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虹村那由多の奇妙な日常-第9編-後編

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orisuta

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私は虹村那由多。M県S市杜王町のぶどうが丘高校に通う高校1年生だ。
現在私は地元のレストラン『トラサルディー』でウェイトレスのアルバイトをしている。
仕事は忙しいが、幼い頃からの顔見知りの店長や一緒にバイトをしている友人と、充実した日々を送っている。
……充実した日々を送っている、はずなんだけどなぁ……

**

「なっ、何この顔ーッ!」
鏡を見て、私は絶叫した。どっちかというと母親似の私の顔が父さんソックリにされてしまっていたのだ。
どうやら、ついさっきキモオタのスタンドに殴られた際に顔を整形させられたらしい。悪趣味すぎて反吐が出る。
よし、気にいらねぇ。あの変態、私の顔を直し次第阿部さんにファックされてよし! むしろ、見つけてぼこってから、阿部さんにファックさせてやる!
「……な、那由多ちゃん、思考が口からダダ漏れ!」
「あァ? ショコラ、そんなことはどうでもいい。まずは、知り合いを呼び集めて、キモオタを探させないと……。
覚えてろ、キモオタ。私を怒らせたらどうなるかを……。クケケケケ……」
ブチ切れた私は、すぐさまトニオさんに事情を話し、ショコラと手分けして知り合いたちに電話した。なんか、ショコラがビビってたようだけど、なんでだ?
ちなみに、トニオさんは意外なことに店を閉めてまで、知人を集める手伝いをしてくれた。なんか、二枚看板の内一枚がなくなると困るとか言ってたけど、どうにも意味が判らなかった。
 
 
 




**

「あれ? クスリ売りは?」
「連絡ヲ受ケテ、アワテテ家ヲ飛ビダシタラ、運悪ク居眠リ運転ノとらっくニハチアワセシテ、大怪我シマシta……」
「……あいつらしいわ」
イタリアンクスリ売りの答えに私は頭を抱えた。あんなやつではあるが、クスリ売りは昔の仕事柄裏の方に人脈がある。そいつらから情報を得れば楽だったが、つくづく間の悪い奴だ。
「まあまあ、落ち着けって那由多姉ちゃん。俺と、俺のハーレムメンバーもそのキモオタを見つける手伝いをしにきたんだから」
割って入った垓の姉孝行ぶりに、少し心を打たれる自分。けど、連れてきた女の子は、
「えー、あたしは垓くんの女になった覚えはないよ!
あたしはただ、『日ごろ一緒に那由多姉ちゃんの下着を盗んで売りさばいてるお前なら、姉ちゃんが優性遺伝になった場合のデメリットは理解してるよな?』って言われて手伝いに来ただけ……あ!」
「ちょっ、ヨーコちゃん!」
「ほほう……、詳しい話を聞かせてもらおうか」
やはり、我が弟はダメなやつだった。ドスの利いた声で、指をパキポキ鳴らしながら近づいていく。ビビって半泣きになる二人に、こういう時だけ優性遺伝の顔は便利だと思ってしまうのが逆にむかついた。

本体名―虹村垓
スタンド名―イースタン・ユース(状況が状況だから、とりあえず半殺しで済ませられる。今は再起可能だが、後で再起不能にされるのは確定)

本体名―天帝ヨーコ
スタンド名―ミュンヘン・アウトバーン(状況が状況だから、とりあえず半殺しで済ませられる。今は再起可能だが、後で再起不能にされるのは確定)

「ともかく、那由多ちゃんを整形させた犯人の顔を見ないと、話にならないな……。『ニューシネマパラダイス』!」
私が二バカをボコる様を苦笑いしてた作家さんが、事件当時の上映を開始する。
映った顔と、そのスタンドをみんなが目に焼き付ける。よし、全員で探しに……
「私ノ『シンフォニー・オヴ・デストラクション』ニ任セテクダサイ。街中ノごきぶりニ探サセMASU!」
「『トラサルディー』にゴキブリなんていないけどなぁ……」
「そうだと思って、捕まえといたわ。で、見つかったら、私の『アローズ』でそこまで移動するんでしょ? だから、動き回ることは無いわよ」
『よーりょくそー、オイラガワザワザごきぶりニ運バレテヤルンダー。ダカラ今スグめしクワセロー。ただばたらきハごめんダー!』
『こーごーせー、オイラタチハ運ンデヤルマデタイクツダー。酒ヨコセー』
『みどりー、顔直シタラ、感謝ノシルシニオイラタチノ前デすとりっぷシロー』
流石に、弓を持ってる時の弓張先輩は頼りになる。けど、飲食店にゴキブリをつまんで入ってくるのはやめてほしい。そして、『アローズ』どもは黙れ。

「みんなが那由多ちゃんに手助けしてくれるから、すぐに犯人が見つかりそうだね」
「だといいんだがなぁ……」
やはり、ちょっと心配ではある。けど、実は心配する必要なんてなかった。
「ミツカリマシタ!」
探し始めてから1時間もたたないうちに、イタリアンクスリ売りの声が店内に響いた。

**

「ククク……、ここまでやれば、まず見つかりっこない。後は、なゆたんが僕に股を開く気になるのを待つだけ……。な、なんだ?!」
廃ビルの中を殴りまくることで、階層の間に本来はあり得ない空間を作り上げて隠れていたキモオタであったが、突然、ビルが揺れだしたのには驚きの声をあげた。
空気を取り入れるために作った小さな隙間から、彼を探索してゴキブリが入っていたなどと彼は知らず、さらに、その下の階で起こったことは予想すらできなかった。
「『ジプシー・キングス』! ヨーコちゃんが、鉄骨を金属疲労で破壊し、その上でビルを脱出して、更に周囲の人間をみんな避難させるまでの時間を1秒に圧縮しなさい!」
エッチなことは許さない、ぶどうが丘高校の生徒会長はその能力を存分に発揮し、下着泥棒だった少女をこき使う。
無茶苦茶な仕事を1秒に圧縮され、少女が過労でひっくり返る場所から遠く、支えの鉄骨を全て破壊された廃ビルは自重に耐えかね、轟音をあげて崩れ落ちていった。

本体名―天帝ヨーコ
スタンド名―ミュンヘン・アウトバーン(ビル破壊に関する大量の仕事にかかる時間を1秒に圧縮され、過労でぶっ倒れる。再起不能)
 
 
 




**

「な、何があったんだ……」
スタンド能力で自分の形を自在に変えて、キモオタは命からがら瓦礫の中を這い出した。ともあれ、ここから離れないと不味い。誰かに見られたら、怪しまれる。
そう思った彼の頭を、突如何者かが踏みつけた。
「いてっ! 誰だっ……、あっ!」
視線を上げた彼が見たモノは、ウェイトレスのスカートの合間からのぞく縞パン……ではなく、憤怒に顔を真っ赤にした二目と見られぬ顔の少女の姿。
言うまでもなく、彼が整形した少女、虹村那由多である。
「うっ、うわぁぁっ! クレイジー・クラフト!」
下から伸びたスタンドの手、しかしそれは少女のスタンドによって蹴り上げられた。
「さっきは奇襲だったから防げなかったけど、面と向かう分には私のスタンドの方が強いんだよな……」
もはや絶体絶命! 今にも白目をむいて気絶しそうな彼をスタンドで掴んだ那由多は、
「今すぐ私の顔を元通りにしろォッ!」
と、怒鳴りつける。大慌てで直したキモオタに、彼女は元通りのかわいらしい顔で不気味に笑ってみせ、
「さーて、今度ばかしは徹底的に痛めつけてやらないとな……」
と呟いたが、ふと顎に手を当て、何かを考え始めた。
「あんた、ちょっと前までは太ってたはずだよね? もし、スタンド能力でやせたんなら、逆に太らせるのも出来るはずよね。
なら、私の胸を今すぐ大きくしなさい!」
仁王立ちする少女の無言の圧力に、キモオタの顔が見る間に青ざめていく。
「や、痩せたのはダイエットしただけです! 僕のスタンドは、もともとの性質と質量は変えられないんです!」
「ふーん、そうか。……じゃあ、後はぶちのめすだけか」
ダボガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!
あでぃすあべばぁぁぁぁっ!
そんな感じの騒音が響き、すぐに止んだ。

本体名―キモオタ
スタンド名―クレイジー・クラフト(リトル・ミス・サンシャインにボコられ再起不能)

**

「ったく、結局私の胸はどうにもならなかったぞ」
翌日、バイト中の私はショコラをとっつかまえて延々と愚痴を聞かせていた。
「あはは……。でも、よかったんじゃない? 大きく出来たとしたら、那由多ちゃんは変態さんのスタンドに胸を触らせることになってたんだよ」
「あ、確かに」
そこまでは考えてなかった。思わず、私はプッと吹きだした。




使用させていただいたスタンド


No.473
【スタンド名】 クレイジー・クラフト
【本体】 芸術家志望の青年
【能力】 殴った対象の形を変える

No.1515
【スタンド名】 ミュンヘン・アウトバーン
【本体】 女子高生
【能力】 殴った相手を疲れさせる




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