オリスタ @ wiki

虹村那由多の奇妙な日常-第5編

最終更新:

orisuta

- view
だれでも歓迎! 編集


 
私は虹村那由多。M県S市杜王町のぶどうが丘高校に通う高校1年生だ。
現在私は地元のレストラン『トラサルディー』でウェイトレスのアルバイトをしている。
仕事は忙しいが、幼い頃からの顔見知りの店長や一緒にバイトをしている友人と、充実した日々を送っている。
……充実した日々を送っている、はずなんだけどなぁ……

**

「あれ? 那由多ちゃんがストロベリー&チョコチップアイスを舐めながら登校してる……。今日は、月曜じゃないよ?」
憂鬱な気分で登校途中の私に、ショコラが妙な顔を向けた。
ここではわかりにくいだろうから説明すると、私と垓は月曜日の朝はストロベリー&チョコチップアイスを舐めながら登校する癖がある。なんか、私がアイスを食べる仕草はそこはかとなくエロいそうだが、そんなことは知らん。
まあ、そんなのはともかくとして、月曜の朝アイスをなめるのは、父さんに似て成績の悪い垓は学校が始まることが単に憂鬱なだけなのだが、私は苦手な数学が一限目にあるのが憂鬱なのだ。
特に、数学を教える柏先生と私の相性は最悪だからなお悪い。私は彼の顔を見るたびに、「両親の敵と相対している気分」になるし、向こうは向こうで、私の顔を見るたびに首を絞めたくてたまらなくなるらしい。
どうやら、姉も似たような被害に遭っていたらしく、高校時代はよく「柏先生の顔を見るとなぜか警察に電話したくなる」と言っていたし、向こうは姉の後姿を見るたびになぜか「脳天を銃撃したく」なったそうだ。
いや、本当に嫌な先生なんだぞ? 私をわざわざ指しては、反応するのをレイト・パレードで遅らせて、「虹村、また居眠りか?」とかぬかすんだから。
「俺は別に柏のヤローから被害を受けたことなんてないけどよー」
「うん、『存在自体がアウトオブ眼中』だもんね」
「ショコラちゃんの天然って、時々毒舌を呼ぶよなぁ!」
後ろの方でなんか騒いでる声が聞こえるが、そんなのもどうでもいいくらいに憂鬱だ。
「ねぇ、那由多ちゃんったらどしたの? なんだか、変だよ?」
「あー、気にしねーでいいの。那由多姉ちゃんは注射が大の苦手なだけだから。ほら、今日は2月だってのに、なぜか健康診断あるじゃん」
垓の言葉に、私の手からアイスがポロリと転げ落ちた。よ、余計なことを言いくさってあのバカ……
「ええ? 那由多ちゃんって注射が怖いの?!」
「な、何を言うのかな、ショコラは。わ、わたしが注射を見るたびにすくみあがってぽろぽろ涙をこぼす訳が、な、ないじゃないか」
「そっかー。那由多ちゃんは注射を見るたびにすくみあがってぽろぽろ涙をこぼすんだね。可愛いね」
……完全にバレた。死にたい。
 
 
 




**

姉の打ちひしがれる姿を見ながら、俺、虹村垓はある計画を胸に秘めていた。
イースタン・ユースあるところにセキュリティー・ホールあり。それは、単発・スタゲで培われた法則である。
もちろん、この作品でもそれは例外ではない。そして、本体の女は俺の友人である。
故に、今回の身体測定の場で、俺は彼女と手を組んであることを行おうとしている。それは、姉が注射を怖がる姿を映像として残し、姉のファンに高値で売り付けようというアイディアだ。
オリスタスレ避難所の方にも姉のファンは沢山いる。そいつらにも声をかければ、きっといい値段で買ってくれるに違いない。それを二人で山分けする。
そして儲けは、オレが世界を手中に収める軍資金の一部と化す。アッハッハッ!

「……うん、お前にしてはいいアイディアだ。ただ、思ったことを口に出すのは止めような。私にとっては許せることじゃないから」
「へ?」
「ダボがァァァァーーーーーーーーーーーッ!」

本体名―虹村垓
スタンド名―イースタン・ユース(姉にブン殴られて再起不能)

**

「ハァ……、注射怖かった」
放課後、私は古本屋に立ち寄っていた。姉の彼氏である作家さんが、こういうところで安く資料を買いたいから、古本屋をこまめに回って探しておいてくれ、と頼まれているのだ。
私としては、将来の義兄ともなる人はまとまった収入がないと姉にとって良くないと思うので、結構ちょくちょく本屋を回るようにしている。
か、勘違いするんじゃないぞ。私は、将来零落した姉に金をせびられたくないだけなんだからな。決して、姉思いなわけじゃないんだぞっ!
「お、作家さんが探してた本があった。買っといてやるか」
見つけた本を買った私は、本がたくさん詰まった袋をスタンドに持たせて作家さんのいるボロアパートへと足を向けたのだが、ドアを開けようとした私の手が中空で止まった。中から聞こえてくる姉と作家さんの話が聞き捨てならないものだったからだ。

『うわぁ、変な形。うふふ、この黒光りしたモノの中に、真っ白いモノばかり一杯詰まってるんだ』
『し、しかたないじゃないか! 君の所為で、オカズになるものがもうなくなったんだから』
『あら、いいじゃないですか。その所為で、美味しいモノをたっぷり食べられてるんだもの』
『そ、そりゃそうだけどさ……』
『ふふっ、それじゃあ、いただきます。ハムハム……ムグムグ……んちゅぅ……』
『わわっ! そんなにガッつかなくても……。ところで、こういうのって初めてなんだけど、どうかな?』
『もごもご、もぐもぐ……。ん、しょっぱくて、とってもおいしかった。もうちょっと食べたいな』
『ちょ、ちょっと待ってよ! それ以上食べられたら、俺はどうなるのさ!』
『んふふ、しーらない』
 
 
 




……まだ暗くなってもいないというに、あの二人は何をやっとるんじゃ。あきれ果てている私の後ろで、リトル・ミス・サンシャインに抱えられた紙袋が、太陽電池の熱でメラメラと燃え上がり……
「あつッ! ちょっと、服に火がついてる!」
何時の間にかスカートに火が燃え移っていたのを、私は慌てて叩き消した。このやり場のない怒りを如何してくれよう……。そうだ、この原因は色ボケた姉にある。これは責任を取ってもらわないと!

「くおらぁ! この色ボケぇ! ……あ、あれ?」
ドアを蹴り開けて、ズカズカと部屋の中に入った私が見たモノは……、具のない太巻きをかぶりつく姉と、半泣きの作家さんの姿。
目を白黒させる二人の顔を見たとき、私は真実を理解してしまった。
つまり、
『うわぁ、変な形(の太巻き)。うふふ、この黒光りしたモノ(*海苔のこと)の中に、真っ白いモノ(*白米のこと)ばかり一杯詰まってるんだ』
『し、しかたないじゃないか! 君の(料理の)所為で、オカズになるもの(*食材)がもうなくなったんだから』
『あら、いいじゃないですか。その所為で、美味しいモノ(*恒河沙の手料理)をたっぷり食べられてるんだもの』
『そ、そりゃそうだけどさ……』
『ふふっ、それじゃあ、いただきます。ハムハム……ムグムグ……んちゅぅ……』
『わわっ! そんなにガッつかなくても……。ところで、こういうの(を作るの)って初めてなんだけど、(味は)どうかな?』
『もごもご、もぐもぐ……。ん、(御飯と海苔が)しょっぱくて、とってもおいしかった。もうちょっと食べたいな』
『ちょ、ちょっと待ってよ! それ以上食べられたら、俺(の分の太巻き)はどうなるのさ!』
『んふふ、しーらない』
ということだ。
「那由多ったら、いきなり飛び込んできて、どうしたの?」
「な、那由多ちゃん?」
変な顔をする二人の前で、私はしばし肩を震わせていたのだが、
「うがぁーッ! 紛らわしい会話なんてするなァーッ!」
とうとうブチ切れた。

本体名―作家さん
スタンド名―ニューシネマパラダイス(リトル・ミス・サンシャインが暴れたおかげで家が小火を出す。おまけに、事情を知った恒河沙が「ぷっ、やあねぇ那由多ったらぁ! 作家さんのが太いわけないじゃない」と言った事で精神的再起不能)




使用させていただいたスタンド


No.149
【スタンド名】 レイト・パレード
【本体】 若い学者
【能力】 本体やこのスタンドが触れたものに対してのあらゆる事象の発生を数分「遅らせる」

No.402
【スタンド名】 セキュリティー・ホール
【本体】 被害妄想が酷い女子高生
【能力】 カメラ付き手首を発射し、監視、追跡を行う




< 前へ       一覧へ戻る       次へ >





当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用、AI学習の使用を禁止します。




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー