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虹村那由多の奇妙な日常-第23編

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私は虹村那由多。M県S市杜王町のぶどうが丘高校に通う高校1年生だ。
現在私は地元のレストラン『トラサルディー』でウェイトレスのアルバイトをしている。
仕事は忙しいが、幼い頃からの顔見知りの店長や一緒にバイトをしている友人と、充実した日々を送っている。
……充実した日々を送っている、はずなんだけどなぁ……


「はぁ? スタンド消しゴム?」
『トラサルディー』に私の素っ頓狂な声が響く。なんだそりゃ、能力で書き損じを消すのか?
そういや、父さんが消しゴム代ケチるために『ザ・ハンド』でノートの表面を薄く削り取ろうとして失敗したとか昔聞いたけどそれの類似品か?

「あれ、知らなかったの那由多ちゃん? スポーツカー消しゴムとか、キン肉マン消しゴムとかあるでしょ?
あれのオリスタ版が今大人気なんだよ。なんでも、SPW財団関連の会社が作ってるとかで、最新科学を駆使して元の能力をある程度再現してるんだって。
だから、トントン相撲がすっごくバリエーション豊からしいよ」

ショコラが呆れ顔で説明した後を、作家さんが続ける。
「那由多ちゃんが知らないだなんて意外だなぁ、お義父さんが今働いてる工場はオリスタ消しゴムの金型を受注してるんだけどな」
「やだもぉ、『お義父さん』だなんで気が早いんだからぁ!」

バキッ!
あ、今作家さんが『オープン・ユア・アイズ』の中に吸い込まれた。お姉ちゃんも照れ隠しにぶん殴るのいいかげんやめりゃいいのに。

「きゃー、作家さん! 大丈夫?!」
いや、返事できねぇって。

「でさ、その消しゴムはね、本当に便利なんだよ? 文房具として他の機能を併せ持ってたりするんだから。
例えば、『薄倖副部長』消しゴムなんて点と線を引く能力だから、コンパスの機能がついてるんだって」
「激しく使い勝手悪そうだなそれ。……けど、折角だから後で買いに行くか。うちのダメ親父へのちょっとした孝行にはなるだろうし」
「それがいいと思うな。あ、そうそう。ここからが重要なんだけど、なんか賭けバトルが流行ってるらしくって、レアな消しゴムが数千円で取引されたり、ファイトマネーが数万円も出たりするそうだよ」
「何……だと?」

どうしてそれを早く言ってくれない。金欠女子高生の私としては、金が絡むなら黙っていられる話じゃないのだ。
うちも子だくさんですっかり貧乏になってしまったんだし、娘としてはコスメ代くらいは自前でどうにかしたいところだ。

「よしっ、じゃあいっちょ稼いできますか!」
「バイトが終わってからにしてくださいよ。それに、賭け事は感心しませんよ。この町のチャンピオンはとても強いそうですしね」
……うっさいぞ、そこの棒人間。


で、だ。翌日は学校帰りにオリスタ消しゴム買いに行った訳なんだが。

「ストラクチャーデッキ『抑止力セット』……? 遊○王カードじゃあるまいし、何考えてんだ?」
なんか、変なパックしかなかったぞ。どれ、開けてみるとして……。

えーと、犬っころと変なピースと、飲んだくれのおっさんぽい人型消しゴムと……肉ダルマ? なんか、変な組み合わせだなぁ。

ま、どうせ人気がないってことは転売しづらいのしかないんだろうな。なら賭けバトルでてっとり早く稼ぐとして……、作家さんが言ってた会場ってのに行ってみたのはいいんだけど、

「で、なんでお前がここにいる?」
「なんでって、あったまわりぃなあ姉ちゃんは。賭け事なんて確実に儲かんのは胴元って相場が決まってんじゃん。要するに、ここ仕切ってんのは俺ってこと」
……垓のやつが仕切ってんのかよotz うわ、マジでうさんくせぇ。

とはいえ、このまま帰るのは癪に障る。来たからには精々稼いでおかんとな。
「お、やる気出したのか。じゃあ姉ちゃん、さっそく参加費として千円を「お前が建て替えろ、姉弟だろうが」
「ジョーダンじゃねぇって・・・・・・」ベシィ!

「ん? 今蚊が止まってたんだがなぁ。逃げられたか。それにしても、弟を襲おうとした蚊を潰すようなつまらないことにもスタンドパワーを惜しまないだなんて、私はなんていい姉なんだろなぁ。いやいや、自分でも鼻が高い」
「そ……そうですね……。お優しいお姉様の参加代はこの愚弟めが建て替えておきます……」
説得の名の元、『リトル・ミス・サンシャイン』での渾身のビンタを叩き込んでやると即話はつく。太陽電池が当たった所為で、頬のあたりがちと蒸発してるがそれは後で仗助おじさんにでもどうにかしてもらおう。

で、賭け相撲開始、と来たが、
「姉ちゃん、よりによって『エンドゲーム・エニグマ』かよ……」
私が真っ先に引っ張り出した肉ダルマ消しゴムに、我が愚弟がおもいっきし厭なツラしやがった。なんでよ。

「いくら姉ちゃんでも、『オリスタ消しゴム』が他の文房具とコラボしてんの知らねぇわけじゃねぇんだろ? その消しゴム、元ネタが多数の民間人を捕食して取り込んだことにちなんで、接着剤のチューブにもなってんだわ。で、キャップゆるいはチューブとしても脆すぎるはで、土俵を叩く際の衝撃で接着剤があちこちから噴き出て相手の消しゴムをくっつけちまう訳。だからこういうとこじゃ使用禁止」
なるほど、リアルファイトになるの防止してるってわけか。……けど、消しゴムで接着剤の容器作るのってどうなんだか。使い物になるとは思えないんだけど。

「んじゃ、これは?」
「あー、『ロン』は四足型のくせしてものすごくバランス悪いんだよな。ぶっちゃけすぐ倒れるカス消しゴム。で、『シング・ライク・トーキング』のピースは、実質ほかの消しゴムにくっつけて重くするための改造パーツだからそんままじゃ使えない。真っ当に使えんのは、フツーの消しゴム並によく消せる飲んだくれの耀壱っちゃん消しゴムだけかよ。ひっでぇなぁ『抑止力セット』って。これじゃ、持ち主を負けさせるための抑止力じゃねーかよ。あー、でも“バカには見えない”『クリスタル・エンパイア』消しゴムよかマシか。あれは空気売ってたようなもんだし」
……道理で売れ残ってたわけか。ちっ、仕方がない。あるものでどうにかするとして……


三十分後、私はジャリども相手に荒稼ぎを楽しんでいた。耀壱っちゃん消しゴムの足に『シング・ライク・トーキング』のピースを、『エニグマ』の接着剤で張り付けたらバランスの取れること取れること。で、『リトル・ミス・サンシャイン』のパワーで土俵を叩くイカサマをやれば、スタンドも見えないジャリどもをカモるなんて簡単。この調子で、チャンピオンとやらまでぶちのめせば、それなりの臨時収入が見込めるかも。私がそんな風に思い始めたその時だった。チャンピオンが現れたのは。

「へっ、かなり調子に乗ってるようじゃねーの。けど、いいのか? 俺がこの邪気眼に秘めた力を解放すれば……」
「ハイハイ、厨2乙、厨2乙」
チャンピオンは、一言でいうとかなりダメそうなガキだった。現役の厨2病患者なんて初めて見たぞ、おい。

けど、こいつは割と真剣な妄想だったらしく、
「くそっ、舐めてんじゃねーぞクソアマぁっ!」
とか失礼なことぬかすと、土俵の上にドン、とオリスタ消しゴムを置いてきたんだが……なんというか、凄く……卑猥なんだけど。チ○コそっくりなんじゃね、これ?
サイズは普通の消しゴム並みだってのに、ここまでリアルに作るって、馬鹿なの? ねぇ、開発者は馬鹿なの?

「ははは、驚いたか! この『マーラ・ザ・ビックボス』消しゴムはなぁ、『クリ……なんとかエンパイア』のジョン万登場記念に個数限定で作成された超レア物なんだぜ! なんと、普通の『マーラ・ザ・ビックボス』消しゴムと違って本物から型を取って作成したそうだ!」
「げ、それじゃあ元のやつはすげぇ粗○ンってことじゃん。琢磨か? それとも漱次郎か?」
「爆死した正彦君の遺体から提供されたモノだそうだぜ」
「ペリエマンなにやってんのよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
私が思わずわめいた瞬間、

チュイン! バシュッ!
何かが耳元を掠り、髪の毛がハラハラと舞い散る。恐る恐る後ろを振り返ってみると、髪の毛を切り裂いた「何か」は壁に立派な風穴を開けていた。
「何か」は、『マーラ・ザ・ビックボス』消しゴムから飛んできた。チャンピオンが消しゴムの一か所を押した瞬間、その……から高速の何かが放たれたんだ。
「驚いたか? こいつは俺の能力『バーニング・スピア』で高圧の白濁液を射出する拳銃になってるんだ。『マーラ・ザ・ビックボス』消しゴムはその能力にちなんで修正液の容器としての機能も併せ持った文房具だからよ、『文房具を武器に変える能力』ではこんな剣呑な代物になるってわけだ。ま、俺様は人殺しなんて野暮な行いはしねぇんだがな」
はぁぁ?! なんだそれ! んな使いやすそうで使いづらいバカなアイテムがあったのもびっくりなら、そんなみょうちきりんなモンをいきなりぶっ放すやつにもびっくりだ!

「でもよ、姉ちゃん。拡大解釈に定評のあるスタゲさんなら、実際にジョン万をパワーアップさせる目的でこれくらいやりそうだよな。ぶっちゃけ、『OBJECT WAR』に出てもおかしくないくらいの威力で白濁液放出しても驚かないぜ」
「いやいやいや! お前も何言ってんだ! これでもしスタゲさんのネタ奪うことになったらどうするつもりなんだ! あの人が自信満々で隠してたアイディアをすっぱ抜くことになったらシャレじゃ済まんぞ!」

今更ながらに事の重大さに慌てふためく私は、ゲットした金全てを忘れずに引っさらってその場を離れようとしたが、その前にチャンピオンが立ちはだかる。

「力の持ち主はよぉ、力のない人間にそれを使っちゃぁいけねぇんだぜ。それが、能力を持ってしまった人間の定めってもんだ。だがあんたは自身の能力でイカサマをしやがった、胴元の兄貴にも手ぇ出しやがった。そいつぁ許せねーなぁ。だから、言っておくぜ。俺はこの能力で正々堂々イカサマをしてあんたをぶちのめす。賭けな、これまでに稼いだ全ての金をよぉ。俺はその三倍は金を積んでやる」
「やかましいわ! 私はこれから筆者を再び病院送りにしてやらなきゃならなくなったんだぞ! これが発表される前に修正しないととんでもないことになるじゃないか!」
「修正する前に賭けをしろ! やりもしない結果まで書き直されたんじゃたまらねぇ!」

よーするに、どうしてもやらなきゃダメってわけか。くそっ、いいだろやってやる。いざとなりゃ土俵を熱で燃やしちまえばいいや、そうすりゃ無効試合だ。

と、いうことで紙箱の土俵に消しゴムを置いた私だが、チャンピオンはなぜか頭の方を自分に向けて、消しゴムの横へと位置を変え、
「ぽちっと、な」
チン○消しゴムのどこかを押した。当然、強力水鉄砲となっているオリスタ消しゴムは『OBJECT WAR』に出てもおかしくないくらいの威力で白濁液を放出し……

「ぶべぇ!」
改造消しゴムごと私の顔面にぶち当たる、というオチが待っていた……

本体名―虹村那由多
スタンド名―リトル・ミス・サンシャイン(○ンコ型の消しゴムが顔面にぶち当たり再起不能)


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今回使用したスタンド
No.3747
【スタンド名】バーニング・スピア
考案者:ID:45hsahUAO様
絵:ID:FqD1qv0Uo様


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