シナリオを書いた方より「一応こんな感じで進めていきますという形式を示しておく意味でwikiに置いてあるといいと思います。(ので載せて大丈夫です)」




◆出会いは異変に導かれて

○オープニング

          導師の紋章のアップから、導師の壁画。
テロップ(以下T)「――導師の伝承――
          はるかな神話時代、世界が闇に覆われると、いずこより現れ光を取り戻した。
          時代は移ろうとも、世が乱れる度に、人々は伝承を語り、救いを願う。
          その度に導師は姿を現し、闇を振り払ったという。
          しかし、平和が訪れると導師は姿を消した……
          彼らはどこへ……その答えを知る者はいなかった
          いつしか、人々の記憶から、伝承の中へと消えていった」

○(暗転)グリンウッド大陸

          火山の噴火。逃げ惑う人々。
        T「闇は、世界を再び覆わんとしていた。
          導師の名が再び語られ始めた。
          だが、いまだ導師は姿を見せなかった……」




○(暗転)アロダイトの森


       槍と地図を手に森の中を彷徨うアリーシャ。
 アリーシャ「おかしいな……。北の国境はこちらのはず。始まりの村、カムランの噂。
       本当だとしたら、もう見えていてもおかしくないはずなのだが……」
 アリーシャ「やはり、噂はただの噂か……」
       アリーシャ、ナイフを取り出し握りしめる。
       と、雷の音。
       アリーシャ、空を見上げる。
 アリーシャ「雨? まずい……」
       近くに雷が落ちる音。
       アリーシャ、慌てて雨を凌げる場所を探し、歩きまわる。
       王家のナイフがわずかに光るが、アリーシャ気付かず。
       と、崖際で地崩れ。
 アリーシャ「わっ……!」
       アリーシャ、体勢を崩して巻き込まれる。
 アリーシャ「きゃああああ!!」


○(暗転)マビノギオ山岳遺跡


       スレイ、遺跡外縁部を歩く。
       壁画を見上げ、天遺見聞録を開く。
   スレイ「(嬉しそうに)やっぱり! 聖剣を掲げる英雄……『導師』の壁画だ! ……ようやく見つけた」
       スレイ、天遺見聞録を抱く。
     声「スレイ、僕はハズレだったよ」
   スレイ「ミクリオ!」
  ミクリオ「先を越されたね。今回は」
   スレイ「へへ」
       と、スレイ笑ってピース。ミクリオ、腕を組む。
   スレイ「やっぱり『アスガード時代』以前には、導師は身近にいたんだよ」
  ミクリオ「そう断じるのは早計じゃないか? なにより、まだこの遺跡がアスガード以前のものか確証はないんだ」
       ミクリオ、少し歩き出しスレイを振り返る。
  ミクリオ「模造かもしれない」
   スレイ「(両腕を広げながら)この規模の遺跡で、様式まで則った模造建築なんてしないんじゃないか?」
       遠くで雷の音。スレイとミクリオ、空を見上げる。
  ミクリオ「なんだかまずいぞ……」
   スレイ「ミクリオ、あれって……」
  ミクリオ「遺跡探検はここまでだ、スレイ!」
       走りだすミクリオ。スレイ、壁画を振り返る。
  ミクリオ「スレイ!」
       ミクリオ、ついてこないスレイに呼びかけながら先を行く。
       ミクリオの足場が音をたてて崩れ、スレイ、落ちかけたミクリオの襟首をつかむ。
   スレイ「ふー、間一髪」
       ミクリオ、石片が落ちていくのを見下ろす。
  ミクリオ「頼むよ。早く上げてくれ」
       スレイ、ミクリオを引き上げようとするが再び足場が崩れる。
   スレイ「わああああ!」
       スレイ、ミクリオ落下。
       ミクリオ、落ちながら杖を出す。
  ミクリオ「双流放て! ツインフロウ!」
       ミクリオ、水の天響術でスレイを水場へ弾き飛ばし、
       着地。服を払い髪を撫でる。
   スレイ「いってー……」
       と、腰を擦るスレイ。
  ミクリオ「スレイ。
       とっさの判断だったけど、上手くいっただろう?」
       と、ミクリオ腰に手を当てる。
  ミクリオ「これで貸し借りなしだ」
       スレイ、ミクリオの向こうにあるものを見つめ、ミクリオ振り返る。
   スレイ「これは!」
  ミクリオ「地下にも遺跡があったなんて……」
   スレイ「落ちたのに感謝だな……」
  ミクリオ「(呆れながら)まったく。それより、戻る方法を見つ
        けないと」
       とミクリオ、スレイに手を差し出す。
   スレイ「ああ、うん」
       スレイ、ミクリオの手をとって立ち上がる。
  • 会話選択『奥にこんな遺跡があったなんてな』
  ミクリオ「ここの探検はまた今度だ。今は帰る道を探そう」


       円形ホールを出て進み断崖に出る。
       スレイ、崖下を覗きこむ。
   スレイ「うはあ~……高っ!」
  ミクリオ「さっきも相当だったけど?」
   スレイ「あれ? 先に落ちたのは誰だったっけ?」
       そっぽを向くミクリオ。
(注:原作では、ここでスレイの「石版あったし、気に
      してらんないだろ」というセリフがあったが、意味を
      掴みにくいため修正)
   スレイ「ん?」
       スレイ、崖の向こう側に倒れているアリーシャを見つける。
   スレイ「誰か……倒れてる?」
       スレイ、目を凝らしてアリーシャを見る。
   スレイ「あのさ、ミクリオ」
  ミクリオ「ん?」
   スレイ「あれ……人間だ」
  ミクリオ「まさか!?」
       ミクリオ、スレイに並んでアリーシャを見る。
       スレイ、遺跡を進もうとする。
  ミクリオ「待て。
       人間には関わらない方がいい」
   スレイ「ほっとけない。まだ生きてんだから」
       スレイ、振り返ってミクリオをねめつける。
       ミクリオ、目を逸らして腕を組む。
  ミクリオ「わかった。僕も手伝う。
       とにかく、もっとあたりを調べよう」
   スレイ「うん!」
  • 会話選択『早くあの人のところに行かないと!』
  ミクリオ「人助けはいいけど、自分の安全も考えて行動してくれ
       よ」
  • 会話選択『クモの巣、すごすぎだよな』
  ミクリオ「面倒だが、取り払いながら進むしかないよ」


       遺跡を進み、道を塞いているクモの巣を剣で払う。
 ショートチャット
    スレイ「あちゃ、剣がベトベトだ」
   ミクリオ「クモの巣が多いな。長い間、誰も足を踏み入れていな
        いんだろう」


       スレイ、背後に気配を感じて振り返る。
       注意深くあたりを見回す。
   スレイ「上だ!」
       スレイ、後ろに飛び退いて巨大なクモが落ちてくる。
   スレイ「こんなでかいクモ、はじめて見た!」
       戦闘突入


       戦闘後
  ミクリオ「こいつ、まさか憑魔……?
   スレイ「憑魔? 本当か……?」
  ミクリオ「見るのははじめてだけどね……」
   スレイ「なんで憑魔なんてバケモノがこんなところに」
       と、立ち上がる憑魔。
   スレイ「逃げる気だ!」
       スレイ、憑魔追いかけようとする。
       ミクリオ、スレイの肩をつかむ。
  ミクリオ「忘れてないよね? ジイジの言葉」
   スレイ「あ……」
               × × ×
        (フラッシュ)
           回想

   幼い声「憑魔……?」
       こちらを見るジイジ。
   ジイジ「そうじゃ、憑魔じゃ。穢れが生んだ恐ろしい魔物じゃ。
      ヤツらを倒せるのは特別な者だけがあやつる『浄化の
      力』のみ」
       ジイジ、キセルをふかす。
   ジイジ「二人とも。憑魔に出会ったらすぐに逃げるのじゃ。
      忘れてはならんぞ。我らに憑魔は倒せないのじゃ」
       ジイジ、こちらに手を伸ばし頭を撫でるような仕草をする。
   ジイジ「よいな?」

          回想終了
         (フラッシュ)
                 × × ×
   スレイ「『浄化の力』がないと、憑魔は倒せない……」
  ミクリオ「今は追い払えただけで満足しないと」
   スレイ「なら、なおさらだな。急いで彼女を助けなきゃ!
       あんなのがうろついてるんだから」
  • 会話選択『あれが憑魔か……』
  ミクリオ「他にもまだいるようだ。迅速を心がけつつ、慎重にい
       こう」


  ロングチャット『雷の理由』
    スレイ「さっきの人も雷にやられたのかな?」
   ミクリオ「順番が逆だ。あの人間のせいで雷が発生したんだ」
    スレイ「さっきの雷、やっぱジイジだよな」
   ミクリオ「ああ。侵入者への警告だね。これ以上踏み入るなって
        いう」
    スレイ「……ごめん……ジイジ。やっぱりほっとけない」
  ミクリオ「やれやれ。珍しくいろいろ起こる日だよ」


  ロングチャット『謎の石碑』
    スレイ「面白い石碑が見つかったな」
   ミクリオ「今日は収穫が多いね」
    スレイ「あの石碑……遺跡に比べて新しかったよな」
   ミクリオ「ああ。まったく年代が違ったね」
    スレイ「内容、なんか助言みたいだった」
   ミクリオ「先にここを訪れた何者かが残した、探索の標というと
        ころか」
    スレイ「オレたち以外にもいるんだな。遺跡を調べてる人が」
   ミクリオ「たぶん、冒険家、探検家……そう呼ばれる人だろう」
    スレイ「探検家かあ……」


※分岐1_1A
       遺跡内を進み、宝箱から導師の手袋を発見。
   スレイ「これって……」
       ミクリオ、手袋を取り上げる。
   スレイ「わ、なになに!?」
  ミクリオ「僕が預かっておく。夢中になったら止まらないからね。
       無事戻れたら、ちゃんと返すさ」
   スレイ「ははは……」
       スレイ、頭を掻く。
   スレイ「お願いします」

※分岐1_2A
       宝箱を調べず先に進む。
       ミクリオ、宝箱を開ける。
       スレイ、ミクリオに歩み寄る。
  ミクリオ「さっきの中身は僕の戦利品ってとこ。帰ったら教えて
       あげるよ。
       さ、急ぐんだろ?」
       スレイ、頷く。



  • 会話選択『向こう側に行く道、ないのかな?』
  ミクリオ「いや、なにか方法があるはずだ。いろいろ調べてみよ
       う」


階段を登って遺跡上層、崖の向こうに向かって伸びる
足場を見つける。
  ショートチャット
   ミクリオ「見えているのに行けないってのは、もどかしいな」
    スレイ「跳べそう?」
   ミクリオ「きみ次第じゃない? 見てみたら?」


       スレイ、足場の端まで寄る。
  ミクリオ「どうだい?」
   スレイ「はは、やっぱ無理だ」
       足場が崩れかけ、石片が落ちる。
   スレイ「あっぶね!」
  ミクリオ「驚かせるなよ!」
   スレイ「悪い悪い」
  • 会話選択『なにかありそうな気がするんだけど……』
  ミクリオ「遺跡の構造を見るに、階段を登った先、上階部分には
       向こう側へ繋がる道はないと思う。階段をのぼる前、
       下階エリアをもう一度調べてみよう」

 ショートチャット
  ミクリオ「やはりこちらからは行けないか」}
   スレイ「構造上、繋がってるはずだ」}
  ミクリオ「ま、戻って調べてみよう」}


       宝箱横の行き止まりの道、スレイ、先ほど落とした石
       片が空中に積もっているのを見つける。
   スレイ「ん? あれって……」
  ミクリオ「どうしたんだ?」
   スレイ「うん。あれ」
  ミクリオ「ん……?」
   スレイ「もっとよく見てみる?」
  ミクリオ「時間が惜しいんだ。回りくどいのはなしにしてくれ」
   スレイ「おほん! 説明しよう! これは……」
  ミクリオ「やっぱりいい。下に行けばわかる」
   スレイ「まったく、負けず嫌いだな」
  • 会話選択『わかったか? ミクリオ』
  ミクリオ「……無駄口はいい。さっさと行こう」


       来た道を戻る。大穴前、崖と崖のあいだ、なにもない
       空中に石片が積もっている。
  ミクリオ「なるほど。そういうことか」
   スレイ「ミクリオ?」
  ミクリオ「スレイも気づいたろう?」
   スレイ「あ、ああ……」


選択肢
①『あんな位置に下からの階段があるなんてな』
②『まさか空中を歩けるなんてな』

※分岐2_1『あんな位置に下からの階段があるなんてな』
   スレイ「あんな位置に下からの階段があるなんてな!」
  ミクリオ「(呆れながら)はあ……ホントは気づいてなかったと
       はね……」
   スレイ「え? おっかしいな……そう見えたんだけど」
  ミクリオ「違うよ。ほら」
       ミクリオ、天響術で透明な橋を凍らせる。
   スレイ「見えない橋か!」
  ミクリオ「そういうこと」

※分岐2_2『まさか空中を歩けるなんてな』
   スレイ「まさか空中を歩けるなんてな」
  ミクリオ「正確には、透明の橋だけどね」
   スレイ「ちゃんと人が乗れるのかな」
  ミクリオ「なんだ。今日は妙に冴えてるね」
       スレイ、腕を組む。
   スレイ「(得意気に笑って)ふっふふ」
  ミクリオ「今日は、ね」
   スレイ「ちぇ」
       ミクリオ、天響術で透明な橋を凍らせる。



       スレイ、橋を渡る。
 ショートチャット
  ミクリオ「大丈夫そうだな」
   スレイ「うん」


  ロングチャット『不思議な橋(スレイ発見)』
    スレイ「ホントすごいよ、この橋。どうやったんだろ?」
   ミクリオ「こんなもの、人間の技術じゃ作りだせないはずだ」
    スレイ「ってことは、この橋だけは『神代の時代』くらい古い
        ものってことか?」
   ミクリオ「どうかな……いずれにせよ。僕たちのような者に頼ん
        で力を借りたのは間違いないだろう」
    スレイ「そこまでしてあっち側に人を入れたくなかったんだ」
   ミクリオ「この先はイズチに繋がってる。聖域を護るためには当
        然とも言えるね」
    スレイ「昔、神殿へ祈りに訪れた人々も、断崖を渡れないと思
        い込まされたんだろうな」
   ミクリオ「さっきまでの僕たちのように、な。けど、よく気づい
        たね、スレイ。きみの直感にも感心させられるよ」
    スレイ「お?」
   ミクリオ「ごくごく稀にね」
    スレイ「褒めてくれたと思ったらこれだ」



       橋を渡り、倒れているアリーシャに歩み寄る。
       スレイ、落ちていた槍を拾い、アリーシャのそばにか
       がむ。
  ミクリオ「やっぱり考えなおそう」
   スレイ、構わずアリーシャを揺り起こす。
   スレイ「あの、大丈夫?」
       アリーシャ、目を覚ます。
 アリーシャ「うう……あれ……?」
       アリーシャ、体を起こす。
   スレイ「ほっ」
 アリーシャ「私は……たしか森で……」
       アリーシャ、スレイを見て怯む。
       地面を触って槍を探す。
   スレイ「これ?」
       スレイ、槍を差し出す。
       アリーシャ、落ち着きを取り戻し、槍を受け取り立ち
       上がる。
       ミクリオ、スレイとアリーシャの間に入る。
  ミクリオ「わっ!」
 アリーシャ、服を払い身なりを整える。
       ミクリオ、アリーシャを観察してスレイに向き直る。
  ミクリオ「本当の意味で、ただの人間だ」
   スレイ「……だな」
       スレイ、アリーシャと目を合わせる。
   スレイ「大丈夫そうだ」
       アリーシャ、うなずく。
 アリーシャ「ありがとう……心配をかけたようだ。きみは?」
       スレイ、すぐには応えない。
       ミクリオ、腕を組む。
  ミクリオ「名前」
   スレイ「そっか。えっと……名前、そう。オレはスレイ」
 アリーシャ「スレイ……」
       スレイ、うなずく。
   スレイ「うん。よろしく」
 アリーシャ「スレイ。この近くで落ち着けるところはないだろうか?
       都まで帰る準備を整えようと思うのだが……」
   スレイ「(小声で)都から来たんだ」
 アリーシャ「どうだろう?」
   スレイ「うーん……」
       スレイ、腕を組む。
   スレイ「オレの住んでるとこに来なよ」
  ミクリオ「スレイ、それは」
 アリーシャ「いいのか? 何者とも知れない私を案内しても」
   スレイ「困ってる人をほっとくなんてできない。そんだけ!」
  ミクリオ「だいたい、名乗らないのも変だ。怪しいと思うのが普
       通だと思うけど?」
       アリーシャ、目をそらす。
 アリーシャ「きみは……私の名を尋ねないのか?」
   スレイ「事情があるんだろ。でも悪いやつには見えないよ」
 アリーシャ「……スレイ。重ねて感謝する」
  ミクリオ「ジイジのカミナリ、覚悟しておくんだね」
   スレイ「うん……」
 アリーシャ「なにか?」
       スレイ、頭を振る。
   スレイ「ううん。なんでもない。
       とにかくあっちだ! さー行こう!」
  • 会話選択『ええっと……体は大丈夫?』
 アリーシャ「私のことなら心配は無用だ。きみについていくから、
       先導を頼む」
  • 会話選択『先に行くぞ、ミクリオ』
  ミクリオ「あまり話してると不審がられる。僕のことは気にしな
       くていい」


       アリーシャを連れて遺跡の出口へ向かう。
  ミクリオ「蒸し返すつもりはないけど、目を離さないようにね」
   スレイ「うん。
       なあ。彼女、困ってる状況じゃなきゃいいな」
  ミクリオ「はあ……。いつもながら甘い!」


○イズチ

       遺跡を抜けて外へ。
       スレイ、体を伸ばす。
   スレイ「は~、無事帰ってこれた!」
       アリーシャ、崖際から風景を眺める。
 アリーシャ「なんという美しさだ……。まるで、神話に出てくる天
       族たちが暮らす神殿のよう……」
   スレイ「本当に『天族』って呼ぶんだ」
       アリーシャ、振り返る。
 アリーシャ「なにかおかしいだろうか?」
   スレイ「ううん」
       スレイ、頭を振る。
   スレイ「神、霊、魑魅魍魎といった姿なき超常存在を、人は畏
       敬の念を込めて『天族』と呼ぶ。でしょ?」
 アリーシャ「『天遺見聞録』の引用……」
       スレイ、天遺見聞録を見せる。
   スレイ「じゃじゃん!」
 アリーシャ「きみも読んだのか!」
   スレイ「きみも、ってことは……」
 アリーシャ「幼い頃に、それは何度も」
       ミクリオ、肘でスレイをつつく。
   スレイ「あっと……。
       オレの村は、ここから少し行ったところだから。行こ
       うか」
       アリーシャ、うなずく。
 アリーシャ「了解した」
  • 会話選択『やっとイズチに帰れたな』
  ミクリオ「落ちたり、憑魔に出会ったり、人間を見つけたり……
       大騒ぎだったね」
  • 会話選択『どうかした?』
 アリーシャ「本当に驚きだよ。遺跡の先にこんな場所があるなんて
       ……」


       イズチへ向けて歩く。
 ショートチャット
   スレイ「ねえ、天遺見聞録って子供向けの本なの?」
 アリーシャ「ん?」
   スレイ「さっき、子供の頃に読んだって」
 アリーシャ「大人も大勢読んでいるよ。私が早熟だったのだろう」
   スレイ「なんだ。そっか……うん、素晴らしい本だからね」
 アリーシャ「ああ」
  ミクリオ「和んじゃって。どうなることやら」
  • 会話選択『きみも天遺見聞録を読んでたなんて』
 アリーシャ「ふふ。きみのその本もずいぶんくたびれているな。そ
       うとう読み込んだとわかるよ」
  • 会話選択『ミクリオ、なんか不機嫌じゃないか?』
  ミクリオ「はあ……。
       これからどうするか、ちゃんと考えておきなよ?」


       イズチ入り口付近へ
 ショートチャット
   スレイ「ここがオレの村、イズチだ」
 アリーシャ「カムランではなく、イズチ……。
       やはり、噂は嘘だったか……」


       アリーシャ、ヤギに驚く。
 アリーシャ「な、なんだあの生き物は!?」
   スレイ「なにって……ヤギだよ」
 アリーシャ「ヤギ!? これほど大きなものが……」


  ロングチャット『イズチのヤギ』}
  アリーシャ「すごい角。伝説に聞くドラゴンのようだ」
    スレイ「ははは! ドラゴンっておとぎ話の?
        きみって面白い人だな」
  アリーシャ「近づいたら危険だ! 気が荒い野生種だろう……」
    スレイ「大丈夫、友達だから。小さい頃は四、五回ふっ飛ばさ
        れたけどね」
  アリーシャ「友達……なのか?」
    スレイ「うん。ときどきミルクを分けてもらって、村のみんな
        とチーズやヨーグルトをつくるんだ」
  アリーシャ「それは楽しそうだ!」
    スレイ「楽しいよ、すごく!」

       ここで村の出口の方に行くと
 ショートチャット
   スレイ「下界……余計ジイジに怒られちゃうよな」


       村の入口、アリーシャがあたりを見回す。
  ミクリオ「ジイジに報告してくる」
   スレイ「黙っとくわけにはいかないよな」
  ミクリオ「あとで来るんだろう?」
   スレイ「うん」
       スレイ、アリーシャの前へ出る。
   スレイ「みんな来て。紹介するよ」
       アリーシャ、首を傾げる。
       スレイ、天族と話し、アリーシャの元へ集める。
   スレイ「これが、杜で暮らすオレの家族」
       アリーシャ、困惑する。
 アリーシャ「これは……芝居? それともなにかの演出か?」
   スレイ「(苦笑しながら)……なんでもない。忘れて」
 アリーシャ「きみは面白い人だな」
   スレイ「はは……」
       スレイ、自分の家を指さす。
   スレイ「あれがオレんち。
       先いって休んでてよ。オレ、ちょっと用あるから」
 アリーシャ「村の中を拝見しても?」
   スレイ「いいけど、みんなを怒らせないでね」
 アリーシャ「なるほど。ここは天族の杜、と言いたいのだな」
   スレイ「そう! それ!」
 アリーシャ「でじゃ、粗相のないようにしなければ。ふふ」
       アリーシャ、村を歩いて回る。
   スレイ「さて……ミクリオ、ジイジに上手く話してくれてるか
な……」

  ロングチャット『巣立ちの日』
    スレイ「あ! イズチヒバリの雛がいない。
        落っこちた雛を育てようとしたら、ジイジに止められ
        たんだよな。『人が育てたら飛べない鳥になってしま
        う。すに戻せ』って……。
        あいつ……無事に巣立てたんだな」


○ジイジの家

       ミクリオ、ジイジと話している。
  ミクリオ「……ま、直接スレイから聞いてください」
   ジイジ「しょうのない……」
       スレイ、ジイジの前に正座。
   ジイジ「このバッカも――――ん!」
       スレイ、怯む。
   スレイ「(苦笑しながら)ただいま……ジイジ」
   ジイジ「なぜ人間を我らの地に連れ込んだ!」
  ミクリオ「ジイジ……スレイの言い分も聞くって言ったじゃない
       ですか」
   ジイジ「今から聞くとこじゃ!
       スレイや。わかっていながら戒めを破ったのか?」
   スレイ「ごめんよ、ジイジ。放っておけなかったんだ……」
   ジイジ「この地に禍をもたらすだけだ、人間は」
       スレイ、視線を落とす。
   スレイ「オレも――人間だよ」
       ミクリオ、スレイを見る。
   ジイジ「おまえはワシらと共に暮らしてきたことで、ワシらの
       存在を捉え、言葉を交わす力を育んだ。普通の人間に
       はできぬことじゃ。
       この大きな違いがわからぬおまえではないだろう」
   スレイ「たしかに……あの子に霊応力はないみたいだった」
  ミクリオ「それでもスレイにとって、はじめて出会った人間だっ
       たんです」
   ジイジ「だが、同じものを見聞きできねば、共に生きる仲間と
       はいえん」
       スレイ、ミクリオ、黙る。
   ジイジ「ワシはこの地を護りながら、赤ん坊のときからおまえ
       たち二人を育ててきた」
   スレイ「うん。感謝してる……」
   ジイジ「それは、おまえたちが他のみなと同様に、この杜を守
       る存在となるからだ。
       無用な侵入者は排除せねばならない。みなの平和な暮
       らしのために」
   スレイ「はい……」
   ジイジ「では、行くのじゃ」
   スレイ「せめて、あの子の準備ができるまで待っていい?」
   ジイジ「はあ……急げよ」
   スレイ「ありがとう」
       スレイ、立ち上がり出ていく。
  ミクリオ「ジイジ……」
   ジイジ「わかっておるよ、ミクリオ。
       あの子の気持ちはまっすぐで正しい。だからこそ、ワ
       シは心配なのじゃ」


○スレイの家

       スレイ、自宅でアリーシャを待つ。
       と、ミクリオがやってくる。
※分岐1_1B(遺跡でスレイが手袋を見つけていた場合)
  ミクリオ「スレイ」
       ミクリオ、遺跡で発見した手袋をスレイに差し出す。
   スレイ「あ、これ!」
       スレイ、受け取って観察する。

※分岐1_2B(遺跡でミクリオが手袋を見つけていた場合)
  ミクリオ「スレイ」
       ミクリオ、遺跡で発見した手袋をスレイに差し出す。
  ミクリオ「これが遺跡の戦利品さ」
   スレイ「へえ……!」



   スレイ「なあ、この紋章って……」
  ミクリオ「ああ。『導師の紋章』だね」
   スレイ「だよな!
       天族と交信し、彼の力を意のままにあやつり、圧倒的
       な力を発現する者」
       スレイ、左手に手袋をはめ、眺める。
   スレイ「導師か……むふふっ!」
  ミクリオ「導師になったつもりかい?」
   スレイ「どうかな?」
       スレイ、ミクリオに左手の甲を向ける。
  ミクリオ「暗黒の世を救う救世主、には見えないね」
   スレイ「黙るのだ、天族よ」
  ミクリオ「お断り」
   スレイ「むう」
  ミクリオ「ほら、発掘したもので遊ばない」
   スレイ「だな」
       スレイ、ミクリオ、玄関扉を向く。
  ミクリオ「彼女、遅いな」
   スレイ「ちょっと見てくるよ」


○イズチ

       スレイ、風景を眺めているアリーシャに声をかける。
 アリーシャ「うーん……」
   スレイ「楽しめた?」
 アリーシャ「ああ。だが、ずっと誰かに見られてるようで、なんだ
       か……」
       スレイ、アリーシャを監視する天族たちを見て苦笑。
       アリーシャ、腹が鳴り照れる。
   スレイ「ごはんにしよっか」
 アリーシャ「すまない……実はもう限界だった……」
   スレイ「じゃあオレの家にいこう」


       スレイの家の前、ミクリオが立っている。
   スレイ「気ぃ遣わせちゃったかな……」
  ミクリオ「……別に気を遣ったわけじゃないから」
 アリーシャ「なにか?」
   スレイ「ううん。なんでも。さ、入って」
       スレイ、ドアを開ける。


○スレイの家

       スレイとアリーシャ、食事。
       アリーシャ、食事中も気がそぞろ。
   スレイ「ねえ」
 アリーシャ「ん?」
   スレイ「きみがいる都ってどんなとこ?」
 アリーシャ「私が暮らしているのは、ハイランド王国の都レディレ
       イク」
   スレイ「レディレイクって……聖剣伝承の!?」
 アリーシャ「知っているのか」
   スレイ「天遺見聞録にあったよ。湖の乙女の護る聖剣を抜いた
       者が導師になる、って伝承があるんだよね?」
 アリーシャ「ああ。恵まれた水源をもつ都で、酒と祭りが好きな、
       陽気な人々で溢れていた」
   スレイ「溢れて……いた?」
       アリーシャ、視線を落とす。
 アリーシャ「……昔はそうだった」
       スレイ、少し言葉を失う。
   スレイ「下界の人たちは大変なんだな」
 アリーシャ「下界?」
   スレイ「山を下りた先のこと。オレ、ここから出たことないん
       だ」
 アリーシャ「一人で、ずっとここに?
       スレイこそ、大変な境遇だったのだな……」
       スレイ、笑ってごまかす。
   スレイ「そうだ。明日からの帰り支度、手伝うよ。
       なにがいる? 保存食とか、カバンとか?」
 アリーシャ「そうだな。あと少々の道具類と寝袋があれば」
   スレイ「わかった。じゃあまずは狩りだね。明日案内するよ」
 アリーシャ「ありがとう。感謝する」


○暗転、翌日イズチ

       スレイ、家を出るとミクリオに会う。
  ミクリオ「おはよう、スレイ」
   スレイ「おはよう、ミクリオ」
  天族の声「ミクリオ、早く! のんびりしてる暇はないぞ」
  ミクリオ「わかってる。すぐ行くよ。
       ジイジにいろいろ仰せつかってね……しばらくは忙殺
       されそうだ」
   スレイ「そっか……。こっちのことは気にしないで」
  ミクリオ「スレイ、ジイジの気持ちも……」
       アリーシャ、家から出てくる。
       アリーシャ視点、一人でなにか言っているスレイ。
   スレイ「うん。わかってる」
  天族の声「ミクリオ!」
  ミクリオ「じゃあまた」
   スレイ「ああ」
       ミクリオ、立ち去る。
       スレイ、後ろにいるアリーシャに気づく。
   スレイ「あ、おはよう。よく眠れた?」
 アリーシャ「おはよう。久々にぐっすりと眠れた気がする」
   スレイ「じゃあ、早速いこうか。
       入り口の門から左手だよ。そこにウリボアがいる。い
       い狩場なんだ」
       アリーシャ、うなずく。
 アリーシャ「了解した」


       スレイとアリーシャ、森へ移動。
       岩陰からウリボアのようすをうかがう。
   スレイ「いたよ。ウリボア」
 アリーシャ「あれがウリボア……」
   スレイ「あいつの肉は燻製にしたら保存も利くし、なかなかイ
       ケるんだ。皮も、素材としていろいろ使えるしね」
 アリーシャ「少々気の毒だが……」
   スレイ「やめとく?」
 アリーシャ「いや。現実は心得てる。それに、都では得られない経
       験だ」
   スレイ「なるほど」
       ウリボアに視線を戻す。
       スレイ、ウリボアの隙を見つける。
   スレイ「今だ! いくよ!」
       岩陰から飛び出し、ウリボアに襲いかかる。
       戦闘突入


       戦闘後
   スレイ「よっし!
       もう何頭か必要だな」
       アリーシャ、あたりを見回す。
 アリーシャ「見当たらないな」
   スレイ「よ~く探せばいるよ」
  • 会話選択『ウリボアの狩り、どう』」
 アリーシャ「彼らにはかわいそうなことをするが、これが生きると
       いうことなのだな……。今日は、大切なことを学ばせ
       てもらっているよ」


       ウリボアの皮、8個入手
  スレイ「こんだけあればじゅうぶんだな」
アリーシャ「あの、あとはどのように?」
  スレイ「大丈夫。燻製肉も皮のカバンも寝袋も、作り方を教え
るよ」
アリーシャ「なにからなにまで助かるよ、スレイ」
 ショートチャット
   スレイ「じゃあ今日は帰ろう」

       帰り道
   スレイ「ねえ、レディレイクまではどれくらい?」
 アリーシャ「そうだな……二、三日というところだろ」
   スレイ「ちかっ! そうだったんだ」
 アリーシャ「だが、山麓の森は深くはないのに、迷ってしまうこと
       が多いんだ」
   スレイ「ジイジの領域の力だな……」

  • 会話選択『レディレイクって王様がいる街なんだよ
      ね?』
 アリーシャ「ああ。ハイランド王国の王都だが……スレイは本当に
       知らないのだな。
       私もこの村のことを知らなかったのだから、お互い様
       ではあるのだけれど」


○スレイの家

       夜。
       アリーシャ、ベッドから起き上がる。
       スレイ、読み物をしている。
 アリーシャ「スレイ」
   スレイ「あ、起こしちゃった? ごめん」
 アリーシャ「よほどのお気に入りなのだな。その本が」
   スレイ「子供の頃から何度も読み返して――」
 アリーシャ「――いつか世界中の遺跡を回るのが夢なんだ。
       天遺見聞録を読んだ者、みながそう言う。かくいう私
       もその一人。
       だが今、世界に遺跡探求の旅などという余裕はないん
       だ」
       スレイ、黙って聞く。
 アリーシャ「十数年前から、世界各地は人智の及ばないような災厄
       に見舞われている」
   スレイ「……災厄?」
       アリーシャ、うなずく。
 アリーシャ「謎の疫病に、やまない嵐。人体自然発火……。死人が
       歩き回ったなどとめちゃくちゃな噂まである始末」
   スレイ「ちょ、ちょっと待って。なんていうか……」
 アリーシャ「(微笑みながら)信じられない? それとも面白そう?」
   スレイ「あ、いや……」
 アリーシャ「(真剣な表情に戻り)だが、事態は深刻だ。災厄によ
       って引き起こされた、大陸全土の異常気象。それが原
       因で近い将来、作物の実りがなくなり、飢餓がやって
       くるだろう。
       最大の問題は、窮した国々のあいだで略奪戦争が起き
       るかもしれないということ。そうなってはもう止めら
       れない」
   スレイ「なにか手はないの?」
 アリーシャ「見当もつかない……伝承にすがるほど……」
   スレイ「だから遺跡を?」
 アリーシャ、はっと顔を上げる。
   スレイ「いいよ。無理に話さなくても。
       さ、オレももう寝る。おやすみ~」
       スレイ、地べたに寝転がりアリーシャに背を向ける。
       アリーシャ、黙ってベッドに入り直す。


○(暗転)翌日イズチ

 アリーシャ「おはよう、スレイ」
   スレイ「おはよう。今日は昨日狩ったウリボアから、保存食と
       かカバンとか、いろいろ作らなくちゃ」
 アリーシャ「よろしく頼む」
   スレイ「はは、そんな楽しいもんじゃないけどな」
 アリーシャ「さあ、まず私はどうすれば?」


○(暗転)スレイの家

       アリーシャ、旅支度を済ませる。
 アリーシャ「結局すべてきみにやらせてしまったな……」
   スレイ「いいって。慣れてるし」
 アリーシャ「おかげで明日には発てそうだ。ありがとうスレイ」
   スレイ「そう……。よかった!
       じゃ、オレちょっと出てくるから、明日に備えてゆっ
       くり休んでね」
(注:原作では「オレ、ジイジに伝えてくるから」とい
   うセリフがあるが、天族の見えないアリーシャにジイ
   ジのことを話すのは疑問があるため、セリフを変更)

 ショートチャット
   スレイ「もっと下界の話聞きたかったな……」


○ジイジの家

       スレイ、ジイジに話しかける。
   スレイ「ジイジ、明日出発するって」
   ジイジ「そうか……。出発はみなで見送ろう。客人には違いな
       かったわけだからな」
   スレイ「うん!」
       ジイジ、笑う。


○(暗転)翌日イズチ、

       スレイとアリーシャ、村の入口へ。
       天族らも見送りに。
 アリーシャ「スレイ、本当に世話になったな」
   スレイ「本当にここまででいいの?」
 アリーシャ「ああ。これ以上迷惑はかけられない」
   スレイ「そっか」
 アリーシャ「……」
       スレイ、首をかしげる。
   スレイ「大丈夫。渡した地図どおりに行けば森も迷わないよ」
 アリーシャ「あ、いや。それは信用している」
       アリーシャ、頭を振って視線を落とす。
 アリーシャ「アリーシャ」
   スレイ「え?」
 アリーシャ「私の名は、アリーシャ・ディフダ」
   スレイ「アリーシャ……」
 アリーシャ「きみはなにも言わずに、何者とも知れぬ私を助けてく
       れた。それに引き換え、私は我が身かわいさに名すら
       告げず……騎士として恥ずべきことであった。
       どうか……許していただきたい」
   スレイ「そんなこと……」
 アリーシャ「スレイ、私は……」
   スレイ「ん?」
 アリーシャ「私は、天族は本当に存在していると思う。天遺見聞録
       に記された数々の伝承は、お伽話などではないと」
   スレイ「うん」
 アリーシャ「いま世界中で起きている災厄……それを鎮められるの
       は、伝承に残る存在なのではないかと」
   スレイ「導師、だね」
 アリーシャ「きみは笑わないんだな。都では誰もがバカにしたのに」
   スレイ「オレも信じてるから」
 アリーシャ「きみは本当に気持ちのいい人だ。
       レディレイクの都では、まもなく聖剣祭が始まる。導
       師伝承になぞらえた『剣の試練』も行う予定だ。
       スレイ。『剣の試練』に挑んでみないか」
   スレイ「え……」
       スレイ、見送りに来たジイジら天族を振り返る。
 アリーシャ「……では行く」
       アリーシャ、歩き出す。
 アリーシャ「スレイ。今の話、考えてみてほしい」
   スレイ「どうして……」
 アリーシャ「伝承にある導師。それはきっと……」
       アリーシャ、振り返る。
 アリーシャ「スレイ、きみのような人物だと思うから」


       スレイ、アリーシャを見送る。
       ミクリオ、スレイの肩を叩き、ナイフを差し出す。
   スレイ「これは?」
  ミクリオ「僕はジイジに言われて、あのあとずっと遺跡で、あの
       女騎士の手がかりを探していたんだ」
   スレイ「じゃあ、これはアリーシャの……」
  ミクリオ「ハイランド王家の紋章だ。
       アリーシャ・ディフダ……ただの騎士ではないようだ
       ね」
   ジイジ「辛いだろうがな……これでよかったんじゃ」
       ジイジ、なにかに気づく。
   スレイ「ジイジ?」
   ジイジ「何者かがワシの領域に侵入してきた……」
       ジイジ、力を放ち領域の中を探る。
   ジイジ「むう! 気配を隠したか。こざかしい!」
       ジイジ、その場で天族らに告げる。
   ジイジ「聞け! みなの者!
       何者かが侵入した! 探すのじゃ!
       気配を隠したことから、おそらく憑魔じゃ! 心して
       探索にあたれ!」
       天族ら、散開する。
   スレイ「オレたちも行くよ!」
   ジイジ「うむ。憑魔であれば事態は急を要する。頼んだぞ」
  ミクリオ「森の方をあたろうと思うが、どう思う?」
   スレイ「うん。そうしよう」
  • 会話選択『憑魔の侵入……みんな大丈夫かな?』
  ミクリオ「ジイジがいるし、心配はいらないさ。僕らは森を見に
       いこう。姿を隠せるとしたら、あそこぐらいだからね」


       スレイ、ミクリオ、森へ。
       と、悲鳴。
  • 会話選択『今の悲鳴!?』
  ミクリオ「森の奥だ! 急ごう!」


       スレイ、ミクリオ、マイセンを襲うルナールを見つけ
       る。
   スレイ「マイセン!?」
       ルナール、立ち上がる。
  ルナール「おかしいねえ。ここには主菜(メインディッシュ)し
       かないはずなんだが……。また新たに二人もお出まし
       かい」
       スレイ、ミクリオ、ルナールの容姿に怯む。
  ミクリオ「なんだこいつは……これが憑魔だっていうのか……」
   スレイ「ここはきみが来るようなところじゃない。立ち去るん
       だ」
  ルナール「クックク……カッカッカッ!
       小僧が生意気に。
       全身、恐怖が丸出しになってるぜ。ほら、力んで腕も
       ガチガチ」
       ルナール、スレイに火を放つ。
   スレイ「うわっ!」
  ミクリオ「スレイ!」
       ミクリオ、水の天響術で消火。
  ルナール「ぐふ、おまえさん旨そうな匂いがするねえ」
  ミクリオ「なんだって……?」
  ルナール「言わせるのかい……おまえさんを喰いたいって!」
   スレイ「ふざけるな!」
       スレイ、剣を抜く。
   スレイ「最初から全開だ! 憑魔、オレの奥義を見せてやる!」
       戦闘突入


       戦闘後
  ルナール「ぐぬ……」
  ミクリオ「口ほどにもないじゃないか」
   スレイ「さあ、まだやんのか!」
  ミクリオ「去れ!」
       ルナール、マイセンを食う。
  ミクリオ「なっ!」
   スレイ「マイセン!」
       ルナール、マイセンを食い尽くし振り向く。
   スレイ「こいつ……マイセンを……」
  ミクリオ「これが……憑魔の本当の……」
       ルナール、襲いかかろうとする。
       と、ジイジ、天族を引き連れてやってくる。
   ジイジ「去れ。邪悪なる者よ」
    天族「それもとみんなで相手してやろうか」
  ルナール「ふん……つまみ食いにかまけて主菜(メインディッシ
       ュ)を逃すのは面白くない」
   スレイ「マイセン……」
       その場の全員、のべつに黙祷。
   ジイジ「あとはワシらに任せい」
  ミクリオ「ジイジ。さっきのキツネ人間は憑魔だったのですか?
       我々と言葉を交わすなんて……」
   ジイジ「うむ。あれは人間が憑魔と化した姿じゃ。憑かれたと
       いってもいい」
   スレイ「人が憑魔に……?」
   ジイジ「さあ、おまえたちはさっさと戻って休め」
  ミクリオ「そうします。さ、帰ろう」
   スレイ「あ、うん」
       スレイ、引き返す。
       ミクリオ、ジイジを見る。
   ジイジ「……動きはじめたのかもしれんのう」


○(暗転)スレイの家

       スレイ、ベッドに横になる。
   スレイ「あいつ、いったいなにしに……」


回想
  ルナール「おかしいねえ。ここには主菜(メインディッシュしか
ないはずなんだが……」

  ルナール「主菜(メインディッシュ)を逃すのは面白くない」
回想終了

   スレイ「まさか、あいつの狙いって……!」
       スレイ、起き上がり荷物をまとめる。


○(暗転)イズチ

       スレイ、村を入り口へ。
   スレイ「黙っていって……驚くだろうな」
       スレイ、逡巡する。
   スレイ「みんな、ごめん!」


       スレイ、門から村を振り返る。
   スレイ「よし!」
  ミクリオ「なにが?」
   スレイ「わ! ミクリオ!?
       どうして!?」
  ミクリオ「抜け駆けなんてさせないさ」
   スレイ「え……」
  ミクリオ「僕も行く」
   スレイ「ミクリオ!」
  ミクリオ「歩きながら話そう。時間が惜しい」
       ミクリオ、腕を組んで歩き出す。
  ミクリオ「あのキツネ男の言葉……狙いはアリーシャと考えるの
       が自然だ」
   スレイ「ミクリオも気づいたんだ」
  ミクリオ「当然。さ、急ごう」
   スレイ「ミクリオ!」
       スレイ、ミクリオの前に出て振り返る。
  ミクリオ「な、なんだよ。改まって」
   スレイ「来てくれて、すげー嬉しい!」
  ミクリオ「嘘ひとつつけないきみじゃ、人間の中ではやっていけ
       ないだろうからね」
       スレイとミクリオ、腕をぶつけあう。
   スレイ「ジイジ……怒ってるよな」
  ミクリオ「ジイジは覚悟していたのさ。いつかきみが旅立つことを」
   スレイ「大袈裟だなあ。一生会えなくなるわけじゃないのに」
  ミクリオ「わかってるんだ、ジイジには。旅だったら、きみはもう人間の中で生きていくって」
       ミクリオ、キセルを差し出す。
   スレイ「これはジイジの……」
  ミクリオ「人間の社会ではお金が必要だ。困ったらこれを売って足しにしろって」
       スレイ、キセルを受け取って眺める。
  ミクリオ「そしてきみに伝言だ。『自由に、自らの思う道を生きよ。おまえの人生を精一杯』だってさ」
       スレイ、キセルを両手で握りしめる。
   スレイ「いこう!」
       スレイ、ミクリオ、イズチをから離れる。


       スレイ、ミクリオ、霧の山の中を歩く。
       ミクリオ、崖際に立つ。
  ミクリオ「すごい……!」


     T「人はあまりに無力だ。それ故、時代が窮すると導師の出現を祈る」

   スレイ「うわあ!」
       スレイ、崖際へ駆け出す。
   スレイ「これが――世界!!」

     T「この後、『災厄の時代』と呼ばれた時代に現れた、導師の物語が幕を開ける」

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最終更新:2015年03月22日 16:43