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虹村那由多の奇妙な日常-第21編-中編

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ゴクゴク・・・・・・プハァ。ガチャ。
「・・・・・・・・・・・・」
ゴクゴク・・・・・・プハァ。
「……………………」
なんか、DFさんが居着いちゃってるんですけど。テーマソング流してたラジカセ床に置いて、めっちゃうまそうにペリエ飲んでるよこいつ。

「で、なんでここに残ってんのよ。あんた正義の味方だってんならとっとと『甲冑強盗』追いかければいいじゃん」
『ぺりえヲ配ッテ、悪人ノ頭ヲ冷ヤスノガワタシノ使命ダ。犯人逮捕マデ行ッテシマウノデハ、警察ノ仕事ヲ奪ウコトニナッテシマウデハナイカ』
「なるほど! 流石はペリエマンさんだよ!」
……いや、なるほどじゃねーよ。だからといって、ここにいる必要はねーだろーが。ペリエ注文してくつろいでんじゃねーよ。
百歩譲って、客としてくつろぐのはいいとしても、ちゃんと金払ってくれるんだろーな。ボヘミアン・バレットで『代ワリニ代金ヲ払エ』なんて命令埋め込んだら後で溶かしてやるぞ、ええ?

『心配ハ無用ダ。自分デ言ウノモ妙ナ話ダガ、今ノワタシハ”正義ノ味方”トイウ設定ノ噂カラ具現化シタ存在ダ。食逃ゲスル”正義ノ味方”ガコノ世ニイルダロウカ? イヤ、イナイダロウ』
よーするに、金はちゃんと払ってくれるんだな。なら、いいや。
……ん? 代金はどっからもってくるんだ? こいつ、働いてたっけ?
と、疑問に思ったのが顔に出たらしい。
『問題ナイ。土木作業員トシテ夜間ニ下水管ヲ地面ニ埋メテ稼イデイル。ソノ金デ勘定ヲ済マセルツモリダ』
「甲冑姿がヘルメットかぶって作業する光景って、想像するだにシュールだなー……」
『チナミニ、億泰モ同ジ現場デ働イテイルゾ? ”工場ガ復旧スルマデ、ドウニカシテ那由多タチノノ学費ヲカセガネートヨォー”ダソウダ。
ココデ食事スル様カラハワカラナイダロウガ、彼ハ一日一食ニキリツメ、眠ラズニ働イテ家計ヲマカナッテイルノダゾ』
「お父さん、いっつも迷惑かけてごめんなさい!」


絶句した私がようやく機能回復すると、ショコラとDFさんが仲良く駄弁ってた。
「そういえば、ペリエマンさんが飲んだペリエってどうなるの?」
『きゃっつ・ぐろーぶノ飲ンダ電池ノ行先ト同ジトコロダ。
コチラガ”正義ノ味方”トシテ一般人ニモ見エルヨウ実体化シタタメニ、ムコウト違ッテ質量ガ存在スルノダガ、ソノアタリハ以前ト変ワラナイラシイ』
「なるほどー、流石はペリエマンさん! 深い話だね!」
いや、ぜんぜん深くねーよ。浅いって。つーか、ペリエ飲み干してそのまま居座るのやめろよ。ショコラも瓶片付けろよ。
ウェイトレスとしてバイトしてるんだからさー、真面目に働けよ。ともかく、さりげなく追っ払うことにしないとな。

「なー、ペリエマン。あんたなんでここに残っているのよ? ペリエを注文するだけなら他の場所でもできるじゃん」
『ウム、忘レルトコロダッタ。実ハ相談ガアッテ腰ヲ下ロシテイタノダ』
その言葉に、私たちの表情に緊張が走る。
ペプシマンじみた『お間抜けなヒーロー』という役どころとはいえ、腐ってもヒーローならば大抵の問題は自分でどうにかできるはず。
それが、私たちの手を借りたいというのだから、きっと大変なことなのだろう。けど、やらないといけない。父さんたちの『黄金の精神』を受け継ぐ者として!

身構えていた私たちであったが、
『相談トハ、噂ヲドウニカシテホシイ、トイウコトダ』
「「……はぁ?」」
頼みとは実にしょーもないことであった。

『今ノワタシハ、先程言ッタトオリ噂ニヨッテ生ミ出サレタ存在ナノダガ、噂トハ刻々ト変化スルモノナノダ。
ワカリヤスク説明スルト、”ぺりえまんノ鎧ノ中ハあんてなサンダッタリシテ”トイウ噂ガ流布スレバ、ワタシノ中身ハあんてなサントナッテシマウワケダ。
トコロデ、最近ノワタシノ噂ヲ知ッテイルダロウカ?』
「えーっと、確か『凶悪犯罪に対抗するため、ペリエマンが数々の装備を得てパワーアップしたらしい』だっけ?」
「対抗すべき凶悪犯罪なんて一件も起きてねーよ。チャリで巡回する仗助さんが途中でパチンコに寄ってるご時世だぞおい」
 どこのどいつなんだろーなー、そんな寝ぼけた噂流すアホは。家族の顔を見てみたいぞまったく。そんな私のボヤきはきっちりスルーして、DFさんは我が意を得た、と言わんばかりに大きく頷いてみせる。
『ソノトオリダ。ダガ、噂ノタメニ現実ニぱわーあっぷサセラレテシマッタノダ。マズ、なちすノ残党カラ与エラレタ”紫外線照射装置ィィィィィィィ”。』

埋め込んでたのを解除したのか、胸部からガシャン、とごつい機械が登場した。……ここら、吸血鬼も柱の男も出たことはないんだけどな。
いや、それよりなにより突っ込みどころがあった。
「なんだよその語尾。ふつーに言えよ。語尾伸ばすな!」
「いやいや那由多ちゃん。あの言い方で正しいんだよ。だって、ナチスの科学力は世界一なんだよ?」
「……お前、何でもかんでもナチスを絡めて世界一にしてんじゃねーか。
この前なんか、『ナチスのボルシチとフィッシュアンドチップスは世界一ィィィィィ!』って突っ込みどころ満載の発言してただろ。つーか、お前未だにナチなのか。その呑気なツラの裏でユダヤ人差別でもしてんのか、ああ?」
「えー、そんなことしてないよぉ? 私、博愛主義者だもん」
「お前、私の堪忍袋には博愛及ぼさないよなぁ!」
『……トコロデ、ソロソロ話ヲ元ニモドシテホシイノダガ』
「「あ、ごめん」」
私の突込みやショコラのボケをたしなめ、DFさんは次から次へと新装備を取り出していく。そう、ここからが本当の地獄だった。

『他ニ”高圧濃硫酸噴射砲”、”ちぇーんそー”、”みにがん”』
ガシャン、ガシャン!
「なんでそんな危ないもん装備してんだよ! 男のロマンか!? 男の子のロマンなのか?!」

『”どりる”』
ガシャン、ガシャン!
「だから土木工事なんてしてたのか!」

『”ふれあ・でぃすぺんさー”』
ガシャン、ガシャン!
「お前何と戦うつもりなんだよ! ミサイルでも撃ってくる敵がいるのか?」

『”あとみっくばずーか”』
ガシャン、ガシャン!
「『必府町ヨ私ハ帰ッテキタゾ!』、とは絶対言わせないからな!」

『”M79ぐれねーどらんちゃー”、”いーじすしすてむ”、”20みりふぁらんくす”、”VSL”、”ECM”』
ガシャン、ガシャン!
「なあ、ホントに何を敵に回すんだ? 敵は国家か? それともス○ィーブン・セガールか? 生憎、セ○ール拳はイージスシステムでも撃ち落とせないぞ!?」

『”風船爆弾”、”ろけっとぱーんち”』
ガシャン、ガシャン! 炎の尾を引いて飛んで行ったロケットパンチが、トニオさんから二杯目のペリエを受け取って戻ってくる。
「もうやだこの全部乗せラーメン! お前もうDFさんじゃねぇよ! 単なる『ぼくのかんがえたさいきょうのDFさん』だよ!」

『”あーむどべーす・おー○す”』
ガシャン、ガシャン!
「デンド○ビウムじゃねーかもう! いい加減その過剰火力どうにかしろよ! 今ならマジで○ガール吹っ飛ばせるだろおい!」
『イヤ、ソレハナイ。せがー○ヲシリゾカセルニハコレデモ火力ガ不足シテイル……。究極生物どぅおーもガ相手ナラバ、ヤツガすたんどヲ発現サセナイカギリ充分ダガ』
「どんだけ凄いんだよ、スティー○ン・セガールは! 究極生物にも圧勝するのかセガ○ル拳!」
『コノ惑星ノ○てぃーぶん・せがーるハ、強イ……』
「どっかのラノベに、モロにそんなセリフあったよなぁ! つーか、なんだよ。スタンドよりもセガー○は強いのか?!」
「セガー○の強さは世界一ィィィィィ!」
「お前はもう黙ってろ!」
『バキャロー! 来ルナト言ウタヤロー! ソコマデ死ニタイカー!(棒読み)』
「誰が○ガールの真似しろつったぁぁぁっ! お前は装備紹介に集中しろぉぉぉっ!」

『ソシテナゼカ、最後ニ”ぶぶぜら”』
ブォオオオオオオオ!
「うるせーっ!」


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