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虹村那由多の奇妙な日常-第11編

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orisuta

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私は虹村那由多。M県S市杜王町のぶどうが丘高校に通う高校1年生だ。
現在私は地元のレストラン『トラサルディー』でウェイトレスのアルバイトをしている。
仕事は忙しいが、幼い頃からの顔見知りの店長や一緒にバイトをしている友人と、充実した日々を送っている。
……充実した日々を送っている、はずなんだけどなぁ……

**

「那由多ぁ、今暇?」
珍しく部活もバイトもない休日、ポテチを食いながらテレビの前に陣取って真昼間からごろ寝してた私だが、姉の呼び声によっこらせと腰を上げた。
「んー、何? 私は、今ダラダラすることで忙しいんだが」
「そーいうのを暇って言うの。今度幼稚園実習するから、作家さんに特製の絵本を何冊か作ってもらったんだけど、読む練習の聞き手役になってほしいな」
姉は、なんだかんだ言って子供好きだから、保育士を目指している。まあ、作家さんはまだあまり売れてるわけじゃないし、姉が自分の夢に近づいていけるのはいいことだ。
しょうがない、つきあってやるか。
「うんうん、那由多は根は素直だからお姉ちゃんうれしいわ。じゃあ、この本から……」
そう言って、姉は一冊の絵本を取り出した。あの絵からすると、『ウサギとカメ』っぽいな。
「それじゃあ、読むよ。『○ンサクレックと亀』」
「待て待て待て待て!」
私は、大慌てで姉を止めた。絵はファンシーでも、中身はボクシングのタイトルマッチかい!
「えー、今はこの話題で持ちきりだよ?」
「なってない! ○田はもう負けた! 試合はもう終わった!」
 
 
 




「もう……しょうがないなぁ。じゃあ、これは? 『くそ○そテクニック2』!」
姉が続いて取り出した二冊目の絵本、その名前に私は卒倒しそうになった。何を考えて、そんなものを子供に読ませるよ……。てか、著作権はどうなってる。
だが、頭を抱える私のどこを了承と取ったか知らないが、姉は得々と読み始めた。
「『お、おなかが痛い……』そう呟きながら全力疾走する少女は上城 遥。最近彼氏が殺されたばかりのごく普通の女子高生である」
「イヤイヤイヤイヤ! ちょっと待ってよ! 彼氏が殺されてごく普通も何もないでしょ? それに、薔薇のマンガに何で女の子が出るの!?」
「そりゃ、スタンド名が、スター・『ゲイ』ザーだからよ」
「謝ってよ! スタゲの人と、スタゲ考案者さんに謝ってよ!」
「……ごめんなさい。謝ったところで話を元に戻すと、彼女が公園のトイレへとたどり着くと、ベンチにはマーラ・ザ・ビックボスをまとった阿部さんがいたの。
で、彼はこう言ったの。『やらないよ』って」
「だろーな。あいつバイじゃないし」
「そうなのよ。だけど、なんとなく悪いなーと思った遥は、死んでからも自分に付きまとっていた彼氏の幽霊を彼に差し出すの。
差し出された悠は『ヌファ? お、おい! 俺、死んだばかりなのに扱いが悪くね?』と言ったんだけど、阿部さんは『おいおい、俺は幽霊でも構わずに……」
「ストーーーップ! これ以上やるのは絶対ダメ! 次!」
なんか、そろそろ倫理的にヤバそうになってきたので、強引に読むのをやめさせる。姉は、
「えーっ? 後一冊しかないのに……」
と、ぶつくさ言いつつ三冊目を取り出した。
 
 
 




「『サルカニ合戦』」
「ああっ! 一番まともそうなのに、絶対一番まともそうじゃない不思議!」
身もだえする私に構わず、姉は得々と最後の絵本を読み聞かせ始めた。
「昔々、ある所にサーレーと譲華というカニ頭の親子が住んでました」
「やっぱりな! そう来ると思ったよ!」
「で、カニさんの親子は、柿の種を植え、ボスに頼んで生命を与え続けてもらって、急成長させました。
けど、いざ取りに行こうとすると、何時の間にか木に登っていたハムバグが意地悪して柿を取らせてくれません」
「サルはサルでもハムバグ?! 勝ち目ないじゃん!」
「で、怒ったお父さんカニのサーレーさんは、空中に石を固定して、実力行使に出ましたが、バキュン! ハムバグキャンディに足を打ち抜かれ、
女医時『”オクトパシー・007”! そのタコちゃんの名前だ・・・邪魔するやつは誰であろうと全員吹っ飛ばすッ!』」
「たかが柿くらいでなにやってんの丈二ィィィィッ!」
「ボカーン! スタンドを取り換えられた際に、固定が解けて落下したサーレーさんは、したたかに腰を打つと同時に爆発に巻き込まれ、見事なアフロヘアーとなってしまい、それがショックで病の床についてしまいました」
「そりゃ、ギャグでの爆発はアフロになるのが定番だけどさぁ!」
「譲華は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の女医時を除かなければならぬと決意した。譲華には法律がわからぬ。譲華は、沢のカニである。ハサミを開き、魚と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった」
「ねぇ! それ思いっきり文豪の作品をパクってるよね! 何処のメ○スさんなの! 走れ譲華?! 作品違ってきてるでしょ!?」
「きょう未明譲華は村を出発し、野を越え山越え、助太刀する仲間を探しに出かけた。まず最初に出会ったのは、便所飯してたぼっちが垂れ流したゴールド・エクスクレメント・U・N・K・O」
「……来ると思ったよ」
「U・N・K・Oの本体は、以前諭してくれた事を恩にきていて、二つ返事で仲間に加わった。次に、二人が出会ったのはエスケープ・トゥ・ザ・スカイの本体と、ブラインドフェイスの本体。もちろん二人も仲間に加わりました」
「蜂と、臼の代わりに影が『うす』い本体か。まあ、無難なんだろな。けど、いがぐり頭の本体なんて、オリスタに居ないぞ?」
小首を傾げた私だが、ちょうど喉が渇いたので、問いただすのは後回しにして、コップに入れた牛乳を飲もうとした。その時だった、姉が話を再開したのは。
「最後に一行が出会ったのは、ちょうどクリを肥大化させていた亜希でした」
ブゥーッ! とんでもない展開に、思わず私が噴き出した牛乳は、たまたま目の前を通りかかった垓の顔面へと引っかかる。姉に当たれば、なんかエロい図式になってただろうから、そうなんなかっただけマシかもしんない。
「俺はっ! いいのかよ!」
「うん、いい。そもそも、お前が頭から白濁液まみれになってる絵なんて需要がないから、とっとと洗ってこい。それより、お姉ちゃん! 正気でそんな展開をやるつもり?! HWの人とグラットニーの考案者を敵に回すよ?!」
私が大慌てで姉を問いただす横で、視界の外に居た垓は大泣きして風呂場へとすっ飛んでく。需要があった方が良かったのか? わからないやつ。
「うん、やるつもりだよ? だって、私の為に作家さんが一生懸命作ってくれた作品だもの。それを使わないなんて出来ないよ。HWの人と考案者さんには、本当にごめんなさいだけど。
でね、これからU・N・K・Oとブラインドフェイスの能力で上手く奇襲に成功した一行は、エスケープ・トゥ・ザ・スカイの能力で線の中にハムバグを閉じ込めて、そしてカニの能力でハムバグキャンディを全部明後日の方向へと飛ばさせるの。
この絶体絶命のピンチで、突然ドラ○エのBGMが流れて、”ハムバグは仲間を呼んだ。しかし、誰も来なかった”って窓が現れて……。あれ? 那由多、何処行くの?」
話の途中で立ち上がった私に、姉は不思議そうに声をかけた。いや、そこで不思議そうに思うなよ。まず、そんなものを幼稚園児に読もうとした自分の精神構造と、そんなものを書いた作家さんの精神構造を疑えよ。
「……ちっと、作家さんに絵本を書き直させて来る」
ため息交じりに私は玄関へと向かっていった。作家さんが、今まで売れなかった理由が分かった気がした。




使用させていただいたスタンド


No.278
【スタンド名】 スター・ゲイザー
【本体】 無口な女子高生
【能力】 生物無生物問わず触れたものを発光させる

No.217
【スタンド名】 クリスタル・エンパイア
【本体】 上野譲華
【能力】 触ったものを透明にする

No.678
【スタンド名】 アークティック・モンキーズ:ハムバグ
【本体】 喫煙家の青年
【能力】 「キャンディ」に触れた者に「スタンド」を贈与する

No.1918
【スタンド名】 オクトパシー・007
【本体】 組織の工作員
【能力】 自爆する。本体は死ぬ

No.1476
【スタンド名】 ゴールド・エクスクレメント・U・N・K・O
【本体】 -
【能力】 人生の全てが良い方向に傾く

No.1379
【スタンド名】 エスケープ・トゥ・ザ・スカイ
【本体】 可愛いが妄想癖が凄い女
【能力】 今いる『線』から最も近くにある『線』へ瞬間移動する

No.338
【スタンド名】 ブラインドフェイス
【本体】 影が薄い女子高生
【能力】 影の薄さがきわまって何をしても気づかれない

No.120
【スタンド名】 グラットニー
【本体】 小柄な黒髪ロング少女
【能力】 物体の体積を貰ったり逆に与えたりできる




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