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虹村那由多の奇妙な日常-第21編-前編

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 みなさんこんにちは! 私は、『降星学園』太極拳部副部長を務める芝生・フラグです!
日系モンゴル人だからフラグという名前が付けられたのですが、たまたま苗字が芝生(しぼう)だったおかげで、ちっちゃい頃から「歩く死亡フラグw」とか「存在自体が死亡フラグwww」と散々からかわれました。
 太極拳部に入った際は、友達から「うわ……、ホントに死亡フラグを立てちゃったよあの子wwwwww。名は体を表すってマジだったんだ」だなんて言われたことも……。

 でも、負けません! たとえ横暴な部長の所為で胃潰瘍になっても、問題児揃いの部員の所為で抜け毛に悩まされても、彼氏が出来なくて血反吐を吐いても!
 何故か戦場に駆り出されて、背後で部長がRPGの炸薬弾を掌で絡め取って敵陣に投げ返そうが、その上スタンドに全身を回転させて竜巻を巻き起こそうが、私は副部長として頑張ります!
 せっかく出番が来たんですから!

ツンツン
「あのさー、副部長。カメラ目線でのお取込み中悪いんだけど……」
 はい、なんでしょう!
「もう、みんな撤退終えてるぜ? ぶっちゃけ、俺ら敵中に孤立してんだけど。有体に言うと、死亡フラグ立ってる」
 え゛ぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!
「更に言っちまうと、これ本編に関係ないんだってさー。つまり、日常への出番は皆無なんだってー」
 え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!


 私は虹村那由多。M県S市杜王町のぶどうが丘高校に通う高校1年生だ。
 現在私は地元のレストラン『トラサルディー』でウェイトレスのアルバイトをしている。
仕事は忙しいが、幼い頃からの顔見知りの店長や一緒にバイトをしている友人と、充実した日々を送っている。
 ……充実した日々を送っている、はずなんだけどなぁ……


 今日も今日はでショコラとだべりつつアルバイトである。いい加減トラサルディー以外での話が欲しいところであった、まる。
「ところで那由多ちゃん、最近強盗がこのあたりに現れてるんだってー。怖いねー♪」
「怖いにしちゃ妙に暢気な言い方だなおい。けど、あれでしょ? 結局いっつも未遂に終わってるってやつ。
なんか、ものすごく目立つ格好してるそうだけど何故か捕まってないらしいよね。仗助さんも何やってんだかなぁ」
「そうそう、その強盗さん。けど、不思議だよねー。あんな、頑丈だけど重っ苦しい恰好で捕まらないのって。だって、あれだよ? かっ……」
と、ショコラが言いかけたところでドアがガチャリと開く音がした。

 お客さんみたいだ。さて、と駄弁るのはやめてお仕事お仕事、と思って振り向いた私が目にしたのは、
「金を出せ!」
 さっきまで話題にしてた『甲冑強盗』がサーベルを振りかざしてドアから堂々と入ってくるとこだったとさ……

 うん、実際に目にして思った。ねーよ、これ! なんで西洋のフルプレートアーマーなんかつけてんだよおい! ショコラなんか腹抱えて爆笑してんじゃねーか!
 その姿で、しかも徒歩で強盗かよ?! つーか、一般人にも噂になってる時点でスタンドじゃないこと確定だろ! 関節部分がガシャガシャ音立ててっぞ! お前、その恰好辛いだろ、足なんかブルブルなってっぞおい!
 バカだろお前! 『甲冑強盗』の正体が『サム・ライク・イット・ホット』だったらものすごく困ってたけど、真面目にこんな格好してくるバカを相手にするのはもっと困るわ!

「おい、聞こえてんのか? 金を出せっつってんだろうが!」
 私の呆れ顔とショコラの爆笑ぶりにカチンと来たのか、甲冑強盗がサーベルをしきりに振り回してわめいてる。すっごくダサい。
(あーもー、しょうがないなー)
 ともあれこのままほっといても仕方がない。苦い顔して近づいた私は、

「『リトル・ミス・サンシャイン』ッ!」
「ブベッ!」
 スタンドで思いっきり強盗の顔面をぶん殴ってやった。不意を突かれた強盗は、開けたままのドアから外へと吹っ飛んでく。
 あ、ぶっ倒れたまま立ち上がれねぇ。鎧が重すぎて手足をじたばたさせてる。うはー、すっげーかっこわりー。あ、やっと起き上った。叫び声をあげて逃げてやがる。……いい加減仗助さんもとっつかまえりゃいいのに。

 いや、そこで変な顔しないでよ。リトル・ミス・サンシャインの射程距離はDだから。相手がアヌビス神でもない限り、刀にゃアウトレンジ攻撃できるから。しかも、パンピーにとっては見えない打撃だから。
 強盗の一人や二人追っ払えない訳ないじゃん、常識的に考えて。ぶっちゃけ、これでも手加減してるんだぞ? ホントは太陽電池で融かしてやってもよかったけど、流石に一般人の強盗にそこまでするのは酷過ぎるから自重したんだからな?

「あー、かったるかった。なんで泥棒なんて出てくるんだか。あれがいなけりゃ、この辺りは月当たりの犯罪件数ゼロ達成できそうなくらい平和だってのに」
 凝った肩を揉みほぐしながら、ドアをバタンと閉める。私の様子にショコラが苦笑して、
「えー? たまにはあれくらいの刺激がないとやっていけないよ? それに那由多ちゃん、肩が凝るほどおっきくは「それ以上つべこべ言ったら、ケツの穴から手ぇ突っ込んで、舌の上に太陽電池置いてやるぞこら」
満面の笑みした私に頭を掴まれる羽目になった。ったく、痛いとこをつきやがって……

 自重でズレ落ちそうになってる胸パットをしっかりと整え直し、ため息をついて壁によっかかった私だが、その時になって、
ちゃっ、ちゃーちゃちゃちゃ、ちゃっ、ちゃーちゃちゃちゃ
という、昔どっかの炭酸飲料のCMで流れてたようなBGMが流れてきて、いきなりドアが開き、
「強盗ナド非生産的ナ虚シイ行為ダ。マア、コレデモ飲ンデ頭ヲ冷ヤストイめめたぁっ!」
 ベキッ! 現れた甲冑姿の顔面に、私は反射的に蹴りを喰らわせていた。ついでにもう一発蹴る、更に蹴る。もっと蹴る。私が正気に戻ったのは、半ば呆れながらその様子を眺めてたショコラが、
「那由多ちゃん、それさっきの強盗さんじゃないよ! ペリエマンさんだよ!」
と、叫んでからだった。
 ゲシゲシゲシゲシ・・・・・・。あ、確かに。頭にDFってマークがついてるや。
「あ、ホントだ。ペリエマンだ。……どっちにしても遅いんだけど。えーと、ごめんね。ほら、大丈夫?」
 蹴りを止めて手を伸ばした私へとDFさんはグッと親指を突出し、
「『白』カ……。正直『元すたんど』デアルワタシニハドウデモヨイノダガ、迷惑料トシテ眼福ニアズカルコトニシヨウ」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ! お前やっぱぶちのめすっ!」


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