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[[Back to Ⅱ-6>Main Story Ⅱ-6]] *第二章 第七節 「ジルコンさん、ここはもう近いんですよね?ある程度の場所はわからないんですか?」 エレンが問いかけた。 「やっぱりヴェルギリウスだと思うよ……この気配は『サファイヤ』っておねーさんだってこともなんとなくは」 ジルコンが民家の壁にもたれ掛りながら腕を組む。 「すごく広いんだよね、ヴェルギリウス。……でも少なくともサフのいる場所にもこいつら、いると思うよ。それが目印になるかも」 カサンドラが忌々しげに死体を数えながらぼやいた。 「そりゃここがこれだけ手薄だからなぁ……いるとしたら本隊さんだな。やだやだ」 「そのサファイヤっていうのは大丈夫なのか……?」 澪の問いかけにジルコンが自信をもって頷いた。 「それは大丈夫。保障するよ」 その時馬車の方から大慌てて春日と琴菜が戻ってきた。 「どうしました?」 救急箱を受け取りながらエレンが尋ねる。 「馬車のところでパッペの人達に会った。……やっぱり避難中だったらしい。何か話が聞けるかも」 怪我をした商人を荷馬車に運ぶと、町の外にいた住民達が集まっていた。 頼る当てがなく、周囲に簡易の小屋を建てて暮らしているのだという。 「あの魔物兵は、いつ頃から?」 ルギネスが細剣の血糊を拭いながら尋ねる。 「一週間ほど前です。突然30人ほどで来て、出て行けと……」 「みんな追い立てられるように出て来たのでろくに連絡も出来ずにこんな事に……」 「この人でもう10人になります。生きて出られたのは彼くらいだ」 十数人が口々に訴える。ここに残っていない者達は縁故を頼って他の町に行ったり、少し離れたところに別の集落を作っているらしい。 「ところで、湖の水は?」 カサンドラが尋ねると訴えは倍増した。 「11年ほど前から湖の水位が下がり始めたんです」 「湖の中州にある神殿にも入れなくなってしまって」 「精霊の怒りかも」 「今ではすっかり干上がってしまって水車も一年近く回せてない」 「最低限の飲み水は井戸でまかなえますがそっちの水位もだんだん下がってきてる」 訴える相手が出来て不安が爆発したように四方から訴えられる。 「ちょっと待て」 ルギネスの静かな声に静寂が戻る。 「中州の神殿に入れない?」 聞き返されて、代表らしい男が答える。 「湖の中心の辺りに深さが極端に浅くなった中州があるんです、水の深さは足首位の。そこに小さい神殿があって、湖を守る精霊が祀られているんです。その神殿に11年位前から入れなくなってしまってて……」 一年に一度ほどしか入らないのでいつ頃から入れなくなったのか詳しくはわからないと付け加えた。 「湖の異変が始まった頃と重なるな……」 ルギネスが考え込む。 そういえば……と少し離れたところにいた女性が歩み寄ってくる。まだ幼い子供を抱えた女性だ。 「王家の兵が湖の方を見て『あそこだ』って言ってたの、聞きました」 ルギネスとカサンドラが顔を見合わせる。 「サフみたいだね」 突然現れたジルコンに町の人々は騒然となる。 手を合わせたり頭を下げたりしている人々を帰すと三人は荷馬車の中を覗き込んだ。 [[Go to Ⅱ-8>Main Story Ⅱ-8]]
[[Back to Ⅱ-6>Main Story Ⅱ-6]] *第二章 第七節 「ジルコンさん、ここはもう近いんですよね?ある程度の場所はわからないんですか?」 エレンが問いかけた。 「やっぱりヴェルギリウスだと思うよ……この気配は『サファイヤ』っておねーさんだってこともなんとなくは」 ジルコンが民家の壁にもたれ掛りながら腕を組む。 「すごく広いんだよね、ヴェルギリウス。……でも少なくともサフのいる場所にもこいつら、いると思うよ。それが目印になるかも」 カサンドラが忌々しげに死体を数えながらぼやいた。 「そりゃここがこれだけ手薄だからなぁ……いるとしたら本隊さんだな。やだやだ」 「そのサファイヤっていうのは大丈夫なのか……?」 澪の問いかけにジルコンが自信をもって頷いた。 「それは大丈夫。保障するよ」 その時馬車の方から大慌てて春日と琴菜が戻ってきた。 「どうしました?」 救急箱を受け取りながらエレンが尋ねる。 「馬車のところでパッペの人達に会った。……やっぱり避難中だったらしい。何か話が聞けるかも」 怪我をした商人を荷馬車に運ぶと、町の外にいた住民達が集まっていた。 頼る当てがなく、周囲に簡易の小屋を建てて暮らしているのだという。 「あの魔物兵は、いつ頃から?」 ルギネスが細剣の血糊を拭いながら尋ねる。 「一週間ほど前です。人数は少なかったけど突然来て……」 「出ていかなければ殺すと……実際抵抗した者達は殺されて……」 「これから来る商隊にもろくに連絡も出来ずにこんな事に……」 「この人でもう10人になります。生きて出られたのは彼くらいだ」 十数人が口々に訴える。ここに残っていない者達は縁故を頼って他の町に行ったり、少し離れたところに別の集落を作っているらしい。 「ところで、湖の水は?」 カサンドラが尋ねると訴えは倍増した。 「2週間前に突然干上がってしまった」 「6年ほど前から徐々に下がり始めてたんです」 「湖の中州にある神殿にも入れなくなってしまって」 「精霊の怒りかも」 「最低限の飲み水は井戸でまかなえますがそっちの水位もだんだん下がってきてる」 訴える相手が出来て不安が爆発したように四方から訴えられる。 「ちょっと待て」 ルギネスの静かな声に静寂が戻る。 「中州の神殿に入れない?」 聞き返されて、代表らしい男が答える。 「湖の中心の辺りに深さが極端に浅くなった中州があるんです、水の深さは足首位の。そこに小さい神殿があって、湖を守る精霊が祀られているんです。その神殿に入れなくなってしまってて……」 一年に一度ほどしか入らないのでいつ頃から入れなくなったのか詳しくはわからないと付け加えた。 「どういうことだ?……湖の水と、神殿……」 ルギネスが考え込む。 そういえば……と少し離れたところにいた女性が歩み寄ってくる。まだ幼い子供を抱えた女性だ。 「王家の兵が湖の方を見て『あそこだ』って言ってたの、聞きました。逃げるとき一瞬だけ」 ルギネスとカサンドラが顔を見合わせる。 「サフみたいだね」 突然現れたジルコンに町の人々は騒然となる。 手を合わせたり頭を下げたりしている人々を帰すと三人は荷馬車の中を覗き込んだ。 [[Go to Ⅱ-8>Main Story Ⅱ-8]]

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