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虹村那由多の奇妙な日常-第1編

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orisuta

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私は虹村那由多。M県S市杜王町のぶどうが丘高校に通う高校1年生だ。
現在私は地元のレストラン『トラサルディー』でウェイトレスのアルバイトをしている。
仕事は忙しいが、幼い頃からの顔見知りの店長や一緒にバイトをしている友人と、充実した日々を送っている。
……充実した日々を送っている、はずなんだけどなぁ……

**

「あー、お客様。うちのトイレはハッテン場じゃないんで、つなぎを着て待機するのはやめてほしいんですが」
「だが構わん。俺は女でもかまわず喰っちまう男だぜ。……ってことで、やらないか」
「やらない。そして、もうそろそろ店仕舞いだから本気で帰れ」
手で追い払うしぐさをして、つなぎ姿の男を無理やり追い出す。何処かで以前関わったような気がするが、きっと気のせいだろう。私の知り合いにホモはいない。

「那由多ちゃん、お疲れ様~!」
「うん、お疲れ。……ただ、今日はこれからもっと疲れるんだよなぁ……」
更衣室でショコラとだべりつつ私服に着替えるが、この後のことを考えると実にめんどうくさい。
さっき店仕舞いと言ったのは正確には間違いで、これから『トラサルディー』は何人かの先輩たちに貸しきられることとなっている。
そろそろ文化祭が近いとかで、出し物について話し合うそうだ。最近のぶどうが丘高校はなぜかスタンド使いが結構多いので、おそらくそれをうまく使うのだろう。
ちなみに、私の組はどこをどうとち狂ったか、『メイド執事喫茶』などという垓の馬鹿げた企画が通ってしまっている。
まったく、何で私が「おかえりなさいませ、ご主人様♪」だなんて満面の笑顔で言わなきゃならないのやら……。
「私は楽しそうだと思うけどね~」
「厨房担当だからメイド服を着ないショコラには言われたくない。私なんか一日中メイド服だぞ?」
「あはは。那由多ちゃんは料理ダメだから仕方がないよ」
「それを言うな……、事実だから本当にグサッとくる」
カランコロン。
「あれ? もう来たみたいだね」
私たちがおしゃべりしているうちに、もう先輩たちがやってきたようだ。さて、トニオさんのところへ行って、用意した飲み物と軽食をもらってこよう。
 
 
 




**

「なゆたん、そこのコップとって~」
「手を伸ばせば届くじゃないですか、部長」
「うん。でも、手を伸ばすのがめんどいの~」
部長のだらけぶりに、私はハァとため息をつきながら、わざわざ部屋の反対側に位置するコップを取りに行く。
この人は弓張月夜(ゆみはり つくよ)先輩、2年生で、私が所属している弓道部の女部長だ。
弓の腕前は全国レベルで、弓道場で弓を引く際のピシッとした姿は今でも私の憧れだ。
……ただ、この先輩がキリッとしているのは弓を持っている時だけで、弓から手を離すと途端に自堕落になってしまう。
割と二重人格っぽい人だ。
「はい、先輩。お茶ですよ」
「んー、ありがとね。なゆたん。はぁ……、お茶を飲みながら軽食をつまむ。まさに至福の一時ねぇ」
「いや、今はまったり過ごす時じゃないんじゃ『よーりょくそー、せろりすてぃっくオカワリー!』
『あるこーるヨコセー、こーごーせー!』『みどりー、モットメシクレー!』
「…………むかっ」
部長の周りを浮かんでいる矢のスタンドどもが、なんか失礼なことを言いやがった。人の髪が緑色で、スタンドが『太陽』の能力だからって、植物扱いしくさって……。
この『アローズ』が部長のスタンドじゃなかったら、即座にぶちのめしてるところだ。ともあれ、スタンドと言い争うのも不毛なんで、部長には弓を持たせよう。
「よし、みんな! はりきって、『お化け屋敷』の構成を考えるわよ!」
……すげー。一気にテンション上がったよ。
「いや、だからもう話は始まってるよ。だからさ、私の『セクシャリー・ノウイング』で視界をぼんやりとさせようってさっきから言ってるじゃん」
「却下。お客さんを酩酊させてどうすんのよ」
「えー、幻覚で色々怖いものを見てもらうとかできるじゃない!」
「それじゃやりすぎだって。だから、ここは狼男に仮装した俺が、血に見立てた赤ペンキから突如飛び出して……」
「私たちは『アクモン』の能力知ってるからいいけど、お客さんに聞かれたらどうすんのよ。あ、煙草ちょうだい」
「ん? 一本100円な。……そりゃあ、お前、『それは禁則事項です』って答えりゃいいだろ」
「なにそのぼったくり。そして、丈二。あんたはいつ未来人になったのよ?!」
「だからさ! あたしの『ダウンワード・スパイラル』で、突如トゲを飛びださせて……」
「いや、そこはわいの『サマンサ・フォックス』で、機械の木々を使ってな……」
「なにその不思議なダンジョン!」
「じゃあさ、ゲーフェンバウアー教頭に頼んで、突如動き出すバラバラ死体って役をやってもらうとか」
「おっ! いいな、それ!」
……なんか、話し合いがカオスだ。スタンド使いが多い学園ってことでSPW財団から監視役として来たはずの教頭もなんか悲惨な目に遭うらしい。
ハゲる前にこの店紹介しとくか。


ふと見ると、ショコラが奥の部屋へと忍び足で歩いていく。あいつ、このカオスを私一人に押し付けるつもりか。
「チョイ待ち、ショコラ。まさか、ここを私一人に任せるつもりじゃないよね?」
「ひゃうっ! ち、違うよ那由多ちゃん!
今日は、クスリ売りさんが、『麻薬中毒に悩んでいる元売人のチンピラさん』の従兄を更生させたいって、わざわざイタリアから引っ張ってきたんだよ」
「ああ……、つまりトニオさんと『ファンタスティック・プラスチック・マシーン』で心も体もきれいにってことか。
ならいいや。でも、なるべく早く戻ってくれ……。私一人じゃ、先輩たちを対応しきれる自信なんてないぞ」
手を振って、ショコラを放免したのと同時に、カランカラン。
「あれ? 今日は貸し切りだったのか?」
ドアを開けて、見覚えのある顔が入ってきた。私の姉と、作家さんだ。
「あ、お姉ちゃんと作家さん」
「やあ、那由多ちゃん。……えーと、今日は普通のお客はもうお断り? なら、別の店を探すけど」
「んー、いいよ。何かしらもらってくる。なんだかんだで、ここにいる人はみんな作家さんとお姉ちゃんのこと知ってるし。
それに、デートの予定崩すのもかわいそうだし」
「そ、そうかい、悪いね……「やだもぉ、那由多ったらぁ! きゃ♪」
バキィ!
……あ、姉が照れ隠しに『オープン・ユア・アイズ』で作家さんをブン殴った。で、作家さんは悲鳴をあげて吸い込まれてく。あーあ。
先輩達もそれを見てしまったのか、血の気が引いてるよ。かわいそうに、作家さん。
 
 
 




**

三十分後、そこには青あざだらけで、息を荒げている作家さんの変わり果てた姿があった。
「ご、ごめんなさぁい!」
「い、いや、いいけどね……。死ぬかと思った(ボソッ)」
平謝りになってる姉に、惚れた弱みなのか全く怒ってはいないようだが、本当に大変だったらしい。
頑張れ、作家さん。それがまた小説のネタになるぞ。
「えーと、お取り込み中のところすいませんけど、童貞の作家さん」
「どどど、童貞ちゃうわ!」
「じゃあ、魔法使いになれなかった作家さん」
「嫌味?! なあ、俺に何か恨みでもあんの?!」
「まさか。ちょっと、ニューシネマパラダイスで、私たちの出し物の、『お化け屋敷』が成功する未来を見せてもらえないかなー、と思いまして」
なら、せめて普通に作家さんと呼んでほしかった……。作家さんは疲れた顔でそう呟いて、スタンドを発現させた。

**

1時間後。
「そーだよ、なんで兄貴のことを忘れてたんだ」
「僕が、『ゴールド・シーカーズ』で動物の死体を集めて」
「あたいが『ワイルド・アット・ハート』でおどろおどろしい風を吹かせて」
「集めた動物の死体を兄貴の『シックス・フィート・アンダー』でゾンビ化させてうろつかせて」
「バラバラになった死骸は『ゴールド・シーカーズ』に集めさせれば済む話じゃないか……」
……なんか、さっきまでテンションの高かった先輩たちがズゥンと沈み込んでた。
でも、まあ、話がうまくまとまって何よりだろう。うん。

**

文化祭当日

『うわぁああああん! お化けが出たでし! あねさん、ぼくこわいでしぃぃぃ!』
「あ! こら、キャッツ! こんなところで電撃放っちゃダメ!」
「……お化け役の人たちまで感電させてどうするんですか。ねぇ、エタさん」
『…………はぁ』




使用させていただいたスタンド


No.1252
【スタンド名】 サマンサ・フォックス
【本体】 黒ブチメガネの男
【能力】 『機械の森林』を生み出す

No.337
【スタンド名】 ダウンワード・スパイラル
【本体】 ドリル巻き毛の女子高生
【能力】 殴った場所に「トゲ」を生やす

No.1027
【スタンド名】 ワイルド・アット・ハート
【本体】 喧嘩っ早い女
【能力】 スタンドに風を纏わせる

No.186
【スタンド名】 エターナルフォースブリザード
【本体】 片目に眼帯をしている中二病患者の少女
【能力】 相手は死ぬ

No.393
【スタンド名】 ブラック・クロニクル
【本体】 ゲーフェンバウアー
【能力】 義手や義足などを神経が通ってるかのように自在に操る

No.229
【スタンド名】 キャッツ・グローブ
【本体】 背の低い今どきの女子中学生
【能力】 対象の機能を本体の想像出来る範囲で操作することが出来る

No.679
【スタンド名】 セクシャリー・ノウイング
【本体】 飲酒、喫煙常習の17歳のJK
【能力】 煙を吸った相手が酩酊し、徐々に体調を崩していく

No.1258
【スタンド名】 ゴールド・シーカーズ
【本体】 飽くなき探求心を持つ青年
【能力】 対象を『長方形のスケール』に当て嵌めてその「情報」を探知する

No.81
【スタンド名】 シックス・フィート・アンダー
【本体】 葬儀屋の男性
【能力】 死体に6つ穴をあけるとその死体をゾンビにすることができる

No.261
【スタンド名】 ニューシネマパラダイス
【本体】 売れない小説家
【能力】 対象(生物でも物でも)の未来と過去を知る

No.1532
【スタンド名】 アローズ
【本体】 弓道部の女部長
【能力】 矢が刺さったもの同士を高速で引き合わせ衝突させる

No.99
【スタンド名】 シンフォニー・オヴ・デストラクション
【本体】 元パッショーネの薬の売人
【能力】 小型の非知的生命体を選択し、操る

No.113
【スタンド名】 アークティック・モンキーズ
【本体】 喫煙家の青年
【能力】 赤い色のものに出入りできる




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