今日読んだSF/FT/HRの感想@SF板まとめページ

オクテイヴィア・E・バトラー

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キンド レッド -きずなの招喚

438 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/06/09(金) 01:29:56
オクティヴィア・バトラー「キンドレッド」9点 
黒人差別の19世紀にタイムスリップする、
ドゥームズデイブックと似た話。これは面白かった。

タラントの寓話

967 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 03/06/16 08:46
バトラー「タラントの寓話」
面白かった。最後の宇宙船で宇宙に出て行くところがこれぞ
SFって感じで満足。姉弟、母娘の再会劇と複雑な心理の動きが
うまくストーリーと絡み合って、ラストのドラマ性を高めている。
それと中盤の暴力と抑圧と残虐シーン(救済者に首輪をはめられ
拘禁されるところ)はさすがの迫力。
前作でもこういう場面はあったけど相変わらず凄い。
ネビュラ賞も納得。宇宙に出て行ってからの続編も読んでみたいな。
題名の「タラント」というのは聖書の逸話から。
ラストに引用あり。

8点

Parable of the Sower

445 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 02/11/23 16:41
Parable of the Sower, Octavia E. Butler

衰退した近未来のアメリカ。政治体制は半崩壊し、南部は水と資源不足、
放火を誘発するドラックの蔓延でアノミー化し、人々は狭いコミュニティを
形成し、家を高い塀で囲って生活している。
主人公Lauren Olaminaはエンパスの少女で、周辺の他人の感覚(痛みなど)
を自分も感じる能力(というより病気だな)を持っている。
親父さんは教会の牧師だが、主人公は密かに自ら作り出した新宗教
「アースシード」の教義をノートにつけている。
いつか周りの住民を連れて村を捨て、どこかに移動して新しい
コミュニティを作ろうと目論んでいるが、ある日、放火ドラッグ
中毒者の放火とそれに伴う殺戮/略奪によって家族を皆殺しに
されてしまう。
村を逃げ出した主人公と僅かな生存者の、北への旅が始まる・・・
というストーリーです。
主人公の日記体で語られるため感情移入がしやすいし、
村が壊滅するまでの前半の描写もリアルで引き込まれる。
村を逃げ出してから後は、途中で色々な登場人物が加わりながら
次第に人数が増え、最終的に定住すべき土地に着くまでの
過程が描かれる。
ハイウェイを、よりよい生活を求めて徒歩で北へ進む人々の群れ。
ドラッグ中毒者が次々と引き起こす大火災からの逃避・・・
家々を荒らし、レイプや殺人を繰り返す略奪者たち(警官も)・・・
人肉を食べる少女・・・
後半は、ストーリー的にはやや一本調子な感じがするが、とはいえ
破滅したアメリカ社会の描写がリアルでたまらない。
「ことばのひびき」などと似た雰囲気なので、あの作品が好きな人には
お薦め。
ストーリー的には完結しておらず、いわばシリーズのプロローグ的な
内容になっており、この次が、ネビュラ賞受賞のParable of the Talents
です。非常に楽しみ。早速続編に移ります。
8点
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