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虹村那由多の奇妙な日常-第12編-後編

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orisuta

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『スーパータクマワールド』をやってから数分。
「……飽きた」
私はポイっとコントローラーを放り出した。テレビ画面では、床の血だまりから飛び出してくるお猿とそのダミーが、やられて落下したタクマを大いに嘲笑ってる。
正直、ものっすごくむかついた。
「姉ちゃんって、ホント根気がねーなー」
「うっさい。ド○クエ5~7の全部で、裏ダンの存在すら知らないままラスボス戦で力尽き、○イルズではどこぞの仮面野郎の隠し秘奥義を一度も見たことがない私をナメるな」
自慢にも何にもならないことで胸を張って、垓のつっこみをスルーする。
「……張るだけの胸なんぞねー癖に」(ボソッ)
ドォン! リトル・ミス・サンシャインの拳が、垓の耳元をかすめて壁へと突っ込まれる。あちゃー、ちと力を込めすぎたか。ヒビ割れ程度で済ませるつもりだったけど、穴があいちゃったよ。
「今、何か言った? まさか、この優しくて美人の完璧お姉ちゃんの胸には谷間がないとか、体の一部分だけネオテニーとかぬかしたんじゃないんだよな?」
満面の笑みで脅してやったら、垓は今にもちびりそうな顔でコクコクと首を横に振った。
「よろしい。じゃ、この壁あんたがどうにかするように」
と、申し渡されたことで滂沱と涙を流す弟はほっといて、さてと次のゲームは……。
「『グローブス』? 『レ○ングス』のパクリかなんかか?」
「……そんなとこ。電池や餌を投げて、それにつられて走ってく電ちゅみを出口まで誘導してくやつ。
与えた餌の種類や量で、宙に浮かんで普段なら行けない場所に行けるようになったり、放電して周囲の敵をやっつけたり、或いはでっぷり肥ってコロコロ転がって敵を押しつぶすようになったりするんだ」
「おー、なんか面白そうだな」
垓の説明を聞いて、ゲームを始める。画面の電ちゅみの前方に太陽電池を投げてみると、まっしぐらにダッシュして、電池を食べ始める。
 
 
 




そしたら、
『辛いでしぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーっ!』
悲鳴をあげて、炎に包まれた電ちゅみが猛スピードで走りまわって、木製の障害物を破壊していく。ヤバい、これ超楽しいぞ。
「これ、ハマりそうな気がしてきた。なんか結構面白いかも!」
大喜びでコントローラーを握っていた私だが、電池を投げる場所を誤って、
「あ、水中に電池が沈んで……、それを追って水に飛び込んだ電ちゅみが土左衛門になってプカーッと浮かんできたんだけど……」
「ああ、それ仕様ね。ってか、アンチ電ちゅみの人たちなんかは、それを面白がって、如何にスタイリッシュに電ちゅみを自殺させるかを競うっていう裏の楽しみ方をしてるらしいぜ」
「……嫌な楽しみ方だなー、おい」
ともあれ、一度失敗すればもうやる気は起きない。別のゲームを始めよう。
「じゃ、これはどうよ。『ミス・サンシャイン牧場』!」
「牧場経営でもするゲームか? なんか、時間かかりそーだなー……」
そんなゲームはやる気が起きない。げんなりする私に、どうもこれがお気に入りなのか、垓のやつはやたらに熱くなって説明を開始する。
「いや、そんなんじゃねーの。まず、姉ちゃんが輪姦されて妊娠するとこから始まって、母乳をブシュブシュ噴き出す雌奴隷に調教してく抜きゲーだから……、じょ! 冗談だっての!」
リトル・ミス・サンシャインも、そんなものに名前を使われて機嫌が悪いのか、ブンブンと腕を振り回し始めてる。さて、去勢の準備をしないとな……
「嘘ですマジで普通の牧場経営ゲームです数日かかって終わらせるゲームです冗談言っただけですから本気にしないでください!」
「……ったく、二度と変なこと言うな。この馬鹿。後、ちゃんと言葉を区切れ。意味がようわからん」
 
 
 




とか言ってるうちに、残るゲームは一本だけになった。えーと、ゾンビが描かれたパッケージに、『B……hazard アウトブレイク』とか言う題名が書かれてる。
「あれ? オリスタと関係ないゲームが混ざってるぞ」
「あ、それ? 混ざってないから。とりあえず、やってみりゃわかる。まあまあ面白いぜ?」
どうも、今までの様子からして胡散臭くはあるが、とりあえずやってみよう。ディスクをセットしてスイッチを入れる。で、画面に現れたのは。
『リオ「私は、魔法少女リオ・スカイライン・ムラーノ。大規模な音魔災害が発生してるって聞いたから、山奥の洋館まで来てみたんだけど、どうやら”T-ウイルス”という未知のウイルスに感染しちゃったみたい!」』
なぜか舞台に不似合いな魔法少女が大慌てするモノローグから始まる。けど、”T-ウイルス”じゃやっぱフツーのバ○オと違いはないようだけどな。
『リオ「どうやら、ワクチンを早く見つけないと、手遅れになっちゃうみたい! うう……、このままじゃ」』
そこまでキャラの一人語りを見た私は、正直呆れた。これのどこがオリスタのゲームだよ。
「オリスタのキャラが出てるだけで、たんなる○イオじゃないの?」
「それさ、最後までモノローグ見てから言ってくんね? ほれ」
弟の指さす先には……
『リオ「うう……、このままじゃ、トイレのアンモニア臭漂う空気の中でしか生きられなくなっちゃいますっ!」』
私は、盛大にずっこけた。それで、ようやくふに落ちた。
「Bottihazard(ぼっちハザード)かい! T-ウイルスのTって、TAKUMAのTかっ!」
思わず、突っ込みを入れる私に、垓は「何を当たり前のことを」と言わんばかりの視線を向ける。
あまりのくだらなさにものすごく脱力したけど、ともあれ、長いモノローグが終わったことだしゲームを開始しよう。
いつまでも続くトイレの個室からわんさか出てくるゾンビを、ゼロ距離からの衝撃波で吹っ飛ばす感覚は、意外と爽快ではあった。
「お? なんだ、この『泉の日記』って」
そのうち、トイレの床に落ちてるアイテムを拾ったので、とりあえず調べてみる。
 
 
 




『リオ「”May 12, 1998
昨日からこのいまいましいスタンドの世話にかかりきりなんで、背中がむれちまって妙にかゆい。
いらいらするんで、腹いせにあの犬の飯を抜きにしてやった。
いい気味だ。”
うーん、泉さん、実は意外と黒い子です。なになに?
”May 19, 1998
やと ねつ ひいた も とてもかゆい
今日 はらへったの、いぬ のエサ くう

May 21, 1998
かゆい かゆい えたさんーきた
でかいむねなんで ころし
うまかっ です。

4
かに
うま
” 」』

ゴゴゴゴゴ……

『リオ「へ?」』
『譲華「誰がタラバガニだとコラー!」』

グシャァッ! ちょっ! 背後からの一撃に、魔法少女の頭がスイカみたいにかち割れてゲームオーバーなんですが!
これ、HWの人はもう訴えてもいいレベルだよ!
「いやー、下手にアイテムを使うとロクなもんになんねーなー」
垓の太平楽な一言に、正直私はモノすごくむかついた。……ただ、全体としては面白いゲームが多かったから素直には怒れない。
「ま、今回はあえて不問にしてやりますか。うん、まあまあ面白かったぞ」
「だろ? やっぱ、オリスタのゲームなんだから、つまんねー訳がねーんだよ」
はっはっは、と大笑いする弟であったが、その時になって、私はようやくあることに思い至る。
「あれ? そういや、これだけのゲームの代金はどうやって工面したんだ?」
「ん? そりゃもちろん姉ちゃんの下着をこっそり換金して……あ」
なんつーか、怒髪天を衝いた。ポケットから秘蔵の特大サイズの電ちゅみバイブを取り出す。
でしぃ……でしぃ……。ものすごくうるさいはずの作動音だけど、今日はやけに頼もしく聞こえた。お仕置き用に買ってきた代物だが、とうとう今日その出番がやってきたらしい。
「え? なにその阿部さんも真っ青な巨大バイブ! ちょっ、やめっ、く、来るな! アッーーーーーーーーーーーーーー!」

本体名―虹村垓
スタンド名―イースタン・ユース(特大の電ちゅみバイブでケツの穴を破壊されて再起不能)




使用させていただいたスタンド


No.1118
【スタンド名】 ミュージック・インフェルノ(仮)
【本体】 自称魔法少女だが、ただの電波少女かもしれない、よくわからない少女
【能力】 魔方陣の直線状に巨大な「音波」を発射する




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