マグノリア@Wiki

13 「準騎士」

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
13 「準騎士」

 

 

 

PREKNIGHT


■背景
干上がったかつての上水道の中を、君は走っていた。
入り口付近から聞こえていた同僚たちの「戻れ」の声も、大分前に聞こえなくなっていた。
暗闇の壁に反響するなか、君は必死で大切な「何か」を思い出そうとしていた。

騎士団より回された、巡回・警邏の単調な任務。
軽犯罪者と追いかけっこをする事はあるが、大部分は命じられるままの貧民街や浮浪者相手の警備、規制、取り締まり。
本来向かうべき'悪'は、自分たちがどんなに手をのばしても届かない、遥か頭上にいるのだから。
その代わりに、少ないが安定した所得を手にしていた。
君自身、そのことに特に不満は無かったが、単調な毎日は君に何かを忘れさせた。

昨夜、異端審問印を下げた若い神父が、この地を訪れた。
その後、不満な顔を隠そうともしない騎士団長に、いくつかの指示を与えると、旧市街へと消えた。
昨日の夜から、君に与えられた任務は、旧市街への出入り口を封鎖するよう包囲任務。
上からの命令は絶対である事は、十分に理解している。
たが、先程中心部で爆発が起きた後、気がついたら、同僚の静止の声を振り切るように走り出していた。

不意に視界がひらけ、明かりが広がった。
かつての貯水施設で、昨日の若い異端審問官が、褐色の外套に身を包んだ男と対峙していた。
先程の爆発の影響か、神父の銃を握る右腕は、火傷で赤くただれている。
辛うじて銃を落としてはいないが、あの負傷では精確な射撃は不可能だろう。
勝利を確信してか。、冷笑を浮かべる褐色の男が振りかざした右腕に、紅い光が集約する。

-錬金術?
-アーティファクト?
-それとも噂に聞く「悪魔」というやつか?

思考するよりも早く、君は神父の前に身を翻した。
君の背中に直撃した赤い光の衝撃と閃光が、軽装の鎧を焼く。
苦悶の表情を浮かべる君の肩に神父は爛れた右腕を乗せると、瞬時に引き金を引いた。
「チッ」
右肩を掠めた銃弾に、舌打ちを残すと褐色の男が闇へと消えた。
すぐに、神父は後を追おうとしたが、振り返ると君に向かっていた。

「来るか?」

差し伸ばされた手に、君は忘れていた「何か」を思い出した。
即答する。

「もちろん、同行させて頂きます」

君は神父と共に走り出した。
後ろは振り向かない。

‐ 君は、憧れていたのだ。
- 力なきものを助け、悪しきをくじく'騎士道'に。



■解説:
あなたは、騎士団に身を置くものの、'正騎士'には任命されていない'準騎士(騎士見習い)です。
教区によって異なりますが、平民出身であるあなたの身分や、かつての失態や、真面目すぎるあなたの態度が、団長の心証を悪くしているのかも知れません。
弱体化や、政治的結びつきが強くなる騎士団において、あなたは現在、あるいは過去において'古きよき時代の騎士'に憧れを持っています。
職務に対する義務感があなたを現状に縛り付けていますが、本心では、真の意味での'騎士'として振舞いたいと思っています。
そのために必要な素質はともかく、努力はしています。
必要なのはきっかけだけでしょう。

 

 

 

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー