オリスタ @ wiki

虹村那由多の奇妙な日常-第14編

最終更新:

orisuta

- view
だれでも歓迎! 編集


 
私は虹村那由多。M県S市杜王町のぶどうが丘高校に通う高校1年生だ。
現在私は地元のレストラン『トラサルディー』でウェイトレスのアルバイトをしている。
仕事は忙しいが、幼い頃からの顔見知りの店長や一緒にバイトをしている友人と、充実した日々を送っている。
……充実した日々を送っている、はずなんだけどなぁ……

**

「うー……、熱いったらないな。今日は」
いつもの様に、卑猥にソフトクリームを舐めながら通う月曜日。そんな中私は朝っぱらからゾンビみたいにフラフラになって歩いていた。
夏の暑さはどうも苦手なのだ。こういう時は、自分のスタンドだって厭になる。なんせ太陽電池の熱気が暑苦しいからだ。
ぶっちゃけ、真夏日に変態に襲われたら、為す術なく押し倒されてしまうのではないか、と割と真剣に悩んでいる。

「日本の夏って、本当に厳しいね……。この時期のドイツは、熱くても20度半ばくらいなのに……」
隣のショコラなんてもっとひどい。全身に氷枕くくりつけて、それでも今にも死にそうな顔をしてる。まだ朝なのにこれなんだから驚きだ。
ちなみに、垓のやつは今日はいない。良く判らんが、以前なにかしら搾り取られたとかで、まだ家で寝込んでるからだ。
トニオさんの料理で精をつけてさえぶっ倒れたままなんだから、わが校の七不思議ってのは侮れない。
一日一回は再起不能になって、1時間もすれば何事もなかったかのような面をしている弟が、再起不能時間の記録をこうまで更新するとは、いや驚いたぞ。

とはいえ、別にそんなことはどうでもいい。思いは暑いの一点張りだ。「うー、あぢー……」と、ぶうたれつつ歩いてく。そんな中、
「ねぇ、那由多ちゃん。今日はアルバイトもないんだし、学校終わったらプール行かない?」
「却下」
ショコラの申し出は魅力的であったが、私はロクに考えもせずにダメ出しした。なぜなら、
「泳げない私がプール行ってどうするんだ。んな暇あるなら、まっしぐらに家帰って、アイス食ってごろ寝してる方がまだいい」
そう、私は全くのカナヅチなのだ。おかげで、水泳の授業はいつも公開羞恥プレイだった。……スク水の胸元的な意味も込みで。
コンプレックスをなおさら自覚させられる水着を着ないといけないとこなんて、まっぴらごめんだ。
「あれ? 那由多ちゃん泳げないんだったっけ? でもさ、それってまずいと思うよ。確か、今年から柏先生の提唱で『二時間遠泳』を行うらしいって話を聞いたよ?」
「HAHAHA……、んなバカな。……へ?」
私の目が点になった。ショコラの顔は冗談でも何でもない事実だと雄弁に告げていた。事実と書いて、マジと読ませていた。
 
 
 




**

「マジなのか……」
朝礼の終了と共に、私は頭を抱えて突っ伏した。本当に今年から高一の夏期行事に二時間遠泳が付け加えられたのだ。さっきの朝礼で知らされたから間違いない。
海で、全生徒が顔を上げたまま平泳ぎで2時間泳ぎ続けるらしい。しかも、それを成し遂げないと卒業できないんだとか。
おまけに、遠泳中に尿意を覚えたら海中に垂れ流せ、と来たもんだ。もうやだこの学校。
女の子に、泳いでる最中に「ひぎぃ! いやぁ、○しっこ、お○っこ漏れちゃうぅぅぅ! あ、あぁぁぁ……」とか言わせたいのか、柏……。
「……転校しよう」
「柏先生が『虹村が転校するのは、レイト・パレードで遅らせてやる。遠泳の日が楽しみだ』、だってさー」
「うぉぉ! あの先生マジで羞恥プレイ楽しみたいのか!」
割と真剣に訴えたくなった。泣くぞ、泣いてやるぞ、コラ。
ショコラが伝えてきた伝言に絶望した私だったが、
「那由多ちゃん。そんな顔しないで、泳げるようにさせてくれるスタンド使いを探そうよ!」
その通りだ。泳げないなら、誰かのスタンド能力でイカサマをすればいいんだ。どうせバレなきゃイカサマじゃない。
「よし! 帰り次第オリスタwikiを探してやるぞ!」
「……メタな発言は止めようよ、那由多ちゃん」
私の現金な反応に、ショコラは呆れて笑ってた。

**

「No.1236のスピン・エキシビット・ボードなんかよさそうだな。うん、こいつの力を借りよう、っと」
パソコンで図鑑を見ながら考えた私は、ようやく協力を要請する相手を決めた。幸い、相手はクラスメート。デート一回でどうにでもなる。
電話して、『当日私が遠泳を成功させる』という予言を書かせたことで、もう安心だ。
鼻歌交じりに下に降りていく。いつになく機嫌のいい私に、父さんが目を見張った。
「おっ。那由多、ご機嫌だな。どうした?」
「あ、父さん。実はねー……」
自慢げに己の問題への対処を話し出した私だったが、なぜか父さんは渋い顔。そして、
「なぁー、那由多。おめぇ、なんでエコーズACT2の尻尾文字に頼ることを考えなかったんだ? 『プカー』とでも水着にくっつけときゃいいじゃねーか」
「あ」
父さんの突っ込みに、私は返す言葉もなかった。どうも、肝心の時に限って私の頭は働かないらしい。
いや、突っ込みがそれだけで済めばまだよかった。
「いや、まあ結果オーライならいいんだけどよ。ただ、行事が中止になったらどうすんだ? あの能力って、取り消しきかねーぞ」
あ、今死亡フラグ立った。私は、嫌な予感を覚えた。いや、そんなことはあり得ない。ギャグ漫画じゃあるまいし、そうも都合よく問題が発生する訳なんて……

**

そして、準備万端でむかえた遠泳当日の朝。
やっぱり問題が発生したorz
『台風で遠泳中止だってさー。じゃ、那由多ちゃん、次の連絡網よろしくね。もしもし? 那由多ちゃん聞こえてる? もしもーし!』
ショコラからの電話に、私の手からポロリ、と受話器が滑り落ちた。
協力を要請した相手の能力は、どうあっても実現してしまう。という事は……
「台風の中二時間泳ぐなんて、いやぁぁぁぁぁ!」
意思に反して、水着姿で家を飛び出す体に、私は絶叫することしかできなかった。

本体名―虹村那由多
スタンド名―リトル・ミス・サンシャイン(スピン・エキシビット・ボードの予言によって、台風で大荒れの海で二時間泳がされ、疲労困憊の揚句に風邪をひいて再起不能)




使用させていただいたスタンド


No.1236
【スタンド名】 スピン・エキシビット・ボード(回覧板)
【本体】 嫌われ者
【能力】 メモ帳に予言を書き込むことが出来る




< 前へ       一覧へ戻る       次へ >





当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用、AI学習の使用を禁止します。




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー