁量を排し、公平性、納得性をシステムで担保しようとした。また、システム作りについては、任期途中で仕事が変わった場合はどうするのかとか、ありとあらゆる事態を想定して理論固めに走り、非常に精緻なものを作り上げた。目標の難易度についても、例えば、同じリーダーでも担当職務の違いなどで難易度の高い人と普通の人の二区分が必要だと言うことでこれまた非常に精緻な難易度調整の尺度を作ったりした。 問題点 X社は上のような新たな賃金制度を導入し、多くの問題が発生した。 まず、目標管理制度の導入によって、現場では思考停止が始まった。目標に業績指標を盛り込むようにと言われても、どの程度の業績を目標にすればいいのか分からず、「決めてください。出ないと私たちは何もできません。」と本社に投げてしまい、本社がオーバーワークになってしまった。 結局、本社のほうで精緻なシステムを作ったのに、現場で実際に目標を設定していくときには、自分たちで考えないし、マネージャーも運用の仕方が十分に訓練されていないから、みんな、自分のできる簡単な目標を書いてしまう。また期末での最終的な評価もどんどん甘くなってしまった。その結果、みんな自分の目標は達成しているのに、部門目標や現場単位の目標は達成していないという状況が随所で起こるようになった。 また、やる気のある人ほど高い目標を設定することになり、かなり成果をあげても最終的な評価が低くなってしまう。逆に甘甘に運用している事務所の方が評価の平均が高くなってしまうという奇妙な現象が起きるようになってしまった。 もう一つ、コストの面でも奇妙な問題が起こった。絶対評価にしたことにより、みんな目標を達成して、評価も甘くつけられるようになってしまった。でも、部門や現場単位では目標を達成していない。会社全体の業績は上がっていないのに、逆にコスト高になる可能性が出てきた。そこで、新制度の移行期間だけは、賞与原資を確保した中で、おなじAの評価でも甘くつけられた分、係数をかけて調節し、コストコントロールするという苦肉の策が取られた。さらに問題は、評価が全体的に甘く、みんな文句を言わないようにと差をつけないようになったために、「何で私とあの人たちがいっしょなの?」という不満がどんどんあがってきたことである。自分は正真正銘のAの評価をもらったのに、全体的にみんな甘い評価をしているから、係数がかかり、賞与の額が減らされてしまったと言う不満も出できた。 上のような現場の不満のために「本社の人事が社員全員の目標をきちんと整理していないからだ。」と言われ人事社員は社員一人ひとりの目標を徹夜でチェックしたりして普段の仕事量の増加とともに切羽詰ってきてひたすら仕事に追われるまいにちとなった。 新人事制度の一番大きなポイントは、成績がだめなものはだめとドライに評価して処遇し、いったん降格になってベンチに下がることもあるが、またチャレンジする機会は平等に与えられていると言うものだったが、実際は成績が悪くて降格になるということはなかった。職務等級制度では、降格されると給料もさがるため、逆に異常なほどに人事に気を使うようになり、成績が悪くても「今はこういう時代だから。」と責任をあいまいにしたり、明らかに問題があっても、降格ではなく、同じ等級にポジションにたらい回しにしたりした。その結果、人事が停滞して、若手の抜擢がしにくくなったりと、社内に硬直感や閉塞感が蔓延した。 X社の結末 X社の人事制度改革が様々な面で悪循環に陥り、人事部は疲労し、失望し、徒労感にさいなまれ、現場では社員の士気が低下し、そのため業績も一向に上がらず、とうとう倒産へ。
*一般的考察近未来の例 X社の成果主義賃金制度 X社では数期連続の大幅赤字と過去の不正行為・不祥事が明るみに出たことから、会社建て直しのため経営陣を刷新し、新社長を迎え社内大改革を行った。その改革の一つが次である。 ① 職務等級制度の導入 ② 目標管理の導入 ③ 絶対評価 職務等級制度は1960年代後半以降、アメリカで導入され、瞬く間に全米の企業へと普及した給与管理の手法である。仕事先にありきで、そこに人をあてはめると言う考え方を基本とする。 まず職務記述書によって、それぞれのポジションの職務の内容が明確かつ普遍的に定義される。誰がそのポジションに就こうと、その人は職務記述書に書かれたとおりの職務を遂行することを求められる。 それぞれの職務について、経営に対する貢献度、仕事の難易度、必要な専門知識の量、仕事の複雑さ、部下の数など、属人的要素のファクター(6~8項目)を設定し、職務記述書に書かれている内容をもとに、それぞれのファクターごとにポイントで評価する。そして、そのポイントを組み合わせた合計ポイントを出し(職務評価)、その大きさに応じて職務等級の格付けを行い、給与の額を決定する。これが職務等級制度の仕組みである。一言で言うと、人の能力でなく仕事の大きさを社内で比較し、現実の人員構成ではなく、あるべき組織図で給与を管理しようとする方法である。 X社では、職務記述書を作成するため、各職種の各ポストごとに相当数の分析を行い、その職務分析をもとに8つのファクターで職務評価を行い、等級付けをすることにした。 次に目標管理とは、職務記述書で各自の職務内容が定義されているなかで、個人ごとにその年に何を重点的に行うかという具体的な目標を測定可能な形で設定し、その達成度を評価するというものである。 X社では、「目標は自由に作ってもいいが、目標設定で割を食う人が出ないように。」と公平性、納得性にこだわった。例えば、同じリーダーでも、ある指標を入れた人と入れない人では不公平になるからと、リーダーについては、これとこれに関する業績指標を必ず盛り込むようにと本社で決めてしまった。つまり目標管理について人間の裁量を排し、公平性、納得性をシステムで担保しようとした。また、システム作りについては、任期途中で仕事が変わった場合はどうするのかとか、ありとあらゆる事態を想定して理論固めに走り、非常に精緻なものを作り上げた。目標の難易度についても、例えば、同じリーダーでも担当職務の違いなどで難易度の高い人と普通の人の二区分が必要だと言うことでこれまた非常に精緻な難易度調整の尺度を作ったりした。 問題点 X社は上のような新たな賃金制度を導入し、多くの問題が発生した。 まず、目標管理制度の導入によって、現場では思考停止が始まった。目標に業績指標を盛り込むようにと言われても、どの程度の業績を目標にすればいいのか分からず、「決めてください。出ないと私たちは何もできません。」と本社に投げてしまい、本社がオーバーワークになってしまった。 結局、本社のほうで精緻なシステムを作ったのに、現場で実際に目標を設定していくときには、自分たちで考えないし、マネージャーも運用の仕方が十分に訓練されていないから、みんな、自分のできる簡単な目標を書いてしまう。また期末での最終的な評価もどんどん甘くなってしまった。その結果、みんな自分の目標は達成しているのに、部門目標や現場単位の目標は達成していないという状況が随所で起こるようになった。 また、やる気のある人ほど高い目標を設定することになり、かなり成果をあげても最終的な評価が低くなってしまう。逆に甘甘に運用している事務所の方が評価の平均が高くなってしまうという奇妙な現象が起きるようになってしまった。 もう一つ、コストの面でも奇妙な問題が起こった。絶対評価にしたことにより、みんな目標を達成して、評価も甘くつけられるようになってしまった。でも、部門や現場単位では目標を達成していない。会社全体の業績は上がっていないのに、逆にコスト高になる可能性が出てきた。そこで、新制度の移行期間だけは、賞与原資を確保した中で、おなじAの評価でも甘くつけられた分、係数をかけて調節し、コストコントロールするという苦肉の策が取られた。さらに問題は、評価が全体的に甘く、みんな文句を言わないようにと差をつけないようになったために、「何で私とあの人たちがいっしょなの?」という不満がどんどんあがってきたことである。自分は正真正銘のAの評価をもらったのに、全体的にみんな甘い評価をしているから、係数がかかり、賞与の額が減らされてしまったと言う不満も出できた。 上のような現場の不満のために「本社の人事が社員全員の目標をきちんと整理していないからだ。」と言われ人事社員は社員一人ひとりの目標を徹夜でチェックしたりして普段の仕事量の増加とともに切羽詰ってきてひたすら仕事に追われるまいにちとなった。 新人事制度の一番大きなポイントは、成績がだめなものはだめとドライに評価して処遇し、いったん降格になってベンチに下がることもあるが、またチャレンジする機会は平等に与えられていると言うものだったが、実際は成績が悪くて降格になるということはなかった。職務等級制度では、降格されると給料もさがるため、逆に異常なほどに人事に気を使うようになり、成績が悪くても「今はこういう時代だから。」と責任をあいまいにしたり、明らかに問題があっても、降格ではなく、同じ等級にポジションにたらい回しにしたりした。その結果、人事が停滞して、若手の抜擢がしにくくなったりと、社内に硬直感や閉塞感が蔓延した。 X社の結末 X社の人事制度改革が様々な面で悪循環に陥り、人事部は疲労し、失望し、徒労感にさいなまれ、現場では社員の士気が低下し、そのため業績も一向に上がらず、とうとう倒産へ。 ***東原です 結局、目標管理がうまくいってないというわけですね。 目標管理、フロアーからめっちゃ突っ込まれそうですね。 以下のサイトは目標管理に詳しいです。 http://www.sabcd.com/31mokuhyou/311mokuhyou.htm#1

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