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虹村那由多の奇妙な日常-第19編

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私は虹村那由多。M県S市杜王町のぶどうが丘高校に通う高校1年生だ。
現在私は地元のレストラン『トラサルディー』でウェイトレスのアルバイトをしている。
仕事は忙しいが、幼い頃からの顔見知りの店長や一緒にバイトをしている友人と、充実した日々を送っている。
……充実した日々を送っている、はずなんだけどなぁ……


拝啓、読者の皆様。突然なんですが、私、虹村那由多は現在非常にテンパってます。
と、いうか、マジでやばい状態です。なんでかと言いますと……う、うう……、う~~ううう、あんまりだ……
H E E E E Y Y Y Y  あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア ァ
AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!
わわわわわわわわたしィィィィィィィのォォォォォうでェェェェェがァァァァァ~~~!!」


事の発端は、弓道部の練習に遡る。
「ほら、狙いが一度ずれてる! 髪の毛一筋分右に弓をずらし、鏃を鉛筆一本分上に向けないと的の中心に当たらないぞ!」
「私は精密機械かっ! んな無茶な修正できるわけないでしょ!」

年末の活動納め、ということもあってか部長のしごきはいつもに増して厳しい。弓を持たなきゃ割と自堕落なダメ人間なんだけどなぁ……
けど、結局二重人格な人柄であろうが先天的なだらしなさはどっかに出てくるものらしい。部長が、自身のスタンドをほっぽっといて私たちの指導に血道をあげてたのが問題だったのだ。
部長のスタンド、アローズはその日校内でかくれんぼをしていて遊んでいたらしい。で、そのうちの一体がこともあろうに私の袴の内側に隠れようとしたことが悲劇を招いた。
鬼役の一体が、高速で飛び回って仲間を探し回るうちに、うっかり包丁に頭から突っ込んでしまったのだ。
で、折悪しく私の服に隠れようとしていたやつも焦りのあまりに私に刺さってしまったわけだ。
普通だったら、私がアローズを怒鳴りつけてやればそれで済んだんだけど……。

さて、ご存じの通り、『アローズ』の能力は「刺さったもの同士を高速で引き合わせ衝突させる」こと。
で、刺さってたのは包丁と私。というわけで、だしぬけに吹っ飛んだ私はというと、利き腕を包丁に切断されてしまったのであったとさ……。なんでさ。

「あらららら……、うわー、スプラッタだねー」
「大丈夫? 那由多ちゃん。腕が一本切り落とされただけだから、命に別状はないよー」
「サイナンダッタナー」
「ウヒャー、キレーナキリクチジャネーカ」
「オレノセイジャヌェー」
訳もわからぬまま、いきなり腕を切断されて悶絶する私に、部長やショコラがやけに呑気な反応を見せる。
いや、なんでのんべんだらりとした反応なんだよお前らは!

「二人とも、ちょっとは心配しろーっ!!! 腕切り落とされたんだぞ、おい! 大事故だぞ! 救急車を呼ぶくらいするだろふつーはっ!
常識ってもんがないなお前ら!」
「そう言われたって困るよ那由多ちゃん」
「私たちはスタンド使いだもんなぁ。超能力なんて非常識なもんの持ち主に常識を求められたって、ねぇ?」
「ですよねー」
「つーか、腕一本吹っ飛ばされるくらいザラじゃん、姉ちゃん。親父の時みたいに、仗助さんにくっつけてもらえばいいんだし」
「スタンド使いが腕を切り落とされたくらいでギャアギャア騒ぐってなんかみっともなーい!」
「だよねー。最低限でも、顔半分が内部でふっ飛んで、脳ミソが1/3ぐらい顔の肉とシェイクされなきゃ誰も心配しないよねー」
「そもそも、隻腕フェチの筆者の作品で主人公やってんだから、利き腕が切断されないほうがおかしいじゃん。当然のことで騒ぐなんて、バカじゃないの?」
「そうそう、ジョルナータさんだって腕切断された挙句に心臓抉られてるんだから、那由多ちゃんは幸運なほうよねー」

え? 何この空気? 腕が切り落とされるのを当然のように受け止めてられるあんたらって、なんなのよ。
「「「いや、それがジョジョの世界観だから。治療できる程度の傷でガタガタ言われましても。むしろ、騒ぐ方が非常識だから」」」
……もうやだ、この世界観。常識が常識と受け入れられないなんておかしすぎる。

「那由多ちゃん、仗助さんに電話したら『なんだ、腕がちょん切れたって? そんくらい、騒ぐ必要ないっすよォー。すぐに治療してやるからなぁー!』だって」
「あんたもかぁぁぁっ! せめて、誰か怪我を心配しろォォォォッ!」

結局、腕の治療は済んだものの、周囲への信頼は回復できませんでした。ああ、常識ってものを持ち合わせたスタンド使いのいる環境がほしい。
「無理だと思うよー、だってスタンドっていう非常識が私たちの常識なんだもん」


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